表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

第十一話 魔人って何?

 

 それからたまに魔物が出たが、大した事は無かった。

 そうしているうちに、何とか次の街に到着する。


 早速、神殿に赴いて祝福紙を買うんだけど、お布施って形でのお返しって感じになっていた。

 名目なんだろうけど、白々しいと言うか何と言うか。

 そんな外面とかあからさまだから、普通に販売すれば良いのに。


 そんな訳でノーマルと簡易の2枚を獲得したんだけど、ランダロフの分も取得した。

 つまり、自分が金貨1+2で3枚、ランダロフが1枚の合計、金貨4枚支払った。

 ランダロフは唱えられないので、前足を羊皮紙に置いて、オレが唱えてもやれた。


 その結果は以下のとおり。



 名前・ススム・イワハタ 

 種族・人族(亜種・魔人)

 階級・24

 職業・魔物使い

 技能・『悪食』『鉄腹』『木工』『弓術』『解体』『斧術』『伐採』『健体』『魔化』『従魔』

 固有・『意思疎通』

 従魔・ランダロフ(魔獣)

 賞罰・なし



 名前・ランダロフ 

 種損・山犬(魔獣)

 階級・19

 技能・『突撃』『爪撃』『体当たり』『魔化』『首切り』

 固有・『思念伝達』

 所属・ススムの従魔



 えっと……何でかな。


 おっかしいな、確か山犬って動物だと聞いたんだけど、魔獣になっているよな。


 ああ、うん、はい。


 自分のをスルーしてましたが、わざとです。


 だってさぁ、亜種・魔人って何って感じだし。


 幸いにも簡易のほうはこんな感じ。



 名前・ススム・イワハタ

 種族・人族

 職業・魔物使い

 賞罰・なし



 よし、これをギルドに提出だ。


 でも何で魔人なんかになったんだろう。

 魔に関する何かをやらかしたって事だよな。


 ま、まさか……あれ?


 つまりその、ゴブ肉ジュース?


 あれなの?


 それならランダロフが魔獣ってのも分かる話だ。

 一緒になって飲んでいたんだし。

 他に思い付かないんだよな。

 そんな訳でノーマルの身分証明羊皮紙は、共にリュックの底に追いやる事にした。


 隠蔽工作ですね。


 神殿を出ると同行してくれる冒険者の人が待っていて、そのままギルドに同行する事になる。


「どうだ、階級はどれぐらいだった? 」

「それなりでした」

「まあ、2桁あれば問題無いからな」

「はい、ありました」

「そうか、それならいきなり討伐依頼でもいけるだろう」

「分かりました」


 そんなこんなでギルドでの手続きも、口添えがあるからすぐに終わり、入会金を支払ってギルド員となる。


「あ、それから従魔の登録もお願いします」

「その子が従魔ね」

「はい、ランダロフと言います」

「成程。分かりました」


 入会金は銀貨10枚、従魔登録は銀貨1枚でした。


 やけに高いなと思ったら……


「あー、こいつな、戦えるからな」

「では、戦闘証明は」

「オレが保障する」

「分かりました」


 9枚返金されました。


 つまり、戦闘証明の為の合宿費用を入会の時に徴収するらしく、それが免除になったので返金と。


「ありがとうございました」

「金も浮いたし、お得だったろ」

「はい、助かりました」

「おっし、これからは同じ冒険者だ。お互い頑張ろうぜ」

「はい、よろしくお願いします」

「おうっ、でよ、しばらくオレ達とパーティ組まないか? 」

「どういう事でしょう」

「あー、つまりな、あの3人組が追加になったのも、うちが5人のせいなんだわ。つまりな、後衛ばかりが多くてな、前に出て戦える奴がオレしか居なくてよ、そんな訳で助っ人と言うかさ、それで募集したんだわ」

「オレは主にナタで戦うので前衛ですが、弓も一応は使えます」

「ほお、それなら文句無しだぜ。それでどうだ」

「そうですね。慣れる間で良ければお願いしたいです」

「よっし、なら、酒、いけるな」

「それなりです」

「よっし、付いてきな」


「……グフン」


 ああ、悪いな。


 そりゃオレだって自由気ままのほうが楽だけどさ、まだこの世界に慣れてないんだよ。

 だからな、もうしばらく我慢してくれよ。


「ウォン」


 ごめんな。


 ◇


 それなりの街なので、あちこちに店がたくさんある。


 どうやらペットも居るようで、ランダロフに首輪を買おうとしたんだけど、よくよく聞いてみると奴隷用の隷属首輪だった。

 まあ、魔術を使わなければ普通の首輪にしかならないので、それでも仕方が無いので買いました。

 そしてペットはお貴族様ぐらいしか持たないそうで、屋敷の中で飼うから首輪とかはしないんだそうだ。


 ランダロフにとっては可哀想だけど、これをしないと処分されるかも知れないんだ。

 しかも、今は魔獣になっているから尚更だし、フリーの魔獣とか誘拐される恐れもある。

 そりゃランダロフは強いだろうけど、野良の魔獣と首輪付きでは待遇が全然違うらしい。

 だからな、我慢してくれよな。


 パーティメンバーが待つ、酒場までの間で買い物が出来たので、ランダロフと共に付いて行く。


「そいつぁ魔獣か」

「はい、でもおとなしいですよ」

「あー、まあそうだな。オレは野犬かと思っていたが」

「……ブフン」

「くっくっくっ、済まんな」

「ワフン」

「分かるんですか? 」

「あー、なんとなくな。それよか、やっぱり魔獣だな。人の言葉を理解しているだろ」

「はい、そうですね」

「賢いのは良いよな」

「ウォン」

「くっくっくっ」


 そんな訳で酒場での自己紹介を経て、一時参加が決まる。

 パーティ名は全員の頭文字から付けられたらしく、座りが悪いので一部変更になったとか。


 つまりは。


『クラビレット』


 クライド・前衛・両手剣

 ランバス・後衛・弓と回復魔法

 ビアンカ・後衛・補助魔法

 レイモンド・後衛・付与魔法

 トール・後衛・攻撃魔法


 こうなっていた。


 見事な魔法軍団だと思ったら、目指せ魔人とか言われてちょっとビビッた。


「あのね、魔人と言っても別に、悪い意味じゃないのよ」

「そうそう。魔力が多くて魔法の威力が強くなる、お得な種族なんだから」

「だけどなぁ、その成り方が未だに分かっていないってのが何だよな」

「だから探しているんじゃない」

「まあ、目標ではあるな」

「本当に分かっていないんですか? 」

「ああ、今までに色々試してみたが、どうにもな」

「研究も進んでないそうよ。文献にはあるのに、どうして成れないのかしら」

「成り方ぐらい書いておけよな」

「全くよ。期待だけさせて、肝心の成り方を書かないとか最低よ」


 どうすっかな。


「えと、例えばの話ですけど、その成り方を発見したらどうなりますかね」

「そりゃあ大変よ。世界中で有名人になるわね」

「そういや、どっかの国で、発見したら貴族とかあったな」

「メールスライド国でしょ。あそこは小さいけど、魔法使いが多くて、だから発見したらその国で発表したいって人が多いらしいわ」

「そりゃ私もあの国で発表したいわ。発見したらさ」


 みんな有名人になりたいのか。


「そりゃ冒険者たるもの、有名になってなんぼでしょ」

「オレは目立つのは嫌いです」

「そういうのもありだとは思うけど、有名にならないと舐められるからね」


 こりゃ下手に教えないほうがいいぞ。

 となると、こっそり人体実験にして、知らない間になっていたってのがベストかな。

 それなら発見も何も無いうえに、念願の魔人になれる訳だし。


 そんなこんなで酒盛り途中、そろりと抜けて買い物に行く。

 と言うのも、途中で抜けても構わないと言われていたからであり、いくら慣れているからと言っても、酒は適量が一番なので、酒盛りみたいなカブ飲みは好みじゃないからだ。


 宿は『サイレント』


 そのままの意味のようで、どうにもあちらの世界との関連が気になるところだ。

 つまり、とっても静かな宿なので、夜は熟睡が出来る良質な宿らしい。

 なんでも宿のあるじが使う、静寂魔法というのが珍しいようで、オリジナル魔法に該当するとか。

 外の喧騒を阻み、隣室の生活騒音を排除すると、そんな効果らしい。

 なのでまるで田舎の別荘を貸切にしたような佇まいで、とっても落ち着くらしい。


 料金は1泊銀貨5枚と少しお高いが、それでも安眠には勝てないと、この街に来たら毎回そこに泊まると決めているとか。

 お菓子と石鹸水のぼったくり売りの恩恵で金に余裕があるので、オレもそこに泊まる事にした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ