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第十七話 詐欺師になったようです

 

 昨日は久し振りに酔っ払ってしまいました。


 ランダロフも呆れていましたが、いよいよ行動開始しようと思います。

 ゴブリン気絶首チョンパ作戦の開始です。


「アレ、禁止な」

「……ブフン」


 閃きました。


「アレを使いたいなら、肉を少し食え、良いな」

「ウォン」


 これで手間が省けます。

 頼むぞ、ランダロフ。


 成功です。


 これからはランダロフに任せます。

 彼もあのスキルが気に入っているようなので、ドンドン狩ってもらいましょう。

 そう思っていたら、ワンランク上がりました。

 体当たりをして気絶させて、肉を少し食べて首を噛み千切るんです。


 うーん、趣旨を分かっているな。


「ランダロフ、賢いぞ」

「ウォーン」


 得意満面です。


 街道を歩きながらの狩りは順調で、でかい魔石も増えています。

 それと共に樽の中には無味無臭のゴブリンの肉も増えています。

 実は王都で砂糖を仕入れようとしたんですが、隣の国から仕入れているらしく、隣の国で買おうと思い、現在移動中です。

 隣の国は本当に東の果てなので、米にも期待が高まっています。

 ですが、さすがに聞いた事も無いとなると、無い可能性のほうが高いです。


 隣の国を見聞したら、船にも乗ってみたいです。


 ただ、この世界の造船技術次第では、遠慮したほうが良いかも知れません。


 ◇


 ゴブリン肉が大量になった頃、ようやく隣の国に到着です。


 やはり砂糖は売っていますが、凄い価格です。

 それでも必要なので買いましたが、金貨10枚が飛んでいきました。

 エールジョッキ1杯で金貨1枚とか、とんでもなく高価です。


 100グラム300万円か、どんな香辛料だよ、砂糖って。

 向こうじゃ1キロでも300円だったのに、こっちでは3千万円です。

 なんと10万倍ですよ、奥さん。


 宿屋に篭って手持ちのゴブリン肉は全てゴブ肉ジュースになりました。

 早速、ランダロフが喜んで飲んでいます。

 今日は好きなだけ飲ませる約束なので、さっきから継ぎ足しています。


「クシュン……ファァ……ワフン」


 どうやら満足したようで、眠そうです。

 元気になる薬も量が過ぎれば、眠たくなるようですね。

 またひとつおりこうになりました。


 眠ったランダロフを尻目に、こちらは作業続行です。


 またもやガラス容器の大量購入をやりました。

 またまた金貨10枚の消費ですが、その代わりに1000本確保です。

 1本が100ミリリットルぐらいの容器なので、100リットルぐらい詰める羽目になりました。

 10リットルぐらいの樽が100近くあるので、あんまり減った気がしませんが。


 さて、商品名を考えますか。



『マカロン』


 短期的な身体強化効果。



 こんなもんですね。


 魔人化の可能性など、余計な事は書きません。

 それに永続的な能力の微増も書きませんし、半日ぐらい効果が持続するのも書きません。

 そういう有用だけど目立ちそうな情報は、必要で仕方なく出す代物。

 何の為に150本も消費したのかって話ですよ。


 知りたいならたくさん買って自分で調べてください。


 そういう情報はいざって時に、権力者に提供する為に用意したんです。

 例えば王様に聞かれてさ、知りませんじゃ通らないでしょ。

 まあそんな機会が訪れない事を祈りますが、そういう用心は必要だと思うのです。

 実は他にも理由があるのですが、そちらのほうが本命かも知れません。


 ちなみに、マカロンと言うのは『魔化論』です。


 ◇


 とりあえず商品が出来たところで行動開始です。


 とは言うものの、アレを売る訳ではありません。

 そんな目立つ事は本意ではないので、あれは一種の保険です。

 派手な力で魔人と疑われた時、実はこういう薬を飲んでいたと言うのです。

 そしてその効果を聞かれた時、初めて情報が生きてきます。


 でも、知らなければ?


 言い逃れが出来なくて拉致されての、強制的な情報収集に強制参加になりますね。

 つまり、一連の事象の発覚までの時間、これが大事なのです。

 薬の効果での一時的なものだと言えば大抵はそこで終わります。

 精々が自分にも売ってくれって話になるぐらいですね。

 そこでぼったくり価格を出せば、割に合わないと思うでしょう。

 それでもそれを突破して大量に購入し、毎日飲んだ後では見合うと思い直すでしょう。

 そうして買い占めたいと思うようになっても、その頃にはトンズラしています。


 まるで詐欺師の行動のようですが、騒ぎになるよりはましです。

 国はたくさんあるって話だし、他の国に逃げればなんとかなるでしょう。

 既得権益だと思えば、他人に呼び掛けての捜索はやれません。


 だって儲けが減るじゃないですか。


 ◇


 港にはでかい船が停泊していますが、あれで他の大陸に行く訳ではないようです。

 聞けば隣の国までの船便らしいですが、陸路もあるのにご苦労な事です。

 確かに時間短縮にはなると思いますが、海には魔物も居るのにわざわざ危険を冒すのですね。


「海に魔物? はっはっはっ、心配無いよ。魔物避けはしっかりしているし、船には戦闘員も乗っている。万が一、近付いても倒してしまえば良いのだよ」


 こういうのはフラグとは言わないのか?

 乗ると後悔しそうな予感がひしひしするんだが。


 え? この国の王子様が乗る?


 うわぁ、これはますますヤバい予感だ。

 隣の大陸に行く訳じゃないんだし、素直に馬車に乗ってろよ。

 王族が冒険してどうするんだよ。

 事故があったら船会社が迷惑するだろ。

 王族を事故に遭わせたとか、商会が終わるぞ。


「で、どうするね。乗るかね」

「それにしても、凄い度胸だね」

「それはどういう意味かな」

「それとも善良な商会だから誰にも恨まれてない自信があるのかな」

「それは……もちろんだよ」

「他に先駆けて王子様を乗せるのに成功したとか、ライバル商会が狙わない訳が無い。何かあったら即座にお取り潰し確定だし」

「嫌な事を言うな」

「でもそれが人間、ましてや商人ってもんでしょ。商人は血も涙も売れるならば売るもんだ。甘い事を言っていたら大成は出来ない。機会があればライバルを蹴落とすぐらいはやるのが商人ってもんだ。だからオレは乗らないよ」

「う、段々心配になってきたぞ。拙いな、護衛を増やすか」

「別の船でサーペントとか刺激して、誘導しても退治出来るのかな」

「うぐっ、そんな事をされたら」

「だから乗らないよ」

「ううむ、どうするべきか」

「他の商会に権利を譲り、見返りを取る」

「今更それはさすがに、いや、しかし、それならば」


 これも何かのスキルかな。

 口八丁でいくらでも心変わりするんだけど。


 どうせ神殿に行くならと、10枚もらって来ました。

 金貨10枚は痛いですが、いちいち調べに行く手間が省けます。


 うえっ?


 スキルが増えていますが、これはちょっと。



 名前・ススム・イワハタ 通称・シン

 種族・人族(亜種・魔人)

 階級・28

 技能・『悪食』『鉄腹』『木工』『弓術』『解体』『斧術』『伐採』『健体』『魔化』『従魔』『新技』『裏技』『詐術』

 固有・『意思疎通』『神の祝福・亜空間倉庫』

 従魔・ランダロフ(魔獣)



 通称なんてのが増えているな。


 ススムって呼び辛いと言われ、進の音読みでシンってやってたら適用されてるや。

 階級も少し増えているのと、怪しいスキルがまた増えたな。

『新技』『裏技』『詐術』だけど、最初の2つはまだしも、3番目とか詐欺師に必須な技能じゃないのかな。

 ああ、山の民作戦で付いたのか。


 後は神の祝福ね。


 つらつらと考えてみるに、あれは本当に神様だったんだな。

 ステータスシステムに適用されるぐらいなんだし、それは間違い無いんだろう。

 だったらさ、ちょっと言いたい事があるんだよ。


 どうして承諾も無しにいきなり異世界転移とかしたんだよ。

 どうせ必須とかなら、せめて準備ぐらいさせろよな。

 いきなり送り込みやがって、対処するのに苦労したぞ。

 おやっさんにも不義理になっちまったし、どうしてくれるんだよ、全く。


 困った神様だ。


 そもそも、神の祝福とかあるんなら、最初にくれよな。

 でかい荷物背負って大変だったんだからな。


 かたつむりじゃあるまいし。

 

おまけ


異世界の文字言語での会話。


「キョウハドンナリョウリヲタベヨウカナ」

「オキャクサン、キョウノヒガワリハトクニオイシイヨ」

「ソレナラソノヒガワリニシテヨ」

「ハーイ、ヒガワリイッチョウ」


こんな感じですね。

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