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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
絆が紡ぐ純愛歌
75/78

3ー23

お待たせしました~♪

今回は、穏やかなお話ですよ~☆

side:清流院 慎一


無事に戦闘も終わり、不本意ながら、真由合さんに渇を頂き、今は一室を借りて、治療の真っ最中です。

龍ヶ崎さん、白木さんは、流石と言うべきですか。急所は全て外していました。お見事です。基本的な治療だけで済みました。白木さんは、後で良いと言って、外へ出ています。・・・・・あれだけ戦って、動けるなんて、元気ですねぇ。若さ故・・・では、私が不本意です。

私は、補佐を一手にしたからか、不本意ながら、力の使いすぎをしてしまいました。修行が足りなかったみたいです・・・。

さて、重症の水島くんは、うち預かりの方ですからね。兄弟子として、治療はしてあげます。これでも、講習を受けているので、基本的な治療は、私にも出来ます。あくまでも、応急措置ですが。


「いったいです!! って~~~~~!!?」


涙目になりながら、悲鳴を上げる水島くん。まったく、基本の受け身すら、ちゃんと出来ていないのは、問題でしょう・・・。


「聞いてます!? だからいった、痛いですって! 染みてます!! いったい、痛いですから~~~っ!!」


・・・・・何だか苛めてるような感じがしますが、とにかく、応急措置です。

上半身は、全体的に打ち身、切り傷ですね。腕も切り傷がほとんど。

左足には、細かな裂傷が全体と、内出血がある事から、恐らく、骨にヒビが入っているのではないかと。右足は、打ち身でしょうか。

・・・・・うちの掛かり付けの病院で、お説教が確定しました。あそこ、術者の方々の掛かり付けなんですが、若い方には、無茶をしないように、お説教があるんですよ。なまじ、真面目にされるので、グサグサ刺さるんですよ。私も何度か、へまをした時にお世話になり、担当の医者、看護師、はたまた、お見舞いに来た父にまで、お説教をくらいました・・・。

あれを受けるくらいなら、修行を頑張った方がマシです!!

それだけ、グサグサ刺さるのです。


「清流院さんっ! そこ、マジで痛いんですってば!? ちょっ、聞いてます??!」


水島さんが、ガタガタ騒いでますが、騒げるなら大丈夫でしょう。切り傷には軟膏、絆創膏を張り、ヒビの疑いのところは、保冷剤で冷やします。包帯を巻いて、取り敢えずの応急措置です。


「聞いていますよ、安心なさいーーーーーまずは、病院ですね、一旦、中座するしかありませんね」


やれやれ、核心に迫るという大一番に、中座とは。

それに、今回の仕事以降、水島くんの修行を見直さなければならないでしょう。基本から、叩き込まないと、いつかミスで、大怪我を追いそうです。術者に油断は要らないのですから。


「ちょっ、聞いてます!? 清流院さんっ!! マジで痛いっ! 滲みます、そこは痛いですからっ~~~!!!」


相変わらず、元気ですねぇ。この元気があれば、病院でも大丈夫そうですね。


「病院で、検査しますよ、ここ、骨にヒビが入ってる可能性がありますから」


「・・・えっ? マジですか!?」


「はぁぁぁ、それだけ元気なら、大丈夫そうですね」


さてと、皆さんに中座の連絡と、所長に病院の付き添いをお願いしましょうか。・・・・・所長からも、お小言が来そうですね。まぁ、良い薬になるでしょう。



◇◇◇◇◇


side:竜前寺 雅


あの戦闘には、正直言えば呆れた。あんな当たりを、良くもまぁ、引き当てたと思ったよ。十年に一度、会うか会わないかクラスの、正真正銘の化け物だったから。

僕と真由合さんが着いた時、戦況は盛り返した感じだったけど、多分、真由合さんがストレス発散したかったのかも? それは、あっという間の出来事だった。真由合さんは、明らかなオーバーキルだった気がする・・・。

でも、お陰様で久しぶりの激痛が、体を突き抜けていく。この痛みは、久しぶりだ。

痛みからくる脂汗が、額を伝い、体温をどんどん奪ってしまう。あまりに激痛過ぎて、動く事すら出来ないでいる。呼吸が浅く、早くなっていくから、手足が冷たく、冷えていく。


「雅さま、今、痛み止めのお札を!」


真由合さんが慌てた様子で、お札を準備している。本当は、お礼を言いたいけど、痛みが強すぎて、声すら出せない。僕は今、床に横に成っている。気を利かせた真由合さんが、毛布を敷いてくれたから助かった。車に予備で積んでいた物だったと思う。

と、勢い良く、扉が開いた。バンって凄い音がしたけど、大丈夫なのかな。


「榊原っ! 雅さまは無事か!」


珍しく、声をあらげて龍崎がきた。彼の姿を見るのは無理だけど、きっと真っ青になって慌てているだろう。容易に想像できた。痛いのに、頭の中はひどく冷静で、逆に笑えてきたくらいだ。


「っ、これは・・・」


僕を見たらしい龍崎の口調が、ちょっと変わった? とても驚いているような、そんな口調。


「ちょっと、龍崎! 先に痛み止めのお札!」


あ、真由合さんから、激が飛んだ。でも、慌てているのは分かるけど、龍崎の話も聞いてあげて欲しいよ。


「あ、あぁ、分かった」


あまりの圧に負けたらしい龍崎が、お札を貼る為に、僕を仰向けにさせた。直ぐに呪文を唱える。お札は紙なのに、ピタリと僕の心臓の辺りに張り付いて、僕の中にある痛みを、引き受けてくれる。小さな頃はしょっちゅう有ったから、この不思議な感覚は、慣れてる。不本意だけどね・・・。

痛い筈なのに、痛みは感じなくて、変わりに違和感を感じる。あんまり長時間、受けたい訳じゃないんだけど、今回は緊急事態だから仕方ない。


「雅さま、如何ですか?」


「・・・うん、マシになったよ」


涙目の真由合さんには悪いけど、実はちょっとだけ嬉しかったりする。だって、また、少し大きくなれるからーーーーー。


「・・・ねぇ、龍崎」


「はい、雅さま」


まだ、話すのはしんどい。実は、全力疾走した後のように、上手く力が入らないんだよね。お札も万能じゃない。あくまで、一時的な措置だから。でも、しんどいけど、龍崎と視線を合わせた。


「・・・驚いたの、何で?」


言葉少なげに、僕が聞いたら、龍崎は少し、躊躇ためらっているような素振りを見せる。何か悩んでる?


「それは・・・・・・、雅さま、落ち着いて聞いて下さい」


「えっ? うん」


「実は・・・」


ーーーーーコンコンコン


龍崎が話始めた直ぐに、ノックの音がして、龍崎が口を閉じる。当たり前だ。他人に聞かせていい話じゃないのは、僕でも分かった。龍崎が真面目な、真剣な目だったから。

意外にも、扉を開けたのは、清流院さんだった。


「すいません、今大丈夫でしょうか?」


「えぇ、どうされました」


僕が見えないように、真由合さんが場所を変えて、龍崎が扉へ向かう。


「実は、水島くん、ちょっと骨折の疑いがありまして、離脱させたいと思っています、私は預けたら、直ぐに戻るつもりですが」

 

あぁ、やっぱり。何か動きが変だったからね。うん、これは仕方ないかな?


「成る程・・・分かりました」


「雅くん、病院へは?」


おっと、これは予想外! 清流院さんは、僕の事情を知っている側の人だ。


「いえ、いつものなので」


僕は即答した。うん、断るしかないよね・・・。だって、僕のは“成長痛”なんだから。


「・・・分かりました、しかし、美鈴さんには説明すべきですよ、心配していましたから」


清流院さんは、分かっていて言ったんだ。僕が断る事も、美鈴に言えてない事がある事も・・・。

僕らが何か言う前に、清流院さんは、特大の爆弾を置いていった。


「今、白木さんが一緒ですから、口説いているかもしれませんね、では、私はここで・・・」


そそくさと退室した清流院さん。辺りは固まった空気・・・。

どうすればいいんだろう?






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