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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
絆が紡ぐ純愛歌
70/78

3ー18

お待たせ致しました!

さぁて、何やら起きておりますが、どうなりますか。どうぞ、お楽しみに!

side:清流院 慎一


慌てて駆けつけたそこは、正面玄関口です。

本日は、運良く休館日でしたから、お客さんはいらっしゃいません。あまり、人目に付かない事が、我々には求められますから、助かったのですが。


「水島っ!」


先に着いたらしい白木さんの、かなり慌てた声がします。館内は響きますからね。嫌な気配といい、ここは何かいわく付きの土地なのかもしれませんね。


「水島さんっ!」


私が正面玄関口に着いた時、水島さんはグッタリしており、白木さんが結界を張っていました。中々の強度なのは、遠目にもハッキリ見えます。


「清流院さん、結界を頼みます!」


着いて早々に、結界を頼まれ、携帯していた簡易的な祓い串を着物の懐から出すと、一気に彼の結界の外に、結界を張ります。


「祓いたまえ、清めたまえ!」


その間に、白木さんは、口に呪符を咥えると、何やら呪文を唱えます。


「ナウマクバラサワンソワカ、風神招来!!」


彼の呪文が完成した瞬間、辺りに清らかな風が渦を巻き、正面玄関口から何かを叩き出しました。文字通りに・・・。

余りの威力に、ちょっと驚きましたが、私とて見鬼持ち。その飛ばされた何かに、視線が険しくなります。


「・・・アヤカシですか」


水島くんには、早い相手でしたね。こんな上位クラスの相手、一人では無理でしょう。白木さんの判断は中々ですし、彼に残って貰って、助かりましたね。私でも、これは手に余る相手ですから。

吹き飛ばされたアヤカシは、人の姿をしては居ますが、明らかに異形の存在です。白い帽子に、白のワンピース、更には白い靴を履き、長い髪に口は真っ赤な口紅をしています。まぁ、既に擬態は解かれつつあり、おかしな方に首が捻れ、腕があらぬ方へ向き、口が顔全体にある時点で、アウトかと思います。逆に、よくもここまでの上位クラスを、引き当てたものです。


「さて、白木さん、そのまま相手をしてもらえますか、我々は補佐に回ります」


「了解!」


振り返る事もなく、白木さんは敵に向かって行きました。いやはや、勇ましい事で。はて、お坊さんとは、ここまでアグレッシブでしたでしょうか?


「水島くん、大丈夫ですか?」


ようやく安全確保とは言えるため、水島くんの近くへ行き、声をかけます。


「すいません・・・お札を貼った後に、あれが居て・・・」


「話は後です、動けますか?」


そう、単刀直入に聞けば、水島くんの視線は、まだ強い輝きを持っていました。まだ、大丈夫そうですね。体をしたたかぶつけたようで、かなり痛そうですが、補佐くらいは行けるでしょうか? 白木さん一人は、流石にキツイ相手です。


「っ・・・大丈夫です、やれます!」


少し、足と腕を気にしていましたが、今は緊急事態です。後で治療するとして、今は白木さんの補佐です。こういう時、陰陽師の方々の一人を、こちらに残して欲しかったと思ってしまいます。戦えるのが、白木さん一人は、正直キツいです。


「まったく、次から次へと、厄介事しか来ませんね」


結界は、入口に張りましたが、白木さんは駐車場を上手く使い、今は問題なくいます。しかし、人間である此方側は、不利である事に変わりはありません。体力の限界は、必ず来るのですから。


「まだ、昼過ぎなんですが、動けるという事は、いつの間にか異界に混ざってしまいましたか・・・」


通常、アヤカシの活動時間は夕方から夜にかけて。しかし、例外があります。

ーーーーーそれが、異界。アヤカシが作り出す、まやかしの世界。一種の結界のような物です。


「となれば、此方がすべきは」


此方が取れる手段は、多くありません。とにかく、異界からの脱出でしょう。


「水島くん、舞えますか?」


視線を向けずに問えば、微かに擦れる音と共に、彼が横に立つ気配がしました。


「勿論!」


擦れる音は、扇子を開く音。即答した彼は、構えをしようとして、小さく呻く声が聞こえました。それでも、無理に動こうとするのを、私が手で止めます。


「無理は良くありません、私が舞いますから、変わりに君に任せたい事があります」


悔しそうですが、怪我人である彼に、無茶をさせる訳にはいきません。


「異界の境界線を探して下さい、まだ、完全に呑まれた感じはありませんから、間違いなくあります、そこでメンバーに連絡を」


「は、はい!」


足を引き摺りながら、駆けていく彼の背を視界の端に捉えつつ、扇を開きます。異界をどうにかしなければ、かなり此方には不利になります。


「さてさて、・・・・・我が舞、御堪能あれ!」


巫女舞は、神道が伝わる昔から、それこそ、原型は神代の時代から続くもの。神の為に舞い、代わりに力を貸してもらう。今回は、白木さんに戦いをしてもらっていますから、補佐としてですが。

外の駐車場の形が、少しずつ変わりはじめています。

あまり、時間は無いようですね・・・。



◇◇◇◇◇


side:水島 颯太


まずい、まずいまずいまずい!!

札を貼っていたら、かなりの大物を引き当てた。まさかの、近年希に見る大物のアヤカシ! マジか!?

直ぐに白木さんと、清流院さんが来てくれて、助けてくれたけど・・・・・直感で、このメンバーでは戦力が足らないって、分かってしまった。

くそっ、陰陽師の誰かが居てくれたら、こんな不利にはならないはずなのに!!

舞いも、最初の時に、アホをして・・・・・油断して、壁に叩き付けられた際に、左腕と左足をぶつけていた。多分、骨にヒビは入ってるかもしれない。明日が怖い・・・。いや、無事に明日が迎えられるのか!?

とにかく、境目を探さないと・・・。

俺の目は、実家の影響か、それとも、血筋か。かなり、見るのは強い方だろう。とはいえ、美鈴ちゃんと比べたら、まだまだ何だけどさ。

視線で、ゆらゆらしてる空間を探す。早くしないと、かなりヤバイ!

どこだ? 何処にある!?

あちこち見るが、駄目だ・・・。焦れば焦る程、滑り落ちていく。そんな感じがする。

急がないといけないのに・・・・・!!

と、背後からデカイ爆発音がした。いきなりだったから、受け身も取れず、爆風に押し倒され、地面で風が収まるまで待つ。

今の、爆風の中に、清流院さんの力を感じた。多分、白木さんを守るために、結界を張ったんじゃなかろうか?


・・・・・とにかく、俺はあんなのは、無理だ! 早く、歪みを見つけよう。

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