★第96話 三雲 春 の旅① LIVE魔法
追加話です。
「血の臭いがするぅ」
春ちゃんもこの異世界に慣れてきて最近は1人で出かけることが増えた。
俺は、春ちゃんの行動をコマンドウィンドウ画面に映しながらフォスンの街の自室でホットコーヒーを飲みながら過ごしている。
因みに、スクリーンに写しているのはLive魔法だ。
今回の場合だと、春ちゃんがLive中継を許可しているため、見ることが可能。
他にも、俺の加護配下たちも現在、LIVEしており、ホットケーキ甘い夢喫茶店やその他の俺の店舗は常時、LIVEが見ることが可能。
正直、便利で面白い。
今、ホットコーヒー甘い夢喫茶店のLIVEでは、ホットケーキ焦がしたのをこっそり捨てようとしたのがバレて店長のバナジに指摘されて泣いちゃっている子が写っている。
その子を慰めながら、焦げたホットケーキを食べているマジカルナイトちゃんの身姿が笑笑
「豪華な馬車が、襲われているぅ」
豪華な馬車が襲われるLIVE風景。
木と木をジャンプで華麗に飛び移りながら進む春ちゃん。
さすが、忍者の末裔。
「くらえっ。ガイコツ」
騎士らしき男たちに襲い掛かっているガイコツ。
あっ、ガイコツを召喚している人がいる。
どこにでも売っているフード付きのローブを被ったモンスターの姿が見える。
モンスターの種族は、レイスのようだ。
レイスはちょいと特殊で、悪い魔法使いが亡くなった際に、モンスターになってしまう。
墓地で生まれ、アンデッドモンスターのゴーストとして誕生する。
透き通った姿見ではあるが生前の姿に近い状態で生まれ、元魔法使いということと、モンスターになってしまっている為、生前よりも強い存在となる。
そして、打撃斬撃系統のダメージが届かない。
春ちゃんは、まだ、レイスの存在に気づいていないようだ。
ガイコツの大群にやられてしまったのであろう。
複数の騎士が地面にうつ伏せで倒れている。
多勢に無勢状態だ。
生き残っている騎士たちは武器を手に取り馬車を守っている。
馬車に守るべき存在がいるのだと推測できる。
「火遁の構えぅ烈火熱」
ガイコツに近づきながら、火遁の印を両手で組む春ちゃん。
視界に映るガイコツたちの中心部分に燃え盛る炎が起こる。
「ガラガラ」
「ガラ」
「ガッ」
ガイコツたちは、声を上げながら力尽きていく。
「忍術 高速回転手裏剣」
最近、店の庭で木に向かって、手裏剣の練習に念を入れていた春ちゃん。
春ちゃんに向かって走ってきていたガイコツの足に手裏剣があたり、すってんころり状態となる。
忍術は体内のエアルと呼ばれる気力をコントロールして、自身の技を上昇させたりする技である。
足にエアルを集中することによりエアルによって、水の上を歩けたりすることが可能だ。
エアルは謎が深い。
「忍術 忍刀刃」
「ガラガラッ」
すっころんだガイコツに忍刀で刃を放つ春ちゃん。
風魔法のエアスラッシュやエアカッターのような感じだ。
「コロンコロン」
「よいしょっとぅ」
他のガイコツが自身の骨を投げて攻撃してきた。
2本ある忍刀の使ってなかった方で、ガイコツの骨を弾く。
骨がコロンコロンと地面に転がる。
「多いぅ。減らないぅ」
目に見えてガイコツの数が増えていく。
それもそのはず、レイスがどんどんガイコツを召喚しているから。
ガイコツはFランクモンスター。
正直、弱いのだが、数が多いと疲れるし、ケガをしてしまう。
「コツコツガイコツコツコツガイコツ、サモン」
フード付きのローブの男レイスが呪文の詠唱を行い、サモンという言葉の後に、召喚魔法陣が足元と、顕現する場所に現れる。
「気持ち悪ぃぅ」
ほねのかたまりが現れて、その骨骨たちが、どんどん集まっていき、集合するとモンスターのガイコツとなった。
ガイコツ系のモンスター出したことないから良い勉強になるね。
「春ちゃんっ、そいつを倒しちゃおう。刀の斬撃とか手裏剣の投剣の直接の攻撃は効かないから、エアルをまとわせて攻撃するか、遁術で攻撃しよう」
LIVE魔法にはコメント機能があり、俺がコメントすると、LIVE中継している者の左上にコメントが表示される。
「ゆめくぅん。わかったぅ。見ててぅ。火遁の構えぅ烈火熱」
燃え盛る炎がレイスを襲う。
「あぅ。倒れないぅ」
現在の火遁Dランク。
いくら、レイスの弱点が火であっても、Aランクモンスターには、一撃では倒せない。
「いてっ、いてて、いたいぅ」
レイスは直接の攻撃はしてこない。
レイスの生前も魔法しか使わない魔法使いだったのであろう。
近くにいたガイコツたちが骨を次々に投げて、春ちゃんを攻撃する。
生命力ゲージは1ミリ程度しか減っていなく、本人もあまり痛くないであろうと思うが、たくさん投げられて、春ちゃんは涙目だ。
「はぅーーーー。なんかぅ、力がみなぎってきたぅーーー」
バニラ色のモクモクが身体を包み込んでいく。
あっ、ブレイブヒーロー状態だ。
【ブレイブヒーロー】
他者からの直接的なダメージや敵意を向けられるとダメージカウントが発生し、一時的なブレイブヒーロー状態になる。
基本的に能力値がブレイブヒーロー技を発動するまで上昇する。
「すごいぅ。なんかぅ、技名が表示されたぅ。煉獄炎陣」
対象の敵の魔法に反応して、技が継続的に発動。
炎が青い。
まるでガスバーナー。
とてつもないんだけど。
「レスレスレスレスゥー」
痛みを感じながら、息絶えていくレイス。
召喚者が亡き者となったからであろう。
ガイコツは全て消滅した。
「ご助力感謝します」
騎士が春ちゃんに声をかける。
「いえいえぅ」
「うわぁーん。しっかりしてー。マリアナ、大丈夫。大丈夫だからー」
女の子の泣き叫ぶ声。
馬車の中から聞こえてきた。
春ちゃんと騎士が近づいていく。
12歳くらいの長い茶髪の女の子が、マリアナと呼ばれた水色の髪の女性の手を握っていた。
口から赤い血を流し、苦しそうにしているマリアナと呼ばれる女性。
その女性は吐血している。
「んっ、このにおいは、毒か。解毒薬。解毒薬はどこにある」
騎士が女性が毒に侵されていることにきづくら、
側にいた騎士たちがあたふたと慌てる。
「裏切って逃げたあいつに管理を任せていました。手元にはありません」
騎士の1人がそう発した。
騎士の中に裏切り者がいたのであろう。
レイスの存在も、裏切り者の計画的反抗だったのかもしれない。
「そんな、マリアナが。マリアナが」
泣きじゃくる女の子。
「あっ、解毒薬って、これで良いぅ?」
おもむろに、リュックサックに手を突っ込み、ポーションを出す春ちゃん。
「くまに襲われていた男の人が持ってた荷物の中に解毒薬があったぅ。その男の人は、はるぅが見つけた頃には、生命が間に合わない状態だったぅ」
もしかしたら、春ちゃんが見つけた男は、逃げた裏切り者だったのかも知れない。
「それは、解毒ポーション。なんと、幸運だ」
喜び合う騎士。
騎士に解毒ポーションと回復ポーションを手渡す春ちゃん。
「はっ!!お嬢さま、苦しいのが落ちついてきました」
「マリアナーーーー」
お嬢さまと呼ばれている女の子は、女性に抱きつく。
真っ青な顔をしていた女性。
ポーションを飲み、徐々に顔色が良くなっていく。
「ふぅ。よかったぅ」
春ちゃんは、安堵しながら、リュックサックから、アイスココアを取り出し、ストローで飲み始めた。




