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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
絆が紡ぐ純愛歌
74/78

3ー22

お待たせしました~!

思わぬ大物退治がありましたが、取り敢えず、全員無事での合流となりました。

とはいえ、中には怪我人が居る訳で・・・。不甲斐ないと、真由合さんからの渇が下りました。


「あんたたち、情けないわねぇ・・・、ほらっ! 早く手当てしていらっしゃい!」


何せ、主力の白木さん、清流院さん、見習いの水島くん、途中参加の矢上さん、龍崎さんも、皆さん、大なり小なり怪我をしているのです・・・。何て強さだったんでしょう。

そして何と、最後に参加した真由合さんだけが、無傷なんです。良いとこ取りしたような気がモゴモゴ。

今回、遭遇したモノは、それだけかなりの大物だった事もあり、怪我だけで済んだのは、本当に良かったと思います。一番の重症は、白木さんと、次いで水島くんです。一応、自力で動けるみたいですけど。

しかし、倒した真由合さんが、一切の怪我が無く、一番元気なので、先程の渇は、ちょっと皆様に同情しました。


「美鈴、あんたはあたしと雅様とで・・・雅様っ!!」


指示を出そうとした真由合さんの、悲鳴が上がります。いつの間にか、雅くんが胸を押さえて、苦しそうに壁の側でうずくまっていました。だから、途中から、静かだったんですね。気付かなかったなんて! こんなに、近くにいたのに・・・。


「雅くんっ、雅くんっ!!」


少し意識が朦朧もうろうとしているようです。痛みがあるのか、歯を無意識に噛み締めています。


「美鈴、悪いけど、龍崎を呼んできて! 早くっ!」


「は、はい!」


真由合さんの切羽詰まった鋭い声に、私のなけなしの運動神経が動きました。皆さんは、治療の為に、車へ向かったはずです。そちらへ向かおうと、外へ行くと、ちょうど龍崎さんが、こちらへ来たところでした。


「龍崎さんっ! 雅くんがっ!!」


「っ!」


全てを言わなくても、彼は一目散に、雅くんの元へ向かって行きます。私もついて行こうとしたら、龍崎さんがはたと足を止めて、私を見ました。


「神戸さんは、皆さんと一緒に居てください、まだ、何があるか分かりませんから」


「えっ・・・あ、はい」


確かに、私が向かっても、足手まといになりますね。私は戦えませんから、戦える皆さんの側にいるべきですね。なので、素直に私は、皆さんが居る、外の車へ向かいました。

本当は、心配ですよ? 雅君の近くに行って、お手伝いしたいですよ?

・・・・・でも、龍崎さんの反応や、言葉で分かります。

部外者は、要らないんです。


「・・・あれ? 美鈴ちゃん? どうかした?」


入口に居たので、白木さんと会いました。何だか、驚かれています。勿論、ちょっと落ち込んでいるのが、分からないように、笑顔で答えます。


「あ、龍崎さんから、此方へ来るようにと」


「あれ? 何かあった?」


白木さん、鋭い方です。私は分からないようにしていたはずなのに、気付くんですから。


「いえ・・・雅くんが、体調を崩したみたいで」


何で気付いちゃうんでしょう。


「あぁ、だからか・・・追い出されちゃったんだね?」


白木さんの爆弾のような問いに、思わず固まります。いやいや、白木さん? ストレート過ぎません!?


「その顔は当たりかな? 」


「・・・まぁ、私が居ても、役には立ちませんから」


これは本当の事。皆さんは、雅くんを幼い頃から見ていて、実際に対応は分かっているでしょう。


「あそこは、結束が強いから仕方ないって」


この口調だと、白木さんは、雅くん達が抱えている物をご存知なのかもしれません。他分、知らないのは、私と水島さん、矢上さんだけではないでしょうか?


「きっと、きっかけがあれば、美鈴ちゃんも知ると思う、だから、教えて貰うまで待つのもいいんじゃない?」


少しモヤモヤっとしますが、首を突っ込んではいけないんでしょう。私の勘が、まだ“早い”と告げています。


「・・・そうですね」


そういってから、はたと気付きます。


「そういえば、皆さんは?」


白木さんと話していましたが、他の皆さんの姿が見えません。てっきり、一緒に居たとばかり、思っていたんですが。

結果的に、別の話題になりましたから、良かったのかもしれません。気まずいですし。


「ん? あぁ、流石に外で裸にはなれないから、一室借りたんだ、人目もあるし」


成る程。確かに、言われてみれば。しかし、白木さんも、龍ヶ崎さんも、外から来てましたよね。おかしいですよ?


「あー、それは、龍ヶ崎さんも俺も、車に必要な物を取りに来ただけだよ、治療はこれから」


あっけらかんと言ってますが、一大事じゃないですか! 白木さん、重傷者ですよ!?


「あのね、美鈴ちゃん・・・俺は小さい頃から、ちゃんと鍛えてるし、上手く急所は外していたから、こう見えて結構平気なんだよ」


ちょっと疑いの目を向けちゃいますが、確かに細かい傷はあれど、大きな怪我はあまり見られませんね。


「どっちかと言うと、水島の方が重症かな? 清流院さんは力の使いすぎだから、休めば大丈夫だし、龍ヶ崎さんもそうかな、まぁ、俺も消毒して絆創膏かな?」


という事は、今は水島くんが、部屋で治療を受けているんでしょう。確かに、動くのも大変そうでしたもの。一見、重症に見えていた白木さんは、ケロリとしてます。


「うーん、流石に美鈴ちゃんは入らない方が良いだろうし・・・」


確かに、裸に近い皆さんとバッタリは、ちょっと・・・。ちゃんと、空気は読めますよ?


「なら、私は車に居ますね」


「あー・・・仕方ないか、んじゃ、終わったら呼ぶから!」


車には、お札等があるため、下手な場所よりも安全なんです。先程の事もありましたから、白木さんは悩んだみたいですが、仕方ありません。だって、私はどちらにも行けない訳ですし。

さて、少し今回の事を整理してみましょう。きっと、見落としている、何かに気付けるはずですから。


◇◇◇◇◇


初夏の日差し温かい、とある日。

美しいイングリッシュガーデン、その一角にある、石で出来た椅子とテーブルに、少女が一人、だらりと座っていた。暇なのか、完全に日向ぼっこになっている。

肩で切り揃えた髪は、綺麗なサラサラとしたもの。髪と同じ黒い着物は、白百合が散りばめられ、少女を少し大人びて見せている。帯は複雑な模様の赤。それすらも、完全に着こなしている少女は、気だるげに、庭に視線を向けていた。


野比古のひこ、暇じゃ」


だらりとしたまま、美しい少女は、視線すら動かさず、近くに控えている青年へ、言葉を向ける。青年は整った顔立ちをしており、従者として静かに控えている。が、視線は心配を含むものだ。


「夜姫さま、あまりダラリとされては、見られた時に叱られますよ?」


「構わぬ・・・どうせ、煩い爺共じゃろ? あやつらはそれしか仕事が無いのじゃ」


「いえ、御家族の方々が」


そう言った野比古に、初めて夜姫はジロリと野比古を見た。彼女の目は、何も感情を感じない、冷たい物だ。それゆえに、その目で見られた者は、視線を合わせる事が出来ない。まるで、自身の全てを見透かされるようだと、視線を反らしてしまう。


「あぁ、あやつらか・・・構わぬ、家族ごっこは好きではない」


彼女にとって、たまに会うだけの家族は、血の繋がった他人だ。視線を合わせず、取り繕うだけの者達を、家族だと思うのは、無理があるだろう。


「のぅ、野比古・・・久しぶりに旅がしたい」


「夜姫さま、そう言って、二週間前に行きましたでしょう」


呆れが入った口調に、夜姫は不服そうにムッと表情を変えた。不服だが、あまり頻繁に出歩くのも、良くない事は知っている。でも、暇なのだ。


「むぅ・・・暇じゃ、野比古」


彼女にとって、暇なのが辛い。のんびり過ごすのも良いが、暇な物は暇なのだ。

虫の音色さえ、ここは無い。静かな庭園は、ただ風が通っていく。まるで、ここから、早く去りたいとでも言うかのように。


「早く遊びたいのぅ・・・」


きっと、暗い暗い素晴らしいモノが、この暇を消してくれるはずだから。

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