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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
絆が紡ぐ純愛歌
54/78

3ー2

次回は16日の最新予定です。

到着した家は、西洋の様式を取り入れた、クラシックな洋館でした。それも、かなりの豪邸です。一体、何部屋あるのやら・・・。


「うわぁ、すんごいお屋敷・・・」


矢上さんの呆れた声が響き渡ります。えぇ、ここに居る皆さん、つまり、龍崎さん、雅くん、私も同じ事を思いましたもの・・・。口には出しませんでしたけど。

ここには名家のお坊っちゃま達が居る訳で、そんなお坊っちゃま達さえ、唖然とするレベルの豪邸なんです。

なお、うちは普通の典型的な日本家屋が自宅です。こんな立派な洋館なんて、テレビでしか見たことありません! 下手したら、日本でも有数の豪邸かもしれませんね、ここ。


「・・・・龍崎、やっぱり自業自得じゃない?」


雅君の言葉に、龍崎さんも不定できないみたいです。だってはっきり視線をそらしましたもの。こんな豪邸を所有する方からの依頼です。とんでもない曰く付きの品が出てきそうで、私の方がビクビクします。何せ、鑑定は私がやるんですよ!?


「とにかく! 仕事ですよ、皆さん、宜しくお願いします」


あぁ、龍崎さん。先程の発言、スルーする事に決めたようです。確かに、不穏な依頼の場合は、また他の皆様を呼ぶ事になるでしょうから。あちらの討伐組とか。

なお、いつまでもここで待つわけにはいかないので、インターホンを鳴らし、中に入れてもらいました。車はこの屋敷の駐車場に止める事になり、龍崎さんは私たちの後から来るみたいです。

案内役として出てきたのは、頭をグレーヘアにした、執事服を着た方でした。このお屋敷、執事さんまで居るんですね・・・。レベルが違いすぎます。


「ようこそおいで下さいました」


丁寧に挨拶され、我々も頭を下げます。見たところ、おかしな気配も、特に感じないのです。依頼品がおかしいのかもしれませんね。


「若い方々がいらっしゃると伺っております、私はこの屋敷の執事をしております、山下と申します」


「ご丁寧に、ありがとうございます、探偵事務所の矢上です」


「神戸です」


「竜前寺です」


「車を止めに行ったのが、今回の責任者で龍崎になります」


一応、年長の矢上さんが挨拶です。例え、未だに見習いだろうとも、子供に見える我々二人は、止めた方がいいと、経験上、ちゃんと分かっています。今回は矢上さんが居ますが、居ない場合はかなり疑われて大変だった時もあります。・・・・・所長が来て解決なんて事もありましたから、面倒な問題は成るべく、起こしたくないのです。

その後、メイドさんに案内された龍崎さんと、無事に合流しました。・・・・・このお宅、一体何人の使用人さんが居るんでしょう?


「旦那様、探偵事務所の方々がいらっしゃいました」


「通せ」


見事な内装をキョロキョロしつつ、いつの間にか来ていたらしい、応接間に通されました。やはり西洋風の内装です。置かれている家具も、立派な物ばかりで、庶民の私と矢上さんは、ずっと緊張しています。龍崎さんと雅くんは、いつも通りでした。流石、お金持ち・・・。

さて、入ってすぐに出迎えてくれたのは、主の貫禄たっぷりの、壮年の男性でした。ビシッと決めた紺色のスーツは、一目でオーダーメイドと分かる立派なものです。


「ようこそ、我が家へ、探偵事務所の皆さま、お待ちしていましたよ」


穏やかな口調ですが、何でしょう? こう、油断出来ないような、妙な緊張感を感じ、背筋が伸びました。あ、矢上さんもみたいです。


「所長さんから、連絡を頂いてますよ、若く優秀な子を派遣すると」


あ、嫌なプレッシャーが来ています。所長、ハードルをあげましたね!?


「頼みたいのは、こちらの品だよ」


そう言って、彼の視線の先を、皆で見ます。私は、未だに眼鏡を外していないため、普通に見えています。

視線の先、それは、とても綺麗な花嫁衣装でした。御目出度い柄の、精根込めて作られた、素晴らしいものです。女性ならば、うっとりするような、引き込まれそうな程に、立派な打ち掛けです。

しかし、これを見た他のメンバーは、一様に顔を険しいものに変えています。


「凄いな、これ・・・」


矢上さんが、嫌そうな顔で呟きました。私には見えていない、何かを見ているのでしょう。


「龍崎はどう見える?」


雅君に問われた龍崎さんは、何かを考えているようですが、口を開きました。


「・・・私には、霧に覆われているように見えます」


「俺も同じく、着物が見えないからね」


どうやら、矢上さんも同じように見えているみたいですね。


「雅くんも同じく見える?」


私が問うと、雅くんは僅かに首を横に振りました。あれ? 違って見える?


「僕は、着物にキラキラした光の玉が、沢山付いてるように見える、あまりにありすぎて、着物が見えないのは、二人と一緒かな、まるで、葡萄の房みたいだ」


見鬼の才は、この中だと、私が一番強い訳ですが、雅くんも強い部類に入ります。大人二人は、それよりは下になるんですが、強い方々です。こうも見え方が違うのが、少し気になります。


「キラキラですか? 霧ではなく?」


「うん、嫌な感じはないよ、良い想いが沢山付いてるのかも?」


最後が疑問符のため、いまいち、雅くんも自信がないみたいです。因みに、私が最後なのは、前にやらかしたからです・・・。龍崎さんと、真由合さん、所長さんから、雷を落とされました。私の目は、とんでもなく強いのだと、自覚しましたとも。絶対に、同じ過ちはしません! 雷は御免です!


「では、鑑定させて頂きます」


すっと眼鏡を外します。無くさないように、ケースにしまい、バックにしまいます。無くすと、大変ですから。

改めて、着物へ視線を向けます。先程は、視線が外せない程に素晴らしい着物でしたが、・・・・・成る程。皆さんの言っている意味が分かりました。


「霧に、キラキラに、見えない・・・そうですね、確かにキラキラしていますし、沢山ありすぎて、霧みたいですし、着物が見えません」


三人の言葉通りです。キラキラとした沢山の丸い物が、着物にびっちりと付いているのです。どれも、綺麗な純粋な物ですから、問題ないですね。まぁ、これだけあれば、普通の方は当てられてしまい、影響が出るでしょうが。

ただ、唯一。皆さんが気付かなかった事がありました。


「この着物、憑いてますね」

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