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第二十話 竜族の調停者

お得なスキルにニコニコ、インフレでガクーン、美味い話には裏があります。

 

 まさか意思疎通のスキルで竜族ばかりでなく、神様とも話が出来たなんてな。

 本当にネタスキルとばかり思っていたけど、意外に役に立ってびっくりである。

 それでもこんな事は望んではいなかったが、大いなる流れ、つまりは運命なんだろう。

 そういう事ならもう、すっぱりと諦めるしかあるまいな。


 恥ずかしい魔法も何度かやっているうちに、あの詠唱が不要になりました。


 なのでこの際、魔法名と離陸を合わせて別の名前で管理しようと思いました。

 やはりファンタジーな世界なので、それなりの名前にしようとしたんですが、これがどうにも巧くいきません。

 結局、似たような事になってしまいました。


 魔法名『フライトプラン』です。


 航空機に成り切るまでは同じですが、そこからはイメージのままに飛べるようになりました。

 成り切ると言っても見た目が変わる訳ではないので、人前で使っても問題ありません。

 ただ、ランダロフが置いてけぼりになるので、背中に乗せての移動になります。

 それがさ、あいつ、高所恐怖症の気があるのか、飛ぶと思いっ切りしがみ付くんです。

 なので爪が立って背中が痛いのなんのって。

 それに髪の毛を噛むので首筋から髪にかけて、よだれでドロドロになるんです。


 早く慣れて欲しいものです。


 ◇


 慣れる前に対策を考えました。


 まるで自分が馬になったようですが、くらの様な物を拵えました。

 つまり、背負子みたいな物を着用し、そこに乗せる方式です。

 ガードの付いた取っ手のような物に噛み付いてくれるので、髪がよだれでドロドロになるのも防げます。


『また面妖な物を拵えたの』


 以前、退去してくれた竜です。


『酒は持ってきたのであろうな』


 スポン……ダバダバダバ……


『ふうっ、ほんに良いのぅ』

「また他の竜への口利きを頼みます」

『うむぅ、分かっておるぅ。急かすでないぃ』


 あれ以来、すっかり仲良くなり、他の竜への口利きをしてくれるようになった彼だが、実は飲兵衛だと言うのが判明した。

 こちらの金で向こうの品が買えるのは確かだが、金貨が1万円相当らしい。

 つまり現在の物価がおかしいらしく、当初はそんな換算率だったらしい。

 その頃からのシステムなので、今更換算率を変える訳にはいかないと言われてもな。


 意思疎通スキルの恩恵か、疑問があれば夢で回答してくれるようになりました。

 もう助けは無いと言っていたのに、ありがたい話だ。


 ともかく、1升瓶の酒が銀貨15枚で手に入るのはあちらの物価の恩恵だけど、良質なのはもっと高い。

 だけどそんな味の良し悪しは問わないようで、今ところは安酒で何とかなっている。

 それでもまともに換算すれば45万円相当なので、高いと言えば高い。

 なので、依頼の報酬のうち、酒の代金がかなりの額を占めるが、これはもう必要経費と諦めるしかない。


 だからずっと安酒で許してくれよな。


 ◇


 この仕事にもかなり慣れ、今では世界で唯一の竜族の調停者として、ギルドの庇護を受けながら地味に過ごしています。

 そして他の竜とも話すようになり、知られざる世界の真実なども知る事になりました。


 やはり、真実の魔人化には世界樹の樹液が必要らしく、当時の森の民によって禁薬指定がなされたそうです。

 それを破ろうとしたある国が森の民によって滅亡に追いやられてからというもの、その薬は歴史から消えたらしいです。

 そんなに森の民が強いのかと思ったら、竜族が協力したという話でした。


 だから内実を知っていたのですね。


 竜にとってもあの樹木は聖なる存在として大切に思っているらしく、それを傷付けようとする国が我慢ならなかったと言うのが当時の竜族の統一意見だったそうです。

 そして森の民の要請に快く応じ、共に悪しき者達を滅ぼしたのだと聞かされました。

 そんな彼らに裏技の話をすると、皆一様に安心していました。

 もう聖なる樹木が狙われる事は無いのだと。


 なので彼らに許可を出しました。


 どうしても薬の製法が探られそうになった時、裏技の存在を使っても構わないと。

 試しに飲ませてみたところ、とっても美味しいと言われました。


 だけど、催促は無しにしてね。


 ◇


 商会を立ち上げました。


 あれから飲兵衛な竜への貢物の量が増え、依頼料だけでは生活が苦しくなったからです。

 それと共に多少なりとも舌が肥えたのか、酒のランクを上げる羽目になりました。

 今では吟醸酒オンリーになってまして、2本で金貨1枚とか勘弁して欲しいです。

 後、竜族が暮らしている場所に案内され、竜の長へも貢物を渡すようになりました。


 そこには幼い竜も居て、その子達は甘い物が好きなようです。


『けーきけーき』

『けーきけーき』


 うっかりとショートケーキを持参したところ、すっかり病み付きになってしまいました。

 子竜達は竜族の地を訪ねると一様に騒ぎ立て、揃って口を開けるんです。

 なので、順番に投入していきます。


 いくら安いとは言え、数が多ければ負担になります。

 1個が銀貨3枚ですが、10匹居れば30枚です。


 そんな訳で商会で稼ぐのです。


 やはり石鹸は大国の独占になっているようで、下手な商売は狙われると言われました。

 なので自分使いのみに留めますが、ランダロフにはちゃんとリンスも使います。

 なので銀の毛はいつも艶々していて、撫でるとふさふさです。


 商売にするのは必需品です。

 一度使えばもう手離せない品です。

 詳しくは言いませんが、うちの店員も愛用しています。

 え? はい、女性です。

 水溶性の品のみの仕入れで、使用後は川に捨てたり出来るようにしています。


 金貨1枚で1000枚買えるのですが、銅貨10枚で等価なので、それ以上に売らなければなりません。

 ですが、1枚の原価が3000円相当はさすがに高いので、お貴族様ぐらいしか需要がありません。

 ちなみにうちの店員ですが、給与の半分を現物支給にしています。

 つまり、それがあるからこそ、真面目に勤めてくれるんです。

 もちろん、他の商会からの引き抜にも応じませんし、社内秘も漏らしません。

 必要で仕入れた品でしたが、思った以上に効果があったようです。


 さて、そんな裏方な話は置いといて、本命の商品です。


 向こうで安い物でこちらで高い物。


 最初に考えたのは胡椒ですが、これまた貿易に関わるので出所が詳しく詮議されるらしく、新米商人には向かないと言われました。

 次に考えたのはお米ですが、専用の炊飯鍋が必要なので断念しました。

 ちなみにうちの家では、ライスパックを仕入れてお湯で戻しています。

 ランダロフは冷凍食品のピラフが好きなようですが、お湯で戻すしか方法が無い為、あんまり美味しくないと思うのですが、それでも良いようです。

 それでも毎日という訳にもいかず、月に何度かの贅沢になっています。


 それはともかく、まずは蜂蜜です。


 蜂蜜はハニービーからも採れるので、貿易とは関係ありません。

 冒険者でもあるので、自分で採りに行ったと言えば、誰も文句は言えません。

 そんな訳で、金貨1枚で6キロ買えるのは外国産の品ですが、安いのでこれを仕入れています。

 あちらの蜂蜜はこちらのと比べると濃厚らしく、かなりの人気商品です。

 とは言え、1グラム当たり、換算で500円なので、安い物ではありません。

 顧客は主にお貴族様になってまして、既に常連になっている方も居ます。

 彼らは1キロ当たり金貨5枚で買ってくれます。


 30倍ですね。


 もちろん専用の容器も仕入れていますので、実質的には25倍ぐらいです。

 さすがにラベル付きで売る訳にはいきませんので、白い陶器の容器も仕入れています。

 最初はあちらの容器に移し替えていましたが、その容器も欲しがるようになり、込みの価格に変更になったんです。

 そのせいか、お使い物にも見目が良いと喜ばれるようになりまして、購入量が増えてありがたいです。


 そしてコピー用紙も仕入れています。


 1枚1円ぐらいの安さなので、300倍になっても知れています。

 両面が真っ白なのでかなりの人気となってまして、商会やギルドが購入先です。

 羊皮紙が安くはないので、それとの価格の比較で1枚3000円相当でも問題が無く、大量に購入してくれるので10倍の利益率でもかなりの儲けになっています。

 これは完全に出所が言えない品なのですが、特に売り先を厳選しているので問題ありません。

 商人はお互い表に出せない取引などもある為、商人に直接売る場合は入手方法を問われる事はありませんし、転売に関しては自己責任を約束させ、特別な契約の魔法を使用しています。

 これは各国公認の正式な契約に用いられる代物で、破ると神罰があるそうです。

 後はギルドですが、庇護される身なので融通が効くのです。


 その他にも貢物に使用した1升瓶自体を販売しています。


 ラベルを剥いで売るのですが、溶かして再利用するそうで、回復薬のガラス瓶に活用されるそうです。

 もっとも、そのまま使う人も居るようですが、割れるとおしまいなので、持ち運ぶ人には向きません。

 どうやらワインを詰めて寝かせるらしく、その手の愛好家には秘かな人気となっているようです。

 他には小口の品をいくつか仕入れていますが、殆ど儲けにはなっていません。


 それでも懐かしいので、カップラーメンは仕入れています。

 

ドラゴンはでかいので、酒の量も凄まじいです。

上を向いて口を開けたところに流し込むのですが、まるで空中給油ですね。

飛行魔法必須なのも頷ける話です。

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