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第十三話 戦闘訓練VSビュウス 2

 カキンカキンと私達は打ち合う。

 なんか打ち合っている内になんかどんどん捌き方が分かるようになってきてそのたびにビュウスがギアを上げるという行為を繰り返している。


「本当に二刀流で戦うのが始めてなの、かって疑問に思うレベルで急速に成長してるな。才能あると思うぞっと」


 まあ、確かにこんなにも早く二刀流が使いこなせるようになってるのには純粋に驚いてる。

 そういう才能でもあったのかな。

 ならそろそろ次に向かおう


「それはどうも、それじゃあそろそろギア上げていくよ。《ケサン》」


 さっき召喚して浮かべておいた浮遊する手に剣を持たせる。

 ビュウスがそれを見て絶句する。


「三刀流でいくよ」


「まてまてまて!? 流石に普通の槍じゃ厳しいわ! 呪文は使わないが普段の戦闘スタイルに移行するぞ。《シグル・ヤサンコート》」


 そう言って二本の槍を消して特別な槍を一本召喚した。


「生憎この槍は二本も扱いきれないからな。そもそも二槍流なんてやる気はさらさら無いんだ」


 まあ、剣よりも遙かに難易度高そうだもんね。

 そもそもリーチが長いしなぎ払いとか出来なくなっちゃう。


「流石に三等流に対処するには槍の数が足りない。故に俺は簡単な呪文を解禁して対処に当たるとしよう。ホムラはそのまま呪文を使わずに撃ち込んでこい」


「そうさせて貰うよ」


 私はビュウスに三本の剣を撃ち込んだ。

 二本は槍で受け止められもう一本は片手で白羽取りを決められた。

 呪文なしでも対処出来るじゃん。


「浮遊する手に握った剣は剣速が遅いぞ。こんなのじゃ俺が認識しているうちは呪文で対処するまでも無い。死角から攻めるように打ってこい」


 浮遊する手は打ち合ってるさなかに動かし続けてたからか戦闘による強化補正が入って呪文を使えるレベルに至ったけどやっぱり剣を本格的に扱うのは厳しい物があるよね。


 その後何度も打ち合って気がついた。

 妙にバランスが悪い。

 浮遊する手が片方だけだからだろうか?

 なら・・・・・・


「《イブンハズ・サントリ》」


 もう一つの浮遊する手を出せば良いよね。

 これを出した瞬間かなり安定した。

 性能が1.3倍くらいになったんじゃ無いかな。

 こうなるとこの浮遊する手は偶数で運用した方が良さそうだね。


「ケサン・・・・・・流石にこれ以上出せないか」


 せっかくならもう一つの召喚した手にも剣を持たせたかったけど、まだ三本しか召喚できないからこれ以上は持たせられないみたいだね。

 ならば浮遊する手に左手に持っていた剣を持たせる。

 自分は一本、剣を持った浮遊する手が二つ、浮遊する手がまともに動きさえすればこっちの方が強いでしょ。


「地味に対処しづらい布陣になったな。さあ、俺に対処するための呪文を使わせてみろ」


 ビュウスは私に向かって思いっきり突進してきた。

 高速で槍が突かれるがそれを対処する。

 さっきと違ってまともに対処出来てる。でも対処出来てても全部は捌ききれない。


 だけど、槍は一本しか無いんだ。

 浮遊する手で死角からと思っていたら思いっきりなぎ払って突きに来ていた浮遊する手による斬撃を吹き飛ばされた。


「完全に死角に入ったと思ったのに・・・・・・」


「目を見ればバレバレだ。視線が隠せてないからな」


 あ~目でばれるんだ。

 分かってたことだけどね。

 ならもう一本は問題ないだろう。


「!? 《リビフト》!」


 急速に接近する剣に直前で気がついたのかビュウスに対処された。

 うわ、惜しかった。でも呪文を使って迎撃させたよ。


 何となく見なくても手の位置が把握出来るようになってきた。

 元々空間把握能力には優れてるからね。

 なれれば戦闘で使うことも出来なくは無いでしょ。


「二つのその手を出すことでバランスがよくなってスペックが上がったのか。明らかにさっきまでの動きとは違うしな。こっちにとっても良い訓練になりそうだな」


 まあ、囲まれたときの対処法の訓練にはなるだろうね。


 ちなみに何度も打ち合ってたら慣れたのか目線とか見られずに普通に呪文なしで対処されるようになった。

 戦いの最中に成長して四刀流になったり更に浮遊する手が二つ増えて攻撃手数を増やしたりしたけど結局夕方になって訓練が終わるまでに一撃も当てることが出来なかった。


「あ~ビュウスに一撃入れること出来なかった」


「《レザスラン》で一撃入れただろ」


 私はあくまでも剣で一撃を入れたかったんだけどね。

 最終的に五本の剣からの絶え間ない攻撃をしたのに平然と対処されたし・・・・・・

 ビュウスがほとんど私に攻撃出来なかったのは浮遊する手を攻撃しないようにしてたからだろうしね。

 再召喚には時間かかるしそれを考慮したんだろう。

 そんな状態でも攻撃を入れることが出来なかったんだからかなり悔しいよ。


「でも悔しい物は悔しいよ。まだまだ弱いよ」


「呪文解禁してごり押しされたら普通に負けそうなんだけどな。《レイスラン》がインチキすぎる。俺でもこれだからあのPKどもじゃ対処出来ないだろ」


 確かに・・・・・・

 なんか《ブイスラン》と大してクールタイムが変わらないのに破格の強さだもんね。

 エネルギー消費量は少し高いけどね。


「さて、もう夕方だし俺は夕飯の調達に行くわ。確か猪肉しか無いんだっけ? なら俺は鶏肉を調達することにするよ」


「じゃあ、戻ってくるまでの間に少しでも壊された工房を直しておくことにするよ」


 そういうとビュウスは森の中に入っていった。


 さて・・・・・・浮遊する手が上手いこと育ったし少しと言わず一気に完成させちゃおうか。

 浮遊する手が四つもあればわざわざ上に上らなくてもガンガン作れちゃうしね。

 ビュウスが帰ってくるまでの間に完成させちゃおう。

ソニス「今回紹介する呪文は《シルグ・ヤサンコート》だよ。

シルグは1を、ヤは槍の召喚単語、サンは召喚でコートは操作だよ。

操作スキルが乗った槍だから勢いの向きを急激に変えて一気に引き戻したりとか色々と出来るんだよね。一振りしか召喚できないのがネックだけどそれを補うレベルで強いよ。

ちなみにシルグは1という意味だけどブルダに変わっても召喚できる本数が増えることは無いよ。

この数は本数じゃなくて別の物を数えてるわけだからね。これはあくまでも前提呪文。

向きの操作はビュウスが自力で編み出した副産物に過ぎないんだよ。登場したら紹介するね。

それじゃあ今回はここまで。次回も見てね。

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