プロローグ
筆が進まない!
サァァァァァァァ
雨の降るその夜に1人、少年は立っていた
頭には赤いハチマキ
右手には木刀
左手にはマスケット銃に似た射的の銃
両膝にはナイフとポーチがぶら下がっている
現代日本には異形と言ってもいいほどの姿
「つまらない...もういいや.....」
そう呟くと少年は首にナイフを当て
「バイバーイ」
一気にナイフを振り抜いた
雨が上がり月明かりが漏れてくる
そこは噴水の上がる灯りの無い公園だった、月が徐々に姿を現し公園を照らした
少年は首から血を流し安らかな顔をしていた
.........次生まれ変わったら、剣と魔法の世界がいいな...
眠たげに目を閉じた
周りに夥しい量の血と死体を残して......
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「.....ろ」
「お....ろ!」
「ええい!いい加減起きぬか!」
ドスゥ
「ぐぅぁ!」
少年は飛び起きる
目を開けるとそこには絶世の美女と呼べる女が怒りの形相で腹に拳を乗せていた
真っ黒で腰まで伸びる髪に真っ黒な瞳
スタイルは細めで真っ黒なドレスを着ている
「いつまで寝ている気だ!」
「いきなりなんだよ」
周りを見渡すと真っ白な空間だった
「つかここどこだよ...俺さっきまで公園で死んでたはずなんだけど」
少年は頭をポリポリ書きながら胡座をかく
「ぐぬぬぬぬ!我をなんと心得る!その不遜な態度を改めよ!」
美女は地団駄を踏みながら少年には怒鳴りつける
「おたくがどちらかなんて知らねぇよ」
「ふん、まぁよい、ならば教えてやろう!我は2000年の時を生き数多の生物に恐怖と絶望を与え!神さえ恐れる魔神である!」
「んふふふはははあーはいはい魔神わろすわろす〜」
「貴様!馬鹿にしているのか!もう良い!貴様を輪廻に返してやる!」
少年はピクっとした
「ふーん、なるほどね、俺はやっぱり死んだのか。となるとなんで俺は魔神(笑)に呼ばれたんだ?」
「ぬ?貴様、今おかしな呼び方をしておらんかったか?しかしなかなか鋭い男よ。その通り貴様は死にそして輪廻に帰るところを我が捕まえたのだ」
「へぇ、そいつぁ面白い、で?俺をどうするつもりだ?生き返らせてくれるのか?」
「そう焦るでない、我は貴様に興味を持った。貴様の魂はとてつもない光りで輝いていた。貴様の意志とはなんだ、何を思った」
「おいおいもしかして人違いじゃないか?俺は光輝けるほど善良な生きた方はしてないぞ?」
「人違いなわけがあるか!我が直々に引っ張り出したのだ!さぁ答えろ!何が貴様の魂をそこまで輝かせる!」
「答えろって言われてもなぁ、そうだな、敢えて言えば人への絶望だな、俺の世界はゲスが多すぎた」
「ほう、負の感情か......くははははははは面白い!面白いぞ貴様!負の感情で光り輝く魂を持つ少年!良い!良いぞ!我は貴様を大変気に入った!貴様を我の配下にしてやろ!」
美女...魔神は笑いながら少年の肩を叩く
「いや、配下とか嫌だから」
「なぁに!安心せよ、貴様には魔王として我の世界に降りてもらう」
「魔王!?」
「当たり前だ!魔神の配下が魔王でなくとなんとする!」
「魔王って...まぁいいや、お前の事はなんて呼べばいい?」
「我はグラシア・モルドベンゼ、魔神グラシアだ」
「了解、グラシアだな」
「うむ!お主の名前はなんと言う?」
「今更かよ、俺の名前は...
紅懐生だ」
これが俺とグラシアの出会いだ