表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【東北道に散ったMR2】

作者: 鵜野森鴉
掲載日:2009/04/22

この物語はフィクションです。

登場する人物・施設等は全て架空のもので、実存するものとは何ら関係ありません。

実際の運転は、マナーを守り安全運転を心掛けましょう。


【東北道に散ったMR2】


俺は常々、車の運転に関して、2種類の人間がいると考えている。

1つは、運転という操作に対して、必ず結果があり、それは常に一定ではなく、

様々な要因が重なりあって、引き起こされていると、物理的に考えられる人間。

もう1つは、車を移動するための道具、便利な箱型の乗り物としか思っていない、

運転という操作を、全て車に依存してしまっている人間。

残念ながら、世の中の多くの人間が後者だ。


アクセルを踏めば進む、ブレーキを踏めば止まる、ハンドルをきれば曲がる。

だが、それは限られた条件の下での話しであり、いつもその条件が満たされているとは

限らない。

しかも、車を操作するのは機械ではなく人間であって、人間はミスをする。

そのミスは、車の挙動に何ら影響を与えない小さなものから、即クラッシュまで千差万別だ。

世の中の多くの人間が、なぜ進むのか、なぜ止まるのか、なぜ曲がるのかなんて、

考えた事は無く、アクセルやブレーキを、照明のスイッチと同じ扱い方をする。

そういう人間に限って有事の際に車のせいにする。

ブレーキを踏んだけど止まらなかった、ハンドルをきったけど曲がらなかったと、

あたかも車が悪いような言い訳をする。

実は、止まらない、曲がらない操作を自分自身がしているのに気が付いてない。


昔、こんな話を聞いた事がある。

就職して2年目か3年目の初夏、同窓会を兼ねた温泉旅行があった。

車好きのヤツらは、それぞれ自慢の愛車でやって来た。

当然その日の宴会は、車談議に花が咲いた。

翌日の帰り、季節はずれの台風で、東北自動車道には激しい雨が降っていた。

だけど、そんな事はお構いなしだった。

昨夜の宴席で、誰が一番速いんだって話題になった。

それを証明するかのように即席レースが始まった。

速度は150km/hを超えた。

ドライならまったく気にならないような緩いカーブも、この状況ではさすがにキツく感じる。

だが、そこでアクセルを急激に戻したり、ブレーキを踏んだりしたら、

荷重は一気にフロントに移り、荷重の抜けたリヤはグリップを失う。

運転を物理的に考えられるヤツは、それが解ってるからジワッとアクセルを戻して、

リヤタイヤのグリップと相談しながら走る。

だが、普段から車に依存して、スイッチのように操作しているヤツらは…。

絵に描いたように、リアタイヤがアクアプレーニングを起こし、空転を始める。

そこで、焦らずにアクセルを入れてリアの荷重を増やし、グリップを回復させ

ることに成功した者は事なきを得たが、パニックになりブレーキに足を乗せて

しまったヤツの行く末は、それこそ神のみぞ知るだ。

哀れ、まだ購入して間もないSW20は、キャビンだけを残し、どちらが前か後ろかの

判別も付かない程、グシャグシャになってしまった。

幸いドライバーは無傷であったが、このドライバーが完全な依存タイプだった。

最寄のICまで運ばれ、ローダーから降ろされた無残な愛車に、昨夜まで自慢の種

であったはずの愛車に、文句を言いながらガンガン蹴りを入れていた。

そいつの心配よりも、そんな扱いをされた車を不憫に思った記憶がある。


車の性能は上がり、安全性も飛躍的に向上したが、それで事故が無くなる事はない。

人間が運転する以上、必ず事故は起きると言っても過言ではない。

いや、運転する人間がみなアインシュタインのような物理学者なら、その時々の

状況を物理の公式で瞬時に計算して、何事も起きないだろうが、そうもいかない。

では、どうするか。

その話しは、また別の機会にしようと思う。


― 完 ―


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ