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第八話 あるところにはあるらしい

荒稼ぎをしています。


誤字修正もしています。

 

 うっ、赤い顔の女性発見。

 こっちも赤くなるぞ。


「見ましたね」

「うん、変態さんを」


 ショックです。


 だってさ、村の外だと魔物が出るからおいそれと身体とか洗えないだろ。


「普通は家の中で洗うものよ。なのに君、変わっているわね」

「山の民なので」

「ああ、それで平気なのね」


 なんか色々と便利な山の民って言い訳。

 うん、これからも山の民でいこう。


「でも、あの泡みたいなのが気になるのよね」

「石鹸だけど」

「ちょっと、そんな高い物、どこで手に入れたのよ」

「え、そんなに高いの? 山じゃみんな使っていたけど」

「ええええ、村じゃ滅多に手に入らないぐらい高いのよ」

「売れるかな」

「買う、買うわ、いくら」


 にわかに商談になりました。


 とは言うものの、自分が使いたいから作った訳であり、更に言うなら原料の油はその精製度は比較にならない代物なので、出来上がった石鹸水もかなり上質になっている。

 もし、大量に作るにしても、この世界の油じゃ同等の品にはならないような気がするんだ。

 だからあんまり売りたくないと言うか。


 うっ、強引に買い取られた。


 その代わり、思いっ切り吹っかけてやりました。


「金貨10枚」

「そ、それはさすがに」

「なら9枚」

「ねぇ、5枚ぐらいにならないかしら」

「それなら7枚」

「うん、まあ良いわ」


 入れ物を取って来いと言い、いそいそと取りに行く。

 問屋みたいな商店みたいな、何屋なんだろう。

 戻ってきた女性が持っている容器に半分流し込み、金貨7枚を獲得する。


「ねぇ、もう少し売ってよ」

「半分も売ったんだぞ。無くなったらどうしてくれる」

「まあいいか」


 やれやれ、参ったな。


 それにしてもマグカップ1杯ぐらいの量の石鹸水が金貨7枚とか、この世界の物価ってどうなっているんだろう。

 よくよく考えたら換算で2千万円相当とか、あり得ないだろ。


「後はねぇ、甘い物が高いわよ」

「王侯貴族御用達のお菓子とか? 」

「え、まさかそんなのを持っていたり」

「1枚が銀貨5枚」

「それはいくら何でも高過ぎるわ」

「25枚で金貨1枚」

「うっ、味見、ダメかな」

「単品売り、銀貨5枚」

「ちぇ、仕方無いなぁ」

「味見するなら24枚で金貨1枚」

「まあ、仕方ないわね。その代わり、美味しくなかったら許さないからね」


 それは知らんよ。


 オレは甘い物はあんまり好きじゃないんだし。

 それにしても、コンビニで150円のクッキーとか、円換算だと銅貨2枚が原価か。

 ちょっとぼったくり過ぎたかな。

 だけど無一文で異世界だからなぁ、取れる相手からは取らないと、武士じゃないんだから高楊枝はしないぞ。


 宿で売ると告げ、途中で色々な容器を買いながら共に歩き、1階で待っていてもらってクッキーの箱を開けて25枚を入れ物に入れ、そのままそろりと降りていく。


「へぇぇ、変わったお菓子ね」


 サクッとした歯ざわりに驚いた後、その舌触りにも驚き、その甘さにも驚く。


「金貨1枚だったわね」


 あっさり売れました。


「ねぇ、もう無いの?  」

「いや、もっと高く売れそうだし、他の町で売るよ」

「ねぇ、金貨2枚でも良いからさ」


 念の為にと売り渋って見せたらまだ上を言うのか。

 こいつ、まさかお貴族様の関連じゃないだろうな。

 こんな小さな村でお貴族様となると、領主関連かも知れない。

 となると、下手な売り渋りで領主の一声で捕縛の後の接収とかになると困るし、残りの3箱を売り切っておいたほうが良いな。


「残り75枚あるよ」

「そんなにあるのね。うん、全部買うわ」


 やっぱり、ただの村人じゃないのは確実だ。

 早いとこ売り切るのが吉だな。

 となると、チョコレートも売れるかな。

 なんにせよ、売れる物はとっとと売り払い、身軽になったほうが良いな。


 邪魔な代物で捕縛とか、洒落にならん。


 またもや2階での作業の後、25枚入りの容器を3つと、チョコの板が10枚入った容器を持って降りる。

 クッキーの箱はそれぞれ金貨2枚で売れ、チョコの板は1欠片を食べた後、同様の価格で売れました。

 なのでついでにとばかりに、湯煎にすれば柔らかくなり、色々な細工物にもなると言っておく。

 お使い物になるかも知れないし、上の地位の貴族様とかに献上とか、やれそうな話だし。


 それにしても、100円チョコが金貨1枚とか、金銭感覚がおかしくなるぞ。


「もう全部渡したからな」

「うん、ありがとね。でもこれ、凄いわ。今までに食べた事無い甘さよ」

「もう手に入らない品だ」

「そうなのね」

「山の民の集落はもう無いんだ」

「えっ」

「魔獣で全滅さ。特産品もろともな」

「もったいない話だわ」

「丸いほうは早く食べないとサクサク感がなくなるし、板のほうは暖かい場所だと柔らかくなる。冬場なら良かったがこれから先は保管するのが大変になるお菓子だ」

「うわ、大変だわ」

「まあ、頑張ってくれ」

「うん、ありがとね」


 手に入らないのは本当だ。


 それにしても、酷いぼったくりだったな。

 それでもこれで次の街に行く資金も出来たし、これからはのんびり旅になるかな。


 金貨24枚か、あるところにはあるもんだ。


 それから宿の期限が来るまでのんびりと過ごす事にして、ゴブ肉ジュースも必要最低限に留め、旅の準備も整えていった。

 外での水浴びは懲りたので、宿の中で桶を使ってちまちまと洗うに留めた。

 今はまだランダロフも銀色を保っているが、灰色になる前にまた洗ってやらないとな。


 わらの灰を手に入れて、村の小売で油を仕入れ、またぞろ作ってみたけどやはり品が悪い。

 量も5リットルぐらいが精々で、石鹸になるのに時間も掛かる。

 固めるのなら時間が足りないが、トロトロ状態なら今すぐにでも使える。

 なので置いておけばそのうち固くなるが、このままでも使えると話してみる。

 それで少し値切られたものの、5リットルの石鹸水は村長に高く売れた。

 どうやらあの女性が宣伝したらしく、同等の品じゃないので少し値を下げたものの、それでもかなりの高値で引き取られた。


 その時に製法を聞かれたが、秘伝と言って誤魔化した。


 だけどこのまま留まるとヤバそうな予感がしたので、早々に村を出るつもりだ。

 つい調子に乗っての大量生産は、村の新たな特産品にされたら厄介だ。

 高いという事は製法が秘密なのであり、それを知っている奴とか狙われるかも知れない。


 そんな事になったらいくら体力が上がっているとは言え、狩人上がりなんぞじゃ太刀打ち出来ない相手が来るかも知れない。

 そうなる前にとっとと村を出て、でかい街に紛れないとな。


 それにしても、金貨50枚、ありがとう。

  

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