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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
7/78

次回は誠意執筆中です!


ビデオの確認は、中々にハードな展開からスタートしました。

最初は和気藹々とビデオを再生していた私と、お手伝いの颯太さん。彼が隣に座って、手伝いを申し出て貰ってから、3分程。

―――――画面が不鮮明になり始めました。


「あれ? 故障?」


不思議そうに画面を見ていますが、これは残念ながら故障ではありません。前にも同じ現象があって、盛大に怯えてしまったのは…………懐かしい思い出です。あの時、年下の雅くんに、盛大に呆れられた事は未だに切ない思いがします。昼間に見ている分、まだ恐怖は弱いですし。


「あ、直った…………あれ?」


颯太さんの言葉に、現実に引き戻されます。

画面が急に元に戻り、そして、物が次々と宙を飛び始めます。俗に言う、ポルターガイスト現象です。お皿に灰皿、花瓶等々………お部屋、ビデオを設置したのはリビングなんですが、そこはまさに物が飛び回っています。


「えっ、何コレ!? 何で皿が飛んでるの!?」


颯太さんの驚愕とも言える、その言葉に、思わず遠い目になりました。私も、過去に同じように驚愕し、皆さんを困らせてしまいましたから。でも、颯太さんのおかげで、ちょっと冷静になりました。


「ポルターガイスト現象ですね、やっぱり居ますよ、それもかなりの数が」


物が次から次へと、動いていきます。更に、独特の音、ラップ音と呼ばれるそれが、音が入らないタイプにも関わらず、鳴り始めます。

………………予想以上の数が確認出来ました。

隣に座る颯太さん、あまりの事態に、口が半開きのまま呆然となっています。自宅がこれでは、確かにそうなりますよね。


「颯太さん、大丈夫ですか?」


呼び掛けると、ハッとしたように私を見て、バツが悪そうに下を見てしまいました。


「…………すいません、仕事の邪魔を………」


あ、気を使わせてしまいました。耐性の無い方は、驚いて当然です。注意をしなかった、私の責任ですのに。


「仕方ありませんよ、颯太さんは慣れていないのですから」


フォローをしますが、果たして効果はあるのでしょうか? その間もビデオは再生されているのです。全部で4台が稼働しています。


「あら? ここ…………っ!?」


とある画面を見て、私の口から、我慢しきれずに、声無き悲鳴が上がります。

その画面には、綺麗な水槽が奥に映っています。その水槽は、蛍光灯が切れそうなのか、点滅を繰り返しているのです。“不気味”の一言がよく似合う、そんな画像になっています。そして、その水槽には、時折…………映るのです。不鮮明にですが、人の顔が。いや、頭蓋骨、なのかもしれません……………。ポッカリ空いた、二つの穴が、此方をただ淡々と見つめています……………。


「美鈴さん?」


心配そうに、眉を下げた颯太さんと目が合います。私も、探偵の一員なのに、どんな顔をしていたんでしょう。


「大丈夫ですよ、ちょっと考え事をしていただけですから」


果たして誤魔化されてくれたかは、正直分かりませんが、誤魔化す事くらいします。颯太さんを怯えさせたい訳では無いので。


「さて、別のカメラの確認しましょうか?」


怖い物は、スルーしましょう。カウントはしましたから。隣の颯太さんが、キョトンとしてますが、直ぐに頷いてくれました。

次はどんな現象が起きるのやら……………。まだまだ心配事は続きそうです。



◇◇◇◇◇


Side:竜前寺 雅



あれから、道を進んで行くと、すぐ横に細い川が流れ始めた。これが先程の水の音なんだと思いつつも、川に漂う異様な気配に、眉を潜めた。川は浄化を意味するのに、これでは穢れをばらまくばかりだ。


「真由合さん、滝の音が近いようですね」


和葉さんの言葉で、真由合が顔を上げる。彼女は、動きやすい服装だけど、明らかに疲れた顔をしてる。僕も疲れてるけどさ、体力的には、僕よりあるはずなのに…………。運転不足だよ、真由合。


「………だ、大丈夫よ? ちょっと最近、運動不足なのよ」


そんな気の抜けた会話をしてるが、二人も気付いてるようだ。森に漂う、異様な雰囲気に―――――。


「真由合、すぐに動ける?」


心配するように、僕が問いかけたけど、愚問だったかな? 彼女の目は、闘志を燃やしてギラギラしてるから。


「あら、問題ありませんわ、――――ふぅ、ようやくお出ましかしら?」


真由合の笑顔が、迫力あり過ぎて、かなり怖いよ? まあ、分かるけどさ……………。


「お出迎え、ですね?」


隣に居る和葉さんが、辺りへ視線を向けた。気付けば、辺りは霧が漂い始めている。嫌な、ねっとりとしたような、そんな重い霧が、足に絡み付てくる。


「本当、嫌なお出迎えだよ」


やれやれ、敵のお出ましか。

足に絡み付く霧から、黒い手が次々とヌッと現れては、まるで誘うように、手招きする。辺り一面の白い霧から、次々と現れ、増え続けて行く、黒い手。まるで、あの世への道に、誘われているような、錯覚さえ感じてしまう。


「これは………」


アヤカシ、とは違うだろう。気配が違う。かといって、霊とも違う。


「雅様、どうやら強硬突破が良いみたいですわ」


真由合さんの体から、霊力が溢れ始める。彼女のよく手入れされた手には、似つかわしく無い、お札が指に挟まれて構えられていた。


「流石、真由合さん♪ そう来なくちゃね、私も使いますよ〜」


いつの間にか、和葉さんまで手に緑色の石を作り、戦う準備を始めていた。のんびりしてるけど、彼女もまた、戦う側の人だ。


「さあ、一気に突破するよ!」


僕の掛け声で、二人の霊力が爆発する。二人の攻撃は、絡み合う螺旋を描きながら、一直線に向かい、線上に居る黒い手を凪払っていく。


「うわっ、過激……」


その威力に、顔が引きつりそうになる。この二人を怒らせないようにしよう、と内心誓ったのは、言うまでもないよね……………。


「雅さま! あそこっ!」


真由合の声に反応し、言われた場所を見た僕は、流石に驚いた。巨大な岩が霧の中、ぽっかりと浮かんで見えたから。その岩に、しめ縄を見て、僕はようやく、それが目的の場所だと分かったんだ。


「真由合! 和葉さんっ! あそこっ! あそこを目指して!」


恐らく、美鈴が夢見た場所であり、そして原因の発端となった場所だ。何かあるはず、何か、何か…………。

辺りを見渡しながら、何かないかと必死に目を凝らすけど、辺りは霧に覆われているため、それらしき物が無い。


「…………あら、ここだけ霧が無いわ」


岩に近づいた、ある辺りで、霧が全く無い事に気付いた。つまり、この僅かな霧が無い範囲が、神域なのだろう。


「でも、狭いね…………きちんと祭られているにしては、これはおかしいし………」


美鈴が夢に見て、そして教えてくれた場所だとしたら、ここの近くにあるはずなんだ。何か、原因となるはずの物が……………。


「雅さま、神域がこうだと、辺りも、もしかすると…………」


真由合はそのまま、言葉を濁す。場を別のモノに、横取りされた状態、つまり、奪われているのだ。これは、神様にとって、由々しき事態なのだから、僕達は呼ばれてのだと思う。この神域の主より、事態を解決する為に。


「早く正常に戻さないと、今はあの家だけですけど、被害が増えてしまいます!」


和葉さんの言葉は、とても真剣なもので、まさにこれから起こり得る最悪の状態を想定したもの。僕だってどうにかしたいけど、美鈴が見た、それが霧に隠れて見えないんだ。

どうしたらいい? どうしたら、霧に隠れた原因を探せる?

内心、焦っていた僕は、真由合がポツリと呟いた、その言葉に、ハッとする。


「ほんと、鬱陶しい霧ね! 風か何かで吹っ飛ばしてやろうかしら?」


「それだ!」


いきなり僕が大声を出したから、二人は驚いているけど、そんな事を気にしてる場合じゃない! 僕は風の呪文の算段を、考えていた。


「雅くん? いきなり叫んで、どうしたの?」


和葉さんに呼び掛けられて、僕は思考の海から、慌てて戻って来た。いけない、いけない。考え込んでしまうのは、僕の悪い癖だね。

「……え? あ、ごめんなさい! 考え込んじゃって…………」


「雅さま? 何か妙案でも?」


真由合も気になるみたい。だよね、この状況を打開しないといけないんだから。


「うん、風で霧を吹き飛ばせたらと思って」


美鈴が視た夢、それに出て来た“黒い影”。原因は分かっていても、今現在の僕等には、それが見えていない。


「あら、それでしたら、是非とも私に……………広範囲の術は得意ですので」


優雅な微笑みを見せる真由合。ただし、目が笑ってない気が…………いや、忘れよう。


「あぁ、はい、お願いします」


広範囲の術、それも豪快な物は、真由合の十八番だ。あまりの迫力に、思わず即答する程だった。

真由合は、岩を背に、仁王立ちになると、攻撃を表す刀印を組み、凛とした声で朗々と呪文を唱えていく。


『風神招来、急々如律令!』


真由合を中心に、風が渦を巻き始め、そして、風の球が出来たと思った、次の瞬間。

一気に球が広がり、波紋のような風が辺りを吹き付けていく。


「きゃっ」


「わっ!」


強風が一気に吹き抜けた為に、僕と和葉さんは、吹き飛ばされそうになり、悲鳴が上がる。和葉さんはタタラを踏んだで済んでいるけど、僕は子供で華奢な分、かなり危なかった……………。

本当、真由合は豪快だよねぇ。


「ふぅ、これだけ吹き飛ばせばいいかしら?」


スッキリした顔の真由合に、ちょっと黄昏かけた僕は悪くないよね。


「さて、これで原因を探せ……ば………」


僕の声が凍り付いた事に、二人は僕の視線の先を見て、顔を強ばらせた。


「あれは………」


真由合が小さく呟くけど、それに構う余裕は僕には無くて。


「あ……っ……、キャァァァァァ―――――――――――!!!」


和葉さんの甲高い悲鳴が、空に谺していく。

ようやく見つけた原因の、ポッカリ空いた二つの穴が、不気味に僕らを見返していた……………。


読了、お疲れ様です! いつも、ありがとうございますm(__)m


本日は、恐くなったでしょうか? かなり頑張ってみたのですが、思ったように書けなくて、もどかしいです。読んだその瞬間、ヒヤッとするように出来たらいいのですが……………先は長いですね(;^_^A


さて、本日もまた、ピースが幾つか出ましたが、今回の怪異の原因、皆様は分かりましたか?


次回もまた、恐くしたいと思いますが、どなたかアドバイスを頂けたら幸いです。優しく言ってもらえると、助かります。


次回も出来しだい、更新しますね。

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