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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
絆が紡ぐ純愛歌
72/78

3ー20

お待たせ致しました!

本日は久しぶりに美鈴ちゃん視点で、お送りします。

歴史博物館へ向かう途中、ゾワゾワと何だか落ち着かなくなりました。それは、私だけではないようで、矢上さんも、龍崎さんも、表情が険しい物に変わります。


「・・・何か、嫌な予感がするんですけど」


「あぁ、多分、何かを引き当てたみたいだな」


矢上さんの問いに、険しい顔の龍崎さんが答えます。何となく気になって、眼鏡を取った私は、視界に映った物に、目を見開きました。


「うわぁ・・・何か吹き荒れてます?」


我々が向かっている歴史博物館のある方角から、普通の人には見えない、黒い竜巻のような物が、空へ立ち上っているのです。


「あぁ、神戸さんにはそう見えますか」


龍崎さんに問われて、素直に頷きます。


「はい、竜巻みたいです」


黒い霧が竜巻みたいに、渦を巻いて空へ伸びています。あまり長く視ると、疲れてしまうので、眼鏡をつけます。少しクラっとしたのは、仕方ありません。視た故の、副作用みたいな物です。


「俺には、黒い霧みたいに見えますね・・・、うわぁ、何を引き当てたんだろ?」


矢上さん、ちょっと引いているようです。普通に暮らしていたら、こんな体験はしませんからね。仕方ないのかもしれません。


「これなら、陰陽師の誰か、居た方が良かったかもですね、・・・・・手に負えるかは別として」


言った矢上さんが、スッと視線を反らしました。

あれ程の強さでは、複数人で相手ではないでしょうか?

 そもそも、こんな強さの相手は、想定されてません。今回は何だか、強い相手ばかりを引き当てている気がします。


「確かに、あのメンバーでは、キツい相手ですね、急ぎましょう」


龍崎さんの運転する車は、更にスピードを上げました。勿論、道路交通法を遵守の上で。それから15分程で、私達が駐車場に着いた時、まさかの事態に、全員が顔色を変えました。


「これ、異界に成ってません!?」


矢上さんの的確なツッコミが炸裂します。とはいえ、私は眼鏡を付けていても感じる、異様な違和感に、クラクラします。立っていられず、ペタリと座り込んでしまいます。呼吸が浅く、早くなっている自覚があります。


「神戸さん、大丈夫?!」


直ぐに気付いたらしい矢上さんが、気にかけてくれましたが、龍崎さんはかなり険しい顔で、とある方を見ていました。

異界は、空間ごと隔離され、別の場所になってしまう事です。先に歪みを見つけ、そこから入るか、何か対策を取らねばならない、面倒な場所でもあります。


「大丈夫です・・・三人が心配です、急ぎましょう」


不本意ですが、異界を作り上げる程の強さだけあって、私の体は悲鳴を上げ始めています。目眩と、頭痛、若干の吐き気・・・お守りを着けてコレとは、洒落になりません。


「神戸さん、ちょっとごめんね」


矢上さんが何かを唱え始めます。すると、先程まで感じていた、不愉快な体調不良が嘘みたいに消えていきます。


「えっ? 嘘・・・」


「良かったぁ、効いたみたいだね、これで少しは楽になると思うよ」


「矢上さん、ありがとうございます!」


これで、私も動けます! と、丁度良いタイミングで、龍崎さんから声がかかりました。


「神戸さん、早速ですが、歪みを探して貰えますか?」


「了解です!」


力強く答えた私は、早速、眼鏡を外して、歴史博物館にある歪みを探し始めます。


「うーん、見える範囲には無いので、もしかしたら、表玄関が道になっているかもしれません、中はお札で守られてるみたいですし・・・・・うーん」


何処を見ても、やはり歪みは見えません。となると、別の場所にある可能性が高いです。急がないと、中の三人が心配です。


「美鈴ちゃーーーーーーん!」


あら? ここに姿がない、水島くんの声がします。という事は、やはり、何処かにあるはずです。繋がってる場所が!


「ここ! ここだよ!!」


声のする方へ向かって行くんですが、それは、歴史博物館の裏にある、非常口でした。そこには、全身ボロボロの水島くんが居て、思わずギョッとします。


「大丈夫ですか!?」


「あぁ~・・・美鈴ちゃんの幻が見える・・・」


「大丈夫そうですね・・・」


幻覚でも見えてるんでしょうか? 私、生きてるのに、失礼しちゃいます!


「あれ!? 本物?」


目をゴシゴシしている水島さん。本当、失礼です。


「水島、怪我は平気か?」


「あー・・・ちょっと、ドジを踏みまして、実は動けなくて・・・」


バツが悪そうに、視線を反らした水島さん。あの声は、どうやら、やけくそ気味に叫んだみたいですね。まさか、それが、我々へ届くなんて、思わなかったですけど。


「非常口が、境目になっているみたいですね」


偶然でも、外との繋がりたる、非常口を見つけた水島さんは、凄いと思います。冷静に辺りを見渡した龍崎さんが、口を開きます。


「悪いが、一緒に居た方が安全だろう」


非戦闘員が、二人居たら、それは仕方ないと思いますので、誰も反対はしませんでした。問題は、水島くんです。動くのも、しんどいみたいです。


「このまま、外に居てもいいが、外から何か来ても、護符では、強いモノが来た時に、対処が難しいでしょう」


難しい顔の龍崎さんに言われてからの、水島くんの悲壮感が凄いです。


「俺、無理っすよ!? 捻挫に打ち身、多分、骨折かヒビが入ってる可能性まで言われたのに! ありえねぇから!!」


この世の終わり、とまでは行きませんが、今はバラバラになるのは危険です。


「取り敢えず、護符と痛み止めのお札を渡すから、案内してくれ」


龍崎さんが護符と痛み止めのお札を、水島くんに渡し、更には簡単な応急措置まで終わらせます。テキパキとしていて、無駄がありません。妙に手慣れているような・・・。

応急措置が終わると、水島くんが目を見開いて、固まってしまいました。


「えっ? あれ? 痛くない・・・?」


痛み止めのお札は、キチンと効果を発揮しているようです。とはいえ、無理はさせられません。とはいえ、矢上さんが水島くんに肩を貸していますから、大丈夫だと思います。


「俺が水島さんの補佐に入りますから、龍崎さんは思う存分、戦って下さい」


「分かりました、行きましょう」


いざ、非常口から、正面玄関口へ! 未だに、遠くから、戦闘音が響いています。

ふと、雅くんと真由合さんが頭に浮かびました。二人は着物の方へ行っています。解決への道は、朧気ながら見えているはずです。ここを切り抜けたら、話を聞かなくちゃ・・・。

その考えは、正面玄関口が近くになるにつれて、頭の隅へ追いやられたのでした。

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