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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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次回は誠意執筆中です。

朝からハードな恐怖体験をした私達は、早い時間ですが、リビングに集まりました。早急な原因究明の為です。時計を見ると、時刻は5時半を示していました。


「和葉さん、家に居た時は、何も感じなかったんだよね?」


雅くんの確認に、和葉さんも素直に頷きます。確かに、この家からは、何も感じません。念のため、私は早々に眼鏡をかけています。あまり見過ぎてしまうと、酔ってしまいますし、この目で人を見る事はしません。必要な時だけでいいと、学びましたから。


「和葉の結界が効かないなんて、どうするのよ?」


真由合さんの言う通りですが、あれは最初から家に居たとは思えません。それだけ、強烈なモノでしたから。誰かが必ず気付いたでしょう。


「何処かに、抜け道があるのかもしれません」


私の言葉に、辺りが沈黙します。和葉さんの結界は、かなり丈夫な物ですから、破らずに入るのは不可能です。内部に最初から居たとも思えませんし。


「ここまで危険なヤツが、ポンポン出て来ると、あたし達だけだとキツいわね」


真由合さんの言葉に、残念ながら頷くしかありません。私は戦う事は無理ですし、足手まといになります。実質、戦えるのは龍崎さん、真由合さん、和葉さん、雅くんの4人です。


「流石に、あの三人も今日なら来るんじゃない?」


真由合さんが、こう言うのは分かります。彼等は一流の術者です。一流の者は、自分の実力を把握しています。その一流が、3人も揃って、助っ人を呼ぶ事に賛成したのですから、ここがどれだけヤバイ場所かは、皆さんもご理解出来るでしょう。


「あ、そうです! 私、夢を見て…………神様に会いました」


難しい顔をしている皆さんが、一気にポカーンとなりました。しかし次の瞬間。


「美鈴ちゃん!? ……………それ、まさか、山の水源の神様ですか?」


問い掛ける和葉さんの顔が、引きつっています。そうですよね、普通は神様絡みは、皆さん、慎重になりますよね。約束しようものなら、必ず守らなければいけないのですから。――――――命をかけてでも。


「はい、水源近くの穢れを祓うように、と―――――」


辺りに今度こそ、決定的な沈黙がおります。そんな中、沈黙を破ったのは、真面目な顔の雅くんです。


「取り敢えず、原因は水のはずなんだ、それが何らかの影響を受けたのは、間違いないはずなんだ……………決定的な証拠も無いし」


そう、怪しくはあっても、決定的な証拠がありません。龍崎さんが、まとめてくれました。


「今のところ、分かっているのは、水が関係している事と、源流に何かあった事、そしてあの屋敷に悪霊が大量にいる事、この家にも影響がある事ですね」


あの量を除霊するなら、この人数では心許ないとしか言えないでしょう。力ある悪霊が相手ですから、いくら準備しても、足りないという事はありません。


「情報はいくらあっても、いいですからね……………情報部に、依頼を出しましょう」


龍崎さんが、やれやれとばかりに、携帯を出します。そこに真由合さんが口を挟みます。


「龍崎、ついでに、他のメンバーが来れるか、聞いてみて」


確かに、助っ人は助かりますからね。お願い出来るなら、お願いしましょう。

取り敢えず、龍崎さんの電話が終わるまで、手が空いてしまいました。今のうちに、着替えてしまいましょうか。そう思って、椅子から立ち上がろうとして、急な立ち眩みを感じ、足から力が抜け、その場に倒れ込みます。


「美鈴っ! 大丈夫?」


気付けば、私は座り込んで、雅くんが目の前に居ました。顔も心配そうで、自分がやらかした事が、嫌でも分かります。


「大丈夫ですよ、雅くん」


笑顔を見せつつ、立ち上がろうとして、また、体がふらつきます。


「美鈴、無理しなくていいわ、アレに当てられたのかも」


真由合さんに言われても、ピンと来ませんでした。だって、近くに二人が居たんです。私だけ当てられるなんて、あるのでしょうか?


「そういえば、あんたお守りは? 和葉から貰ったでしょう?」


真由合さんに指摘されて、あっと気付きます。そういえば私、和葉さんにお守りを預けたままでした。短時間でも、あの危険なアレの近くに居たのです。……………これ位で済んで良かった、と思うべきなんでしょう。下手をしたら、何て思ったら、背中がヒヤリとしました。慌てて首を振って、怖い考えを無理矢理、消し去ります。


「そういえば、美鈴、着替えの前に、軽くシャワーでも浴びたら? 朝からあんなだったし、昨日は時間も無かったし」


それもそうです。でも朝からお借りして良いのでしょうか?


「あ、許可なら、昨日のうちに取ってあるわよ? あたしも朝には浴びるから」


……………成る程、真由合さんの都合だった訳ですか。でも、一人が怖いのも事実なので、ここはお願いしましょう。


「真由合さん、その………一緒に入ってもいいですか?」


背に腹は変えられません。この無事なはずの場所でさえ、怪異が起きているのですから。勿論、真由合さんもそのつもりだったらしく、ウインク付きでオッケーしてくれました。

その後、ロフトスペースへ行くと、階段にはもう、何もありませんでした。気配さえ、消えています。


「さあ、さっさと入るわよ?」


準備をして入った浴室は、大変広々として、二人で入るには、勿体ないくらいです。脱衣場も、広々しています。着替えの為に、眼鏡を外した瞬間、ふと、景色が変わった気がしました。


「っ! 真由合さんっ!」


私の悲鳴じみた声に、彼女も此方を見て、驚いていました。今は、朝6時。もう夜の時間は終わっています。

なのに、――――――蜘蛛が居るんです。何も居なかった浴室の中に、…………びっしりと。床が見えないくらいに。ワシャワシャ、と動く音が聞こえます。


「いつの間に…………最初は居なかったじゃない!」


流石の真由合さんも、これには生理的に無理があったようで、顔色が悪いです。

と、一匹が、群れから外れて、8本の長い足を器用に動かして、私達へ向けて歩き始めました。

………………これは、ダメなヤツです。


「「キャァァァァァァ―――――――――――――――!!!」」


甲高い悲鳴が、二人分、お屋敷に響き渡りました……………。



◇◇◇◇◇



「美鈴っ!」


「真由合さん!」


駆け付けてくれたのは、雅くんと和葉さん。二人が来てくれた事に、ホッとしました。そしてもう一人……………。


「何かあったんですかっ?!」


依頼人の御子息、颯太さんが来てくれて………………申し訳ないです。依頼して下さったのに……………。その質問には、真由合さんが答えてくれましたが、顔が真っ青です。


「よ、浴室に、む、虫!」


よもや、真由合さんがこんな反応になるとは、私も思いませんでした。が、私も虫は苦手なので、全力で頷きました。


「……………虫? ここは田舎だから、虫は出やすいんだよ、ごめんね、先に説明すれば良かった」


何処かホッとした優しい顔で、颯太さんに言われました。そっと、後ろへ庇ってくれるのは、大変嬉しいのですが……………。

今回の虫は、眼鏡を外した瞬間に見えました。それはつまり――――――。


「颯太さんには、申し訳ないのですが、今回は“此方側”の仕業です………………念のため、殺虫剤の強い物を、用意して頂けますか? そして絶対に、此方側には来ないように願います」


颯太さんは、驚いてました。本当に申し訳ないのですが、何かがあったら大変ですから。


「これは…………龍崎が担当した方がいいね」


雅くんの呟きは、正しくこのメンバーの状態を表したものです。和葉さんも、虫は得意では無いそうですから。

龍崎さんは、この場には居ませんので、確認が必要でしょう。


「でも、あの一面の虫、一人で退治って大丈夫なんですか? 中には毒があるかもしれないし」


心配になって言ったら、何故か雅くんに笑われてしまいました。笑うと言うよりも、苦笑じみた笑いです。


「あー、龍崎なら、大丈夫じゃないかな…………?」


何故か含みを持たせ、苦笑いしたまま、明後日の方を見た雅くんに、首をかしげると、ようやく頬に赤みが戻った真由合さんが会話に入って来ました。


「美鈴、龍崎なら、一人で大丈夫よ? 実力あるし、あいつの場合は、繊細な術を使うの、あたしよりこういった場合は強いわよ」


力強いその言葉に、モヤモヤはありましたが、一先ず納得しました。

と、タイミング良く、龍崎さんが来ました。眉間に皺が寄ってますが、どうしたんでしょうか?


「雅様、情報部には依頼しておきましたが……………、残念ながら3人は忙しい為、来れないそうです、別件の仕事が重なったそうで」


こうなると、ここに居るメンバーで、解決しなければいけません。かなり厳しい物になるでしょう。それを考えてか、場が静かになりました。

それを破ったのは、和葉さんです。


「あの、良ければなんですが、助っ人呼びましょうか?」


それは今、ここに居るメンバーにとって、喉から手が出る程に、必要な言葉でした。


お読み頂き、本当にありがとうございますm(__)m

作者の秋月煉です。

下手の物好きで始めたホラー、ありがたい事にブックマークを入れて下さる方もおり、本当に嬉しい限りです。

次回は、只今、誠意執筆中ですが、実は前に書いた『舞台の上にようこそ』と、コラボする事になりました。年末特別コラボ…………として、お楽しみ頂けたら、幸いです。


本日は、秋月のメイン作、『天と白の勇者達』が一緒に投稿されています。よろしければ、そちらもお楽しみ下さいませ。

では、またお会いしましょう。

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