☆第1話 天使or悪魔/①治癒理法②守衛理法③浄化理法/エンジェルフォン
召喚に応じた、という解釈らしい異世界人側の主張。
頭にきらびやかな宝石の埋め込まれた王冠を乗せた姫様っぽい人に『勇者さまっ』なんて呼ばれたから、正直ちょっとだけ期待してたんだが。
それはすぐに期待はずれだったことが判明した。
『勇者さまっ』と呼ばれた後に自身でステータスを確認したからだ。
召喚された僕たちはその場で、怪しげな白いローブを身に纏い、フードを深くまで被っている鑑定スキル持ちの者たちによってステータスの鑑定がはじまった。
『鑑定スキル』
鑑定スキルとは、他者のステータスを覗き見ることが可能な技。
ステータスとは、名前 年齢 レベル そして、攻撃をするときの力や走ったりするなどに使う速さ、他者からの攻撃から身を守る防御力、魔法やスキルの有無などなどの能力値、称号などなどが表記されている。
そのステータスの鑑定で、僕以外の5名は、称号欄に『勇者』ってなっていたのに、僕だけ『勇者召喚の巻き添えを受けた者、いわゆる村人A』ってなっていた。
その場にいたお姫さまいわゆる、先程のティアラ王女様は、僕以外の者には、握手を交わしていた。
差別はんたーい笑笑
そして、ステータスウィンドウに表示される、ステータス画面に映し出される能力値と呼ばれる、体力値、魔力値、攻撃力値、防御力値、俊敏力値が他の5人は平均Cあるのに対して、僕はALL Fだった。
ファンタスティックのFなのかな?笑
能力値やスキル、魔法のランクを表現するアルファベットは、Fが1番下でその上にE⇒D⇒C⇒B⇒A⇒S⇒SSとなりSSが一番上らしい。
Gは全く使えない。
魔法を扱えない者が魔力値Gと表記される。
ランクSSはおとぎ話として伝えられているだけであり、架空のランクと言われているようだ。
僕の、ALL Fの6種の能力は、話によるとまさにこの世界の村人の典型的な初期ステータスみたいだ。
『村人A』という表現も納得である。
6種の能力値の他にも、僕と他の勇者たちは大きな差異があった。
【スキル(技能)】使用時に疲労感を味わうの数や、魔法を使用する際に魔力(量)値を消費する魔法の数も俺と他の5人じゃ全然違った。
特殊スキルと呼ばれる自動翻訳機能の異世界言語のほかに、5人は光剣術とか光弓術とか光魔法とかその場にいたお偉いさんたちが驚愕するほどの光よりのスキルや魔法を持っていた。
どうやら、光魔法はアンデッドに効くイメージ(今まで見た小説はそういう小説が多かった)だったのだが、魔族やモンスター全般に大ダメージを与えるらしく勇者しか覚えることができないみたいだ。
勇者たちは、それに加えて火、水、土、風、雷、なんかの魔法も持っていた。
3属性以上魔法が使える者は珍しいらしい。
5属性全て持っているのは、かなりレアとのこと。
まぁ、そんなこと俺には関係ないんだけどね。
対して僕のはというと、天使or悪魔とステータス画面に表示されている。
天使(自身や人々を癒し治療する治癒理法エンジェルヒールや自身や人々を守る守衛理法エンジェルバリアー、悪しき存在を浄化するエンジェルピュリフィ浄化理法を得意とするランクSSの存在、神々と人間の中間の霊的存在、天使の階級の第9位階に属し7番目の階級の権天使(主に悪霊からの守護を司ることがお仕事)のサポートや8番目の階級の大天使のサポートを行う)
悪魔(他者を攻撃する攻撃魔法や攻撃武術を得意とするランクSSの存在、天使と同じく地上での悪霊退治を行う、または地獄界で死者の魂を管理する。悪魔にも階級があり悪魔の次は大悪魔である)
天使、悪魔ともに神に仕える存在であり、同じランク以上の者でない限り個人情報は保護されると記載があった。
個人情報保護大事!!
何人にも情報をみだりに公開されないのは良いことだ。
因みに、『個人情報』とは、本人の氏名、生年月日、住所などの文字により特定の個人を識別できる情報のことを指し、『プライバシー』とは、個人や家庭内の私生活、個人の秘密、それらを他人から干渉・侵害を受けない権利という意味であり、最近では、自己の情報をコントロールできる権利という意味も含まれるという解釈がある。
僕は、少しも迷わずに天使を選択した。
種族『天使』と、視界に表示された。
にしても、僕の選択した天使という種族。
『エンジェルヒール』
・蘇生以外すべて回復する治癒理法
『エンジェルバリアー』
・自身と他者を守る守衛理法
・自身に対してはオートバリアー発動
『エンジェルピュリフィ』
・悪しき存在を浄化する浄化理法
ランクSSの天使を選択してルンルンな僕。
しかし、勇者の5人には、ゴミを見るような冷ややかな目で見られた。
周りの異世界人たちからも役立たず的認定になったよ。
まぁ、ステータス値ALLFに隠蔽されているから仕方ない( ´∀` )
隠蔽により、僕はステータスALL F で魔法なし、スキルなし、ゴミというわけだ。
ステータス値がこの異世界の村人並みの僕のことをサント王国の者は興味がないみたいである。
僕は、悲壮感を漂わせながらステータスの隠蔽という文字を手でなぞってみた。
すると、僕の隠れたステータスが『 』書きであらわれた。
なるほどね。
強すぎっ。
隠蔽により、洋服も、何故か茶色のTシャツ。茶色のズボンに他者から見えるように隠蔽されているようだ。
おちゃめ機能かな?なんにしてもこれで生きていけそうだ。
能力値ALLFじゃなかった。
まぁ、ランクSSだからね(笑)
『勇者召喚』でサント王国に召喚されたのは間違いないから、付いて来るように言われ僕も王様のもとまで向かった。
(((((*´・ω・)トコトコと歩いていく。
王様に会う前に、僕達を誘導する騎士に
『くれぐれも粗相がないように。無礼なことをしたら、殺されてしまうからな』
と言われ、少し身構えた。
まぁ、なるようになるさー、といった気持ちに直ぐに切り替わったけどね。
そして、僕達を召喚した理由を王様が詳しく教えてくれたのだが王様の言い分が胡散臭い。
臭う。臭うぞって感じだ。
こんにゃくの入っている袋を開封したときみたいに臭うぞ。
イカのおつまみの袋を開封したときみたいに臭うぞって感じだ(笑)
あやしい。怪しい。妖しい。奇しい。奇妙だ。
王様が言うには魔王(強大な敵)率いる魔の者たちがサント国をわが領土にしようと目論んでいる。
我が国はそれにより危機に瀕している。
そのせいで、民は不安に駆られている。
愛する国民たちの平和のために助けてほしい。
そして、魔王率いる魔族の侵略により、男手が減り、畑地などはダメにされ、収入や収穫が減り満足に食べ物を食べれずに苦しんでいる。
その為に助けてほしいというものであった。
日本に帰る方法は魔王が知っている。
明らかに嘘っぽい。
日本に帰る方法の話とか、帰る方法書いた紙は魔王に盗まれた?予備の紙書いてない?あやしい。
それに、王様の言いぶりだとこの国は危機的状況にあるはずなのに、周りにいる人たち肥満体型ばかりなんだよな。
王様、王妃 王女3名は、ニキビだらけの油ギトギトの顔をして体型はデブ、控えめに言ってもぽっちゃりではなく、誰がみてもデブと言いそうな体型だ。
そして、めちゃくちゃ金掛かってそうな感じのする指輪を全部の指にはめている。
周りにいる大臣たちもいかにも贅沢な暮らしをしてますって感じの体型だ。お腹出てる。
国民が食べ物がなくて苦しんでいるって嘆いている王たちだが、贅沢三昧しているように感じる。
そういういろいろなことを総合考量した結果、これはだめなタイプの異世界召喚だという結論に至った。
これは、勇者の善意につけ込んで、疑いを起こさせずに、『プレゼントです』とか言って奴隷の腕輪(これをつけられるとご主人様に反抗できなくなる)とか夜中寝ているときに、奴隷紋章(奴隷の腕輪と似たような効果)をこっそりつけるつもりなのではないかと小説知識が頭のなかに浮かんだ。
奴隷になるなんて、まっぴらごめんだ。
奴隷のいない生活を送っていた俺には、奴隷生活なんて想像もできない、
勇者とは言っても、結局、政治の道具にされたり領土拡大のため、他国に戦に駆り出されるとか、魔王を討伐したあとに殺されるか、牢獄される可能性もあるしな。
異世界物の小説ではよくある話だ。
とにかくこの国の都合のいいように使われるだけだろう。
それに、僕は勇者でもないからロクな扱いされず、最悪処刑される可能性だってある。
まぁ、もともと、若しも異世界召喚されたら、誰の下にもつかずにほのぼのと自分のしたいように生きていこうと思っていた。
悪しき存在でも対処していく旅にでも出ようと思う。
僕は、ここは今すぐにでも城から出た方がいいと決断した。
そのため、とりあえず王様に話す許可をもらい、
『申し訳ないのですが、自分は勇者ではないようです。この国にいては勇者や王様たちの役にたてそうにありません。無能者である自分が居ても意味が無いと思いますし、高貴な王様がたの視界に自分が居ることは恐れ多く思います。そのため、速やかにこの国から出ていこうと思います』
と告げた。
下手に、この場にとどまって、使用人として働けなどと言われてしまった暁には、最低最悪な雇用関係にされてしまうと思った。
労働基準法とかなさそうだし笑
僕の言葉を聞いた王様は、『そうだな、高貴な世の前で無能者など要らぬ。直ぐに城下街の外にでていけ』とツバを大量に飛ばしながら言った。
気持ち悪い。離れていて良かったと思ったよ。切実に……。
謁見の間を出る際に、王様からは最後のお言葉を頂いた笑笑
『野垂れ死ね』とまで言われた。
そこまで、言わなくてもいいと思うのは僕だけだろうか?
そんな言葉を発するような王様が、旅立つ資金などくれるはずもなかった。
お金1円もくれなかった。
えっ?ケチすぎない?
そして僕は、次の街?村?に向けてトボトボと歩いている現状だ。
取り敢えず今日1日生きていくことを考えよう。
お金の価値を含めてこの世界のことを早めに知る必要があるね。
そして、できるかぎり早くこのサント国から離れる。
国のトップ共からしてあのていたらくではサント王国はもうだめだと思う。
ここにいてもロクな目に遭わない気がすると決意した。
さぁ 旅の始まりだ!!!因みに
僕のステータスは
『ステータス』
名 前:勇越 夢
性 別:男
年 齢:23
種 族:人間 (天使)
L V : 1『Max』
体 力: F『SS』
魔 力: F『SS』
魔攻力: F『SS』
攻撃力: F『SS』
防御力: F『SS』
俊敏力: F『SS』
スキル:なし『異世界言語』
魔 法:なし
理 法:①治癒理法②守衛理法③浄化理法
『特殊装備』:『スマートフォン(エンジェルフォン)(エンジェルショッピング)』
服装:茶色のTシャツ 茶色のズボン
称 号:勇者召喚の巻き添えを受けた者(村人A) 『勇者を越えし者⇒天使』