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第三十一話 ウリダァト

「いきなり何かが変わった?」


 (ブレイ)は地面に叩きつけられ、バドナイトが死んで送還された後歯がゆい思いで地面からメタトロンと戦うホムラを見ていた。


 さっき強大な一撃を腹に食らったと思ったら思いっきりカウンターを決めて奴を崖にめり込ませた。

 さっきまであんな事が出来るような奴には見えなかった。

 完全に雰囲気が違う。

 ホムラに何があった・・・・・・・


『ブレイは大丈夫だった?』


「ソニスか? お前、どうやって話しかけてる?」


 確か本の内側じゃないと対話できないとか言ってたよな。

 どうやって・・・・・・


『ホムラの《分け与えし焔(ホムラスキルシェア)》の力のおかげだね。これのおかげでホムラとホムラと契約して力を分けて貰っている子同士なら対話が出来るようになったんだよ』


 なるほどな。

 ソニスもホムラに力を与えられて幻想の書として力を行使できるようなものだ。


「俺もホムラと対話できるのか?」


『私が外部に声を届けられるのはその力に触れられる立場にあるからだからね。ホムラがその力を使いこなして連絡できるようにしないと君の方から声を届けるのは無理かな』


 そう都合良くは行かないか。

 しかし・・・・・・


「ソニスはホムラに何があったか分かるか? あれはどう見ても・・・・・・・」


『ホムラ本人だよ。どうやら一時的に記憶を取り戻したみたいだね』


 記憶を?

 そういえばホムラは記憶を失っていると言ってたな。

 俺はホムラを見る。


「クソォ何なんだよお前!」


 メタトロンがビームを打つ。

 かなり太いビームだ。

 俺が当たれば洒落にならないことになるだろうな。


「へぇ、凄い威力のビームだね。まあ凄いのは威力だけだけどね。威力だけだから・・・・・・」


 ホムラが手を前にかざしたと思ったらビームがホムラの前で球になって吸収というよりその場でエネルギーのまま受け止められていた。


「こんなに簡単に制御を乗っ取られる。次があればまずは制御を学んだ方が良いよ。次があればの話だけど・・・・ね!」


 ホムラはそのまま光の球とかしたレーザーを投げた。

 メタトロンは避けるそぶりすら見せずにそのまま・・・・・


「巫山戯るな! なんで・・・・・・グガギャァァァァ!?」


 直撃した。


 一方的じゃ無いか。

 ホムラってあそこまで強かったのか?

 あれは本当にホムラなのか?

 いくら何でも強すぎる・・・・・・


『アレが孤独に鍛え続けたホムラの力の一端ね。これを見ると自分を殺してやりたいことをせずに力だけ磨き続けてきたんだろうね』


 孤独に耐えて鍛え続けた?

 ソニスは何かを知っているのか?

 だが、もし今ソニスが言っていたことが真実なら・・・・・・ホムラは本気で哀れな奴だ。


 ホムラのことだ。

 守りたい誰かのために自分を殺して力をひたすら求めたんだろう。

 あいつは誰かと何かを作るのが好きなんだ。

 俺の鎧を作ったときの表情とかを見ると分かる。


 誰かと一緒に喜び合って楽しんで・・・・・・そんなことすらせずに身につけたのがあの力なのか。

 それは・・・・・・余りにも・・・・・・


「ふふふ、そうだ。テメェらみたいな甘ちゃんは仲間を見捨てられねぇよなぁ!」


 最早丁寧な口調で取り繕うことすらしなくなったメタトロンが俺に向かってビームを放って・・・・・・・


「あのさ、それを至近距離にいる私が放つこと自体を許すと思う?」


 こなかった。

 ホムラが召喚した剣で両手が両方とも切り裂かれたのだ。

 そして切り裂かれた腕はホムラが纏った陽光の炎で焼き尽くされた。


「なぁ・・・・・・・あ・・・・・・・ごめギャァ!?」


「今、謝罪しようとしたね。その力を使う為にどれだけの命を犠牲にしたの? ごめんで許されるような次元の話じゃ無いんだよ? 幸いフィルはビュウスのおかげで無事だったみたいだけどね」


 そうか。

 そういえばホムラの仲間もこいつに支配されてたな。


 さっきの呪文はそいつも巻き込みかねない呪文だったのか。

 どういう手段を用いたかは知らないがあのビュウスって男がどうにかしたみたいだがな。


「と言うわけで私も君を許さない」


「クソ、セルフィス・サウン、セルフィス・サウン! 来いよ! 俺を守れよ!」


「・・・・・・はぁ、もうどうしようも無いね君」


 あきれ果てた表情でホムラはメタトロンを見ていた。

 ここで自分を守る為にホムラの仲間である少女を召喚しようとするんだもんな。

 そもそもあの少女が空中で戦闘する手段を持ち合わせてるとは思えないけどな。


「さて、と・・・・・・もうそろそろ止め刺すよ。その束縛を断ち切る剣となれ!《ウリダァト・イブンケハズ・フィセラ・スラシァ》!」


 ホムラが呪文を唱えると半透明の巨大な手と握られた巨大な剣が出現した。

 その手の動きはホムラの右腕と動きが連動していてそれを振り下ろすと巨大な剣も振り下ろされた。


「な、それは・・・・・・ダァトのだがそれは・・・・・・」


 その言葉を残しメタトロンは切り裂かれた。

 メタトロンは地面に叩きつけられ俺の近くに落ちてきた。

 どうやらホムラは手加減したらしくそのアバターは完全には消え去ってなかった。


「今のでお前の《メタケテル》の力を砕いた。もう支配の力は使えないよ」


「グガァォ・・・・・・・」


 上手く喋れないのかメタトロンは言葉にならない声を上げていた。


「さて、ブレイ・・・・・・あとは君の番だよ」


 ホムラは俺の前に一冊の本を叩きつけた。

 メタトロンの幻想の書だ。

 メタトロンは異界の魂とかの持ち主では無い。

 本は普通に破壊できる。


「グガァ!? ガガガガ!」


「・・・・・・ありがとな、ホムラ」


 俺は自分の大剣を手に思いっきり本を真っ二つに切り裂いた。

 その後もう一降りして四等分にして万が一が無いようにした。


「グガギャガァァァァ!」


 メタトロンは声にならない声で悲鳴を上げた。

 本を切り裂かれた痛みはアバターを傷つけられたときの比では無いだろう。

 切り裂かれた本はそこから崩れるように崩壊していく。

 こうなると万が一にも生き延びることはもうないだろうが・・・・・・


「《ブイフト》」


 切り裂いた本を更に燃やす。

 事前に切り裂いたのは万が一生き延びないようにだからな。


「グガバァァァァ!?」


 メタトロンのアバターは消えていく。

 絶叫を上げて消えていく。

 この本が燃える炎は弔いの火だ。

 死んでしまった仲間達を供養するためのな。


 主であるレクトの元に向かうのはもう少しいや、かなり後になりそうだ。

 ホムラには借金(借EP)もあるがあいつのことを近くで見てみたくなったからな。

 契約は続行させる。

 俺はあいつを見捨ててレクトの元に行きたいとは思えないしな。

 と言うよりレクトに叱られてしまうよ。


「さて、戻ろうか」


「ああ・・・・・・・」


 俺はメタトロンの本が燃えた後を見て自分から召喚を解いて本の中に戻った。

 どのみち森には自力で戻れないからな。

 ホムラはその後背中の翼でビュウスの元まで飛んでいった。


==============


「クソクソ・・・・・・」


 念のため自分の意識を転写した魔物を生成してよかった。

 連絡要員のために作ったがまさか、あの力を使ってもなお破れるとは思わなかった。


 幸いあいつが覚醒する前に作られたから俺には気がつかれなかった。

 おかげで最期の役目だけは果たせそうだ。

 うまくいけば再び幻想の書で・・・・・・・


「ねぇねぇ、君」


 そう思っていると目の前にあの雌ガキに似た赤髪の女が居た。

 なんだこいつは・・・・・・・

 いや、そもそもなんで全力で隠蔽している俺を見つけられるんだ?


「どうして君は生きてるの? ダメだよ。その情報持って帰られちゃ私困っちゃうんだよ」


「な・・・・・・」


 こいつ、俺が連絡要員だと完全に分かった上でここに居るのか!?

 クッソ、あの結界を張ったあの妖精擬きの手の物か。


 俺は全力で逃亡する。

 この魔物の体は見つからないと言うことに特化していて戦闘は不可能だ。

 全力で隠蔽して逃げる。

 逃げて逃げて・・・・・・


「残念でした」


 上から思いっきり踏みつぶされた。

 クッソ、ここまで小さくて隠蔽能力に長けててもお構いなしか!


「テメェ、何者だ?」


「何者かね・・・・・・・ウリエルと名乗っておこうかな。君と同じく天使を騙る者だね。最も、私は君の敵だけど」


 そしてメタトロンはウリエルと名乗った女によって踏みつぶされて殺された。

 今度こそ本当の意味でメタトロンは死んだ。


「さあ、ホムラ・・・・・・君はもっと強くなるんだよ。私は君で君は私なんだからもっと強くなって貰わなきゃ困るからね」


 そう言い終わった後女は消えた。

 まるで最初から居なかったかのように・・・・・・


 これによりメタトロンの仲間にホムラの情報が渡ることは無かった。

 それにより引き起こされる事態は誰にも分からない。


ソニス「今回から解説なしね。それと連続三話更新だよ。理由は最後の方の後書きに書いておくからね。」

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