第五話 妙に体が軽い
連投になります。
その代わり、別の小説が行き詰っています。
あれも何とかしないと……
誤字も何とかしないと。
小金が貯まったので10日の連泊とし、銀貨1枚と銅貨80枚を支払った。
後は弓でも手に入らないかと聞いてみると、銀貨数十枚とか手が届かん。
ただ、弦はそこまで高くなかったので、丈夫なのを2本購入し、銀貨1枚支払った。
いやね、1本が銅貨70枚だと言うんだよ。
そうして2本なら銀貨1枚にしてやるとか言われたらもう、2本買うしか無いじゃない。
それはともかく、弦だけ買っても仕方が無いが、金が無いんだからどうしようもない。
とりあえず余計な荷物は宿に置いて、身軽になって狩りに出かけた。
今回の目的は弓になりそうな樹木の探索が主であり、魔物が出たら狩るけど無理に探しには行かない予定だ。
後ね、宿で思い付いたんだけど、味を付けたらゼリーかババロアになりそうだと思い付いたんだ……ゴブリンの肉が。
何度か食べたけど特に腹痛を起こす事も無かったので、食べても問題無さそうだ。
となればあれを食品に加工出来ないかと思ったんだ。
なんせね、実家の食事は皆の残り物だったからさ、残り物が出ないとゴミ寸前の代物しか無かった訳で、それこそ料理に使えない部分を捨ててあるのを拾い、洗って塩まぶして食ったりもしていたさ。
狩りに行けば獲物の血で喉を潤し、肉も軽く焼いたりナマのまま食ったりでさ、それでも腹痛にならなかったんだから、もしかしたら鉄の胃袋なんてスキルも持っているかも知れない。
それはともかく、早速にも見つけて拉致し、解体広場と勝手に名付けた場所に移動する。
そうして気絶させて腹の肉をえぐり取り、木のコップに入れて砂糖少々入れて混ぜてみる。
ゴクリ……うん、なんか甘いゼリー飲んでいるみたいだ。
とりあえずゴブリンを殺してでかい球を抜き、解体して肉をビニール袋に入れる。
痩せているからあんまり肉が無いんだけど、上半身だけでそれなりになるな。
いや、下半身とか食うところ無いぐらいだから、そいつはパスだ。
こういう時には密閉が可能なビニール袋は重宝するな。
手をビニール袋でカバーし、もうひとつのビニール袋に手づかみで入れていく。
そうして砂糖少々入れて揉み解すと、トロトロになってきた。
そしておもむろに飲むんだけど、砂糖を少しにしたのでほのかに甘いゼリーもどきとなり、これならオレの口にも合う。
朝抜きでのそれは、ひたすら飲んで飲んで飲んで……ふうっ、腹が太る。
うん、これ良いな。
まあこの大量摂取でどうなるか分からないけど、無事なようなら狩りで食事に困らないって事だ。
砂糖は確かに限度がありはするが、量もあんまり使わないうえに、頼まれて買ったのは1キロの袋が2つ。
1回10グラムなら200回分はあるって事で、それなら金が貯まるまではこの方式でいけそうだ。
さて、後は弓に使えそうな木を探さないと。
◇
妙に体が軽い。
更に身体がほかほかして心地良い。
あれって栄養があったりするのかな?
少し動いてみようとしたら、やけに派手になっちまう。
これって一過性のものなのか、それとも永続的なのか。
ゴブリン見つけて殴ったら吹き飛んだ……嘘。
うええ、何だこの力。
5匹のゴブリン相手に無双しちまった。
全員殴って気絶させたので、少しずつ肉を食ってでかい魔石を確保して、ビニール袋5杯の肉を確保して、砂糖を入れて揉み解す。
ううむ、5食分になっちまったな。
とりあえずリュックに入れておくけど、圧力かけたら漏れちまうな。
そろりそろりと村のほうに移動する。
弓の材料を集めるつもりだったのに、余計な事をしちまったかな。
まあ、そこいらの木でも構うまいと、適当に……生木なのに千切れるのかよ。
なんか気分はゴリラか何かのようで、バキバキと木を千切っていく。
弾力のある木をいくつか千切り取り、ひとまずはこれで試すかと戻る事にした。
草原に出て、試しにとリュックを置いて、全力でのハイジャンプ……うおおお、高い高いよ。
オリンピック金メダル確実どころか、これじゃ人外扱いだな。
5メートルぐらいの高さとか、ちょっとあり得ないぞ。
これがレベルアップの恩恵なのか、それともゴブリンの肉の恩恵なのか、はたまた両方なのかが分からない。
明日にでも検証してみるか。
◇
夕食もゴブ肉ジュースでした。
いや、昼も同じなんだけどね。
あれから宿に篭って弓もどきの製作をやったんだ。
んで昼になってゴブ肉ジュースでまた作業を開始して、夜になったらまたゴブ肉ジュースと。
もうね、これだけあれば他に要らないぐらいに元気が継続しちゃってさ、集中力も派手なもんさ。
しかも、疲れも消え去るようで、眠気も全く来ないんだ。
結局、朝までひたすら弓作りに夢中になり、朝食もゴブ肉ジュースにしたところで、弓の仕上げをしたんだ。
カムとか手作りでさ、彫刻の世界になっちまったぐらいだけど、あって良かったノコギリってか。
丸太輪切りを2つ作り、コンパスで円を描いて中心点に穴を開けて、カムっぽい滑車みたいなのを拵えて、弓の上下に取り付けて弦をクロスさせて往復させてと、まあそんな感じでもどきです。
やっぱり竹じゃないと作り難いな。
ゴブ肉ジュースが尽きるまでには何とか完成し、いよいよ実践開始です。
おっとその前にニカワを何とかしたいけど、あれは臭いから宿でやると大迷惑確実。
矢羽はまた後でも良いかと、適当な木の棒を飛ばしてみました。
まともに飛ばない、当たり前。
でも威力は中々なので、モチベーションが上がります。
今日の狩りは村の中にある小山で行います。
ここには動物しか居ないと言われいますが、あんまり数を狩るのは禁じられています。
しかも有料です。
「鳥1羽だと銅貨25枚だな」
「小動物だと? 」
「同じだ」
「両方だと? 」
「そうさの、まあ、銀貨1枚くれりゃ5匹ぐらいは構わんでの」
そんな感じの有料です。
これも村人なら年間割り当てが決まっていて、無料で狩れるらしいですが、永住はしません。
もうね、あれやこれやと永住特典みたいなのを言って来るんだよ。
確かにしばらくなら居ても良いけど、折角の異世界なんだしあちこち見て回りたいしさ。
だからそんな訳で、オレは永住はしませんからね。
「日替わりひとつ」
「定住すれば半額だよ」
「しません」
「そうかい、そんなら銅貨10枚だの」
本当に定住割引があるのか、それともぼったくられているのか、それがどうにも分からない。




