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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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お待たせ致しましたm(__)m 本日は御遺体の描写が、少しあります。苦手な方はご注意下さいませ。

なお、次回は誠意執筆中です。

Side:榊原 真由合



和葉の悲鳴が上がってから、私は震える和葉を尻目に、直ぐに雅さまの元へ向かったわ。私の護衛はあくまでも雅さまだもの。

彼は、普通の子供と違うの。大人の身勝手で、私は、私達は、あの方の心に、深い傷を負わせてしまった……………。償う事が出来るなら、私達は命さえかけるわ。それだけの事を、背負わせたんだから…………………。


「真由合、ここは携帯電話は通じる?」


………………冷静過ぎるでしょう? 貴方を守らせて欲しいのに、本当にしょうがない方。抱き締めて守れたら、本当にどれだけ、私達の心は助かるか。こんな気持ちさえ、私達のエゴなんでしょうけれど。


「はい、ここは通じるはずです」


霧が辺りを覆う前に、確認したもの。今は分からないけど、通じはするでしょ? 霊的な妨害がなければだけど。


「真由合、携帯は僕がやるから、和葉さんをお願い」


淡々とした雅さまに、私は憂いを覚えつつ頷いて、未だ震える和葉の元へ行き、抱き締めたわ。和葉も、一人前だけど、この光景には、流石に無理があるもの。吐かなかっただけ、マシというものよ?

和葉は、高校生まで、普通の子として育ったの。美鈴と一緒ね。違ったのは、和葉は壁を乗り越えて、力の制限を外した事かしら。だからこそ、石霊師一族で和葉は一流の術者として、活躍しているんだもの。


「和葉、大丈夫? そっちは見なくていいから、落ち着きましょう?」


震える体を、そっと抱き締めて、背中を擦ってあげた。華奢な和葉が、いつもより、小さく見えたわ。


「真由合、警察に通報したから、今から一時間以内に、来てくれるって」


あら、それってつまり………。


「雅さま、つまり彼らが来る迄に、ここを祓えと?」


思わず半眼になった私は、悪くないわよ? かなりの無茶ぶりを今、雅さまが言ったんだから。


「ん? 真由合なら出来るでしょ? 和葉さんも落ち着いてきたみたいだし」


雅さまが信頼して下さるのは、私だって嬉しいわよ? けれど、この無茶ぶりは無しだと思うの。ここに漂っているのは、霊じゃないのよ? 祓うって言っても、異常の原因たる、コレをどうにかしないといけないのだけど……………。

今回の原因は、まさに、わたし達の前に居る………いや、あると言うべきかしら?

湧水流れる小さな流れ、それを遮るように、横たわるのは、変わり果てた人の姿。自然に帰るかのように、ポッカリ空いた穴は、既に肉も腐れ落ち、黒い闇が広がるのみ。着ていた服も、色が落ちボロボロの裾が、水に踊るかのよう。どれ程の期間、ここに居たのか………………。


「最低でも、半年近くは経ってるだろうね、半年前から濁り出したって言うし、その辺りじゃないかな?」


本当に、冷静過ぎるわ。大人の私が冷静に成れないのは、何だか悔しいじゃない!


「分かりましたわ、雅さま、この真由合、全力で怪異を解決してみせますわ!」


気付けば、負けず嫌いな私、見事な啖呵を切っていたわ…………。和葉、お願いだから、そんな驚いた顔しないでちょうだい。いたたまれないから!


「…………そうね、面倒は嫌ですし、さっさと祓いましょう」


荷物には幸い、必要な物を準備して入れて来たから、問題ないわ。

さあ、全力で行くわよ!



◇◇◇◇◇


Side:竜前寺 雅



真由合は単純だからね。全く気がついてなかったみたい。


「平気? 和葉さん、ごめんね、気付くのが遅れて…………」


僕とした事が、すっかり辺りに夢中になっていて、見逃すなんてね。こんなに分かりやすかったのに。


「………気付かれてましたか」


和葉さんは、かなり弱っている。彼女は、石霊師だったのに、僕は気付くのが遅れてしまった。

石霊師は、山に強い。山に漂う霊気と相性がとてもいい一族なんだ。

でもそれは、諸刃の剣でもある。


「こんなに場が歪んでいたら、和葉さんも影響が来てるでしょ?」


そう、山の影響を受けやすくなってしまうんだ。


「あら、確かに影響は受けますが、大丈夫ですよ、真由合さんが祓ってくれますから」


二人は仲がいいからね。僕としても、真由合の実力は信じている。これくらいなら、問題ないしね。


「燃やさないといいけど…………」


真由合の広範囲殲滅型は、大雑把な彼女の性格から来ているんだ。御神域を燃やしたら、大変だからね。それくらいは大丈夫だと思うけど。


「この方の執念が、もしかしたら、起こしてはいけないモノを、目醒めさせたのかもしれませんね」


人の執念は、時に恐ろしい偶然を喚ぶもの。確かに、あり得る仮定だ。弱っているのに、和葉さん、凄く冷静だよ。悲鳴は本気だったと思うけど、落ち着いたんだね。


「まだ仮定だけど、半年前、ここでこの方が亡くなって、眠っていた何かを目醒めさせた、それは依頼人の新居の井戸を渡って、辺りから色々呼び寄せている…………何であの井戸だったんだろ?」


結局、そこで止まってしまう。間違いないのは、原因がこの亡くなっている方で、何かを目醒めさせた事。


「後は、情報部からの情報待ちかな?」


勝手な推理は、間違った方向に進む可能性すらある。とりあえず、警察に事情を説明したら、さっさと帰った方がいいだろう。

真由合の方を見れば、何かを始めているようだ。と、違和感を感じる。思ったより、真由合の力が広がっているのだ。


「真由合、何でこんなに…………まさか、一山丸々、元に戻す気じゃ!?」


「あら、流石、真由合さん♪ 最後の調整は、私がしますわ、石霊師ですもの、整えるのは得意ですから☆」


「和葉さんも、それどころじゃないからね!? 一山なんて真由合の霊力が保つかどうか………」


流石に焦る僕を尻目に、和葉さんは、おっとりと微笑んだまま。体調も戻り始めているらしい。顔に赤みが差してきてるから。


「上手く運びそうだね…………」


僕が呆れたのは、仕方ないよね?

それから一時間で、聖域を含む一山の調整は無事に終わったのだった…………………。

警察は、確かに急いでくれたようで、一時間程で先発隊が来て、僕等は警察の方々に事情を説明した。勿論、話すのは真由合と和葉さんにお願いしたよ。僕は子供だから。


「ん? この探偵事務所…………、もしかして同僚に、美鈴ちゃんいたりする?」


何故か刑事さんも来ているんだけど、真由合の名刺を見て、ここに居ない美鈴の名が出た。


「えっ? あの、何故その事を?」


当然、僕等の業界は警察とはご贔屓にさせて貰ってる。色々あるからね。

でも、真由合が素で驚いているの、久しぶりに見たよ。質問した刑事さんは、30歳位の人懐っこい感じの人だ。


「ん? 俺の従妹なんだよ、真面目に働いてるようで良かったよ」


そういえば、美鈴の家って、親戚が皆さん、警察関係者だったや。と言う事は、ここに居る皆さんも美鈴のお知り合いと言う事だ。美鈴のお父さんとお爺ちゃんが、警察に捜査協力してるそうだから。美鈴もたまに手伝っているそうで、可愛がられていると聞いているからね。


「さて、話を戻すけど、水の濁りの調査って事だったね?」


「えぇ、そうですわ、依頼に関わる事でしたので、調べに来たんです」


他にも幾つか質問され、僕等は解放された。勿論、帰路についたよ。疲れたしね、色々と。

ログハウスに着いたのは、もうすぐ夕暮れ時、という半端な時間であった。



◇◇◇◇◇


Side:神戸美鈴



ビデオは倍速にしたので、かなり早く終わりました。


「颯太さん、ありがとうございました、お陰で早く終わりました」


やはり一人より二人ですね。途中から、コツを掴んだ颯太さんに、もう一台のパソコン画面を任せ、私達は分担して終わらせました。本来ならば、依頼人に手助けを求めるのは、どうかと思うのですが………………。いいのでしょうか?


「あ、いいのいいの! 俺、こういうのに興味あったからさ…………美鈴ちゃんは凄いね、俺より年下なのに、アルバイトしててさ」


なんだか誉められて、照れてしまいます。


「ありがとうございます、何だか照れます…………でも、颯太さん、あまり此方の世界には、足を踏み入れない方がいいですよ」


面白半分で踏み入れて、とばっちりを食うのは、足を踏み入れた自分自身です。今回は、撮影した物ですから、憑かれる心配はありません。ヤバイ物が憑いていたら、誰かが気付きます。このパソコンは、他の皆さんも使っていますから。手が空いた方が確認作業をしますからね。


「やっぱり危ないのかな? 俺、幽霊とか、小さい頃には視た事があったんだ……………今はもう、視る事はないけどね」


あぁ、だからですか。ご両親が関わりを嫌がるのに対し、颯太さんは協力的なのです。非現実的な事を、颯太さんは感じた事があったのですね。


「そうでしたか…………」


今、小さな違和感を感じた気がしたんですが、何でしょう?


「そういえば、美鈴ちゃんは眼鏡に度が入ってないよね? 何でつけてるの?」


気付かれてましたか。確かに、すぐ隣に居た訳ですから、気付く方は気付きますね。


「えぇ、これは私の目を守る為に付けてるんです……………視え過ぎてしまうんですよね、私の目」


保護は必要でした。雅くん達のように、自分自身でどうにか対処出来るなら、外してもいいのでしょうが、私は半端者ですからね。常日頃から、出来る事をしておくのも大切なのです。


「視えるのも、大変なんだね」


説明したら、颯太さんは分かってくれました。良かったです。中には不気味がる方も居ますから…………。


「さて、次は抜け道を探さないと、ですね」


家の中に、朝みたいなモノが徘徊するとか、遠慮願いたいですから。


お読み頂き、本当にありがとうございますm(__)m そして、読了お疲れ様でした。


作者の秋月煉です。


さあ、本日は、少しだけ色々と分かって来ました。水の神様の場所には、やはり異変がありました。和葉さんのプロフィールとか、石霊師についても、話が出ましたね。

更に、美鈴ちゃんも、違和感を感じ取ったようですね。

さてさて、次回はどうなる事やら……………。謎は深まるばかりです。


では、また次回、お会いしましょう。

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