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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
絆が紡ぐ純愛歌
68/78

3ー16

筆が乗りまして、久しぶりの連続投稿です(^_^)v

来週は別作品を更新予定ですので、どうぞ、よろしくお願い致しますm(_ _)m

side:竜前寺 雅


僕らは、事前に龍崎から電話を入れて貰ったので、以外にすんなりと屋敷内に通された。


「やぁ、メンバーが変わると連絡が来たが、小さい君はそのままなんだね?」


豊穣さんは、僕を覚えていたらしい。


「はい、龍崎は別件が入り、来れなくなりましたので、榊原が代わりに来ました」


「榊原 真由合と申します、急な交代で申し訳ありません」


事務的に頭を下げる真由合さんは、出来る人にしか見えない。だから、豊穣さんも、機嫌を損ねる事はなかった。良かった、依頼人の機嫌一つで変わる場合もあるからね。


「ご丁寧にどうも、中々、そちらも忙しいんだね」


これには、二人揃って苦笑いだ。引きつってるかもしれない。


「そうですね、少々、立て込んでおりまして・・・」


「何か御代わりはありましたか?」


冷や汗ものの真由合さんに代わり、僕が質問する。子供の僕が聞いた方が、上手くまとまるからね。


「うん・・・実はね、戻らないんだよ、彼女」


どうやら、問題は起きていたらしい。しかし、急ぎではない? 何だか、豊穣さんの歯切れが悪い。


「戻らないとは、どういう事でしょうか?」


真由合さんが聞くが、豊穣さんは、すっかり困り顔になってしまった。


「彼女はね、派手好きで、目立ちたがりの、嫁にするには不安な女性だったんだ、結婚も息子にごり押しされた感じでね・・・・・それが、あの日から、すっかり嫁にするならこの人、という、お手本のような女性になっていてね、息子はすっかり戸惑っているよ・・・」


あぁ、それは確かに、困ってしまうだろう。奇声を発したり、暴れたりならば、直ぐに僕らに頼るだろう。理由は分かっているんだから。

しかし、良い方へ変わった場合、かなり困ってしまうだろう。何せ、豊穣さんから見た限り、嫁にするなら安心出来る性格の女性なんだから。


「・・・豊穣さん、貴方の奥様も、この花嫁衣装を着たんですか?」


不意に思い付いた質問に、豊穣さんは考える事すらなく、すんなり頷いた。


「えぇ、妻の時に使いましたよ、借りてね、幸せになるんですから、喜んで借りましたよ、だからこそ、縁のあるうちが買い取ったんですからね」


あぁ、思い出の品であり、縁があったのか。懐かしむ豊穣さんは、優しい顔をしていた。ならば、もしかしなくても、奥様の時にも起きたはずだ。おかしな出来事が。


「あの、豊穣さん、奥様の時にも、何かありませんでしたか? 今回だけ、おかしな出来事があるとは、どうしても思えないのですが」


真由合さんの問いかけに、豊穣さんは、昔を考え始めるが、特に思い付かないらしい。ついに、豊穣さん、近くに控えていた、執事さんに聞いていた。山下さんという、昔から居る執事さんは、少し考えた後、何かを思い出したようで、手を打った。


「旦那様、確か婚約前に、奥様は一度、当家にお越しになった事がございましたが、その時にも確か・・・、そうです、花嫁衣装を見てから、少し変わられたように思います」


「・・・そうだったか? でも、妻は母とも仲が良かっただろ? だから、安心していたんだが」


「旦那様、それは違います、あの日までは、奥様と大奥様は仲は・・・その、あまり・・・」


どうやら、知らなかったらしい。豊穣さん、かなり驚いていた。だが、これで僕は、ある推理に思い当たる事が出来た。


「真由合さん、龍崎たちに電話して、確認したい事がある」


「わ、分かりました」


僕からの急なお願いに、真由合さんは驚いていたけど、真剣な僕に、大切な事だと分かったみたいで、直ぐに龍崎へ電話してくれた。


「あ、龍崎? ちょっと急ぎで確認したい事があるんだけど・・・」


真由合さんが確認した結果、僕はその推理に自信が持てた。何故なら、これで花嫁衣装に関しては、原因が判明したのだから。


◇◇◇◇◇



中村家では、御当主のお父様より、お話を伺っています。御当主さんは、また、お茶を準備に行きました。気分を変えたいようです。


「花嫁衣装と印籠がおかしい、とはどういう事でしょうか? あれは、当家にありました物で間違いありませんが、おかしい、とは一体?」


お父様には、細かい部分は避けて、大まかな花嫁衣装の事と、印籠の人影目撃の話をしました。印籠に関しては、ピンと来ていないようですが、明らかに花嫁衣装は覚えがあるようでした。顔色が間違いなく、変わりましたもの。


「何か、思い当たる事がおありなんですね?」


龍崎さんの問いかけに、お父様はしばし悩んでいましたが、意を決したように、話始めました。


「当家にありました花嫁衣装には、謂れがありまして・・・、必ず花嫁に来る者、出る者は、あの花嫁衣装を着るように、そして、もしも、一族以外に貸す事があれば断るように、と・・・・・最初、私は馬鹿馬鹿しいと思っていましたが、どんな花嫁も、あの花嫁衣装を着ると家族と仲良くなり、自慢の嫁になるんです、まるで、そう・・・理想の花嫁に」


全員が成るなど、あり得るのでしょうか? それとも、それが花嫁衣装に憑いている方の力なんでしょうか? 繰り返し繰り返し、花嫁さんに憑いて、彼女は何がしたかったんでしょうか?


「・・・ん?」


その時、無機質な着信音が、鳴り響きました。龍崎さんが断りを入れて、席を立とうとしたのですが、何かあったのか、眉間に皺が出来ました。


「・・・すみませんが、スピーカーにしても? 向こうから、確認したい事があるようで」


困惑が顔に出ていました。向こうというと、もしや花嫁衣装を見に行った、真由合さん達でしようか?


『会談中、失礼しますわ、急ぎの確認ですの』


どうやら、私の勘は当たりだったようです。かなり、真剣な真由合さんの声が、辺りに響きます。


『私は今、豊穣さんのお宅におりますの、実は花嫁さんの性格が変わってしまいまして、何かご存知では、と』


どうやら、お札を渡したはずの、冴子さんでしたか。彼女が戻らないみたいです。そういえば、先程もお父様が言ってましたね。花嫁さんは、必ず自慢の花嫁さんになると。


「そりゃ、花嫁衣装に選ばれたんだろう・・・、どんな性格の花嫁でも、あの花嫁衣装を着ると、相応しい花嫁さんに変わるんだよ、俺の亡くなった嫁さんがそうだった・・・息子の嫁は嫌がったからな、だから、うちは没落したんだ・・・・・幸運の花嫁衣装を着なかったからな」


「幸運の花嫁衣装、ですか?」


また、新しい情報が出てきました。でも、花嫁衣装を着なかっただけで、没落とは穏やかじゃありません。

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