2―17
お読み頂きまして、ありがとうございます!
前回の依頼は、遅い時間になったこともあり、直帰となりました。
家に帰ってから、連絡はしていても、やはり心配させてしまったようで、おばあ様からはお小言を頂きました・・・。
うぅ、耳に痛いお言葉です。正論ですから、反論も出来ませんし。
そうそう、帰ってから気付いたんですが、事務所から一斉メールが来ていました。
『明日、新メンバー紹介するため、全員集合ね、宜しく』
・・・・・私や、真由合さん、雅くん、清流院さんは明日、事務所に行きますが、他の皆さんは、予定とか大丈夫なんでしょうか? 白木さんなんて、最初以外、会ってませんよ・・・?
和葉さんも、かなり忙しい方です。実家の天然石のお店を、お手伝いされているとか。確か以前、そう伺いました。
でも、この時期の新メンバーって、ちょっと興味があります。
以前の依頼人さんの息子さんでしょうか? 確か、水島 颯太さんでしたか。あれ以来、会ってませんが、無事に修行をされているんでしょうか? 確か経験者の方から、物凄く大変だとは聞いています。
心配ではありますが、明日の新人さん。お会いできるのが、楽しみです!
◇◇◇◇◇
そして、今日。
私達は、事務所前で待ち合わせをしています。私が今日は最後だったみたいです。まだ、時間は余裕のはず・・・。皆さん、早いですって。雅くんは、シャツにズボンですが、お洒落です。真由合さんは、ピシッとした、ワインレッドのブラウスに、ベージュのスーツ。清流院さんは、深い青色の着物姿で、大変お似合いです。
私は動きやすさ重視で、ズボンにブラウスです。髪はいつものように、ゆったりとした三つ編みです。
「おはようございます、すいません、遅れましたか?」
「おはよう、美鈴、大丈夫だよ、皆、早く来ただけだから気にしないで」
雅くんはそう言ってくれたけど、やっぱり、申し訳ないですよ?
「さっ、入りましょうか」
清流院さんに促されて中に入れば、所長さんがいて、和葉さんとお話をしていました。相変わらずのボサボサ頭に、何処か憎めない、中年のおじさんです。草臥れたスーツが、哀愁を感じます。変わって和葉さんは、本日はシックなワンピースに、カーディガンです。セミロングの髪は編み込んでいて、大人っぽい感じです。
「やぁ、皆! 悪いね、急ぎのメール出しちゃってさ」
「こんにちは、皆さん」
「久しぶり、和葉ーーーーー所長、構いませんわ、あたし達は、昨日の報告がありましたし・・・・・新人さんが来るなんて、美鈴以来でしょう? この時期なのが気にはなりますけど」
真由合さんが話してくれたわけですが、私も同感です。今は秋に入った辺り。風が少しひんやりとする時期です。この時期の新人さんは、珍しいですから。
「さて、新人さんはお昼に来るよ、その前に昨日の報告といこうか」
一応、真由合さんが代表して報告しています。私達は補足です。夢の中の話は、私がやりますけど。何せ夢なので、皆さんでは話せないんですよねぇ。
「成る程なるほど、その名が出ちゃったかぁ・・・、力ある者に対しての警告とはなぁ・・・分かった、この件は此方で処理しよう、報告ありがとう」
「あの、この名前って有名なんでしょうか?」
どうしても気になって、所長さんに聞いてみます。昨日、おばあ様に聞こうとしたら、厳しい顔で知らなくて良いことだと、何も教えてくれませんでした。
「あぁ、美鈴ちゃんには絶対に関わらない名前だからね、知らなくても大丈夫! かなりマイナーなやつでね、知らない人間の方が多いくらいだからさ、所長さんに任せときなさい!」
きめ顔なのが気になりますが、これでこの件は終わりです。ちょっとしっくりきませんが。
と、タイミング良く、事務所の扉が開いて、白木さんがひょっこりと顔を出しました。私、会うのはかーなーり、久しぶりです。最初の事件以来なんですよね。
本日は、短い髪を茶髪にして、ピアスをつけており、黒い僧侶さんの服です。足元は、下駄でした。
「やぁ、久しぶり・・・もう、次の新人さんがくるのかぁ、最近は忙しくてさ、顔も出せないからメール来て、無理矢理、時間作ってきましたわ」
「白木くん、本当に久しぶり・・・、たまには顔ぐらい出してね?」
所長も苦笑いするくらい、白木さんはしばらく事務所に顔を出して無かったみたいです。
「いや、すいません、どうしてもこの時期は忙しいもんで」
確かに、この時期は、お盆に秋のお彼岸が来ますからね。お坊さんは、大変でしょう。檀家さんところへ、行かないといけないわけですからね。お疲れ様です、白木さん。
「いやぁ、しっかし、和葉ちゃんに、真由合さん、美鈴ちゃんと美人が揃うのは最高だよねぇ、疲れた俺的には、幸せの構図だよ」
白木さんのいつもの発言に、場が何とも微妙な空気になります。白木さん、女性に優しい方なんですが、女性大好きな方のため、口説くような場合がありまして・・・・・。私はちょっと苦手な方でもあります。
「白木? あんた、もう少し真面目にしてたら、モテそうなもんなのに・・・」
呆れた口調の真由合さんにも、何のその。白木さんは、嬉々として真由合さんの元へ。
「本当に!? いやー、お坊さんやってると、誰に声をかけても、乗ってくれなくてさー」
それはそうでしょう・・・。お坊さんといえば、真面目一辺倒な方々ばかりですもの。私も最初にお会いした時は、しばらく固まりました。誰にでも声をかけるのは、感心しませんけど。
「で? 新人さんはー? 俺的には、可愛い女の子がいいなー♪」
・・・・・これが無ければ、本当におモテになるでしょうに。場が呆れ返ったのは、言うまでもありません。白木さん、イケメンさんなんですよ? 性格のせいで、残念イケメンってやつになってますけど。
「白木くん、新人さんは、お昼に来るよ~・・・細かい説明は、本人が来てからね~」
所長さんも何処か、投げやりな感じがします。
「で、新人さんは、一年は見習いで、正社員登録するから」
えっ? これには、私がビックリしました。正社員登録で、一年も見習いは珍しいからです。大抵は、数ヶ月くらいだったと、記憶しています。
因みに、ここにいる皆さんは、私以外、全員が正社員です。私はアルバイト、雅くんは確か正社員見習い? らしいです。私も詳しくは不明ですけど。
「おっ、そろそろお昼だし、新人さんが来たら、ちょっとした歓迎会しようと思って、ピザとか注文しといたんだ! ジュースは、冷蔵庫に入ってるから、準備宜しくね♪」
そういえば所長さん、こういうの好きでしたね。私の時も、やってもらった記憶があります。
と、何回かノックする音が聞こえて、ガチャっと扉が開きました。どうやら、新人さんが来たようです。
いつもお読み頂きまして、ありがとうございます♪
作者の秋月煉です。
霊感探偵の、重要事項がようやく美鈴ちゃんに伝わりました(笑) 長かった! さて、次のお話では、新人さんが登場します! 誰が出るかは、お楽しみに!
次回も宜しくお願いします!
なお、感想は甘口でお願いしますね。秋月、メンタル強くないので。




