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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
推理は挽歌を奏で
38/78

2―4

お待たせしました!

side:竜前寺 雅


犯人は、暗闇を利用して犯行に及んだ。実際、ライトが無い分、かなり暗いしね、ここ。この暗さなら、車内の事は分からないだろう。


「被害者の車はここにあって、運転席で亡くなってた、背もたれに寄りかかるようにね、首にはヨシカワ線ていう絞殺死体によくある特徴、引っ掻き傷があったんだ、これで犯人の証拠があれば最高だったんだけどね」


高瀬さん、相当悔しいみたいで、眉間に皺が寄ってた。


「高瀬さん、少し聞きたい事があるので、いいですか?」


「何だい?」


「ここ、暗いので、外の方でもいいですか?」


そう言えば、あっさりと頷かれた。美鈴を見れば、考えこんでいたので、真由合に視線で合図を送る。彼女からも僅かに頷きが返されたので、ここは任せて大丈夫だろう。


「で、聞きたい事ってなんだい?」


外に出てすぐに、高瀬さんから問われた。ん? 何だろう? さっきまでと少し雰囲気が違う気がする。


「はい、容疑者のここに入った順番を聞きたいんです」


「順番? あれ? 話さなかったっけ?」


「・・・・・話してません」


素ですっとぼけないで欲しい。取り敢えず、手帳を取り出して、ペンを持つ。多分、大事な事だと思うから。彼も手帳を取り出して、メモを確認してるみたい。


「まず、ここに入ったのは、サラリーマンの人だよ、次が被害者、その次は同僚の女性、最後がバイト君ね」


「時刻もいいですか?」


多分、ここに警察が動けない何かがあるのかもしれない。そう思ったのだ。


「被害者の死亡時刻は、7時から8時の間だ、まずサラリーマンの彼が映ったのは、7時15分だった、彼はその後、取引先と電話をしているんだ、時刻は7時15分から、7時30分まで、ここから出たのは、7時40分だね」


彼には少しの時間、アリバイがあるんだ。でも、電話だから、アリバイとしては弱い。それに、駐車場内で何をしていたかまでは分からない。因みにカメラは入口のみを映しているため、中は分からないという。


「次の同僚女性は、一階の奥の方に止めた後、化粧をしていたらしい、7時30分に着いて、出たのは7時45分だよ、この間、誰かを見た記憶はないそうだ」


「え? 見なかった? サラリーマンの方が来たら、分かりそうなものですが」


「鏡に集中していたそうだ、実際、かなりしっかりしたメイクをしていたから、あの時は凄い事になっていたよ・・・」


女性のメイクは長い。確かに見てない可能性もあるわけか。高瀬さん、恐らく当日を思い出したんだろうね。微妙な顔になってた。確か泣いていたって言ってたね。


「最後に、アルバイトくんだが、彼は7時50分にここについてる、彼も2階に止めたらしくてね、なのに、怪しいやつは見なかったし、知らないって言ってるよ、出たのは8時だね、その間、時間があったから、スマホを弄っていたらしい、因みに彼はバイクで来ていたようだ」


ギリギリ犯行時刻にいるけど、最初の二人と被っていないから、余計、誰が犯人か分からなくなった。確かに警察も、これでは動けないだろう。今は冤罪なんて起こせば、大変な事になるのだから。


「あの、当日の服装で、気になった事とかありますか?」


これが、僕が気になった事。犯人は証拠を何一つ、残していないのだ。もしかしたら、犯人の当日の服装に、ヒントがあるかもしれない。


「んー・・・・・、あっ、女性の服装なんだけど、ふわふわした毛が抜けやすかったんだ、頻繁に抜ける訳じゃないんだけど、白い毛がけっこう抜けていたから、もし犯行を行ったとしたら、間違いなく、あれは着ていなかったんじゃないかな?」


いや、それは無理がある。犯行日は、雪こそ降らなかったものの、かなり寒かったはず。なのに、コートを着ないなんて、無理がある。中はワンピースと言っていたから、彼女が犯人というのは、難しい気がする。


「あの、サラリーマンさんは、電話してましたよね? この電話は、彼からですか?」


「いや、電話相手からの指定だそうだよ?」


面白そうに此方を見ながら、彼は情報を暴露していくけど、いいんだろうか?


「ねぇ? 雅くんだったよね?」


「え? はい」


「美鈴とは、どういう関係かな?」


「はっ?」


急に言われ、思わず間抜けな声が漏れた。彼を見れば、高瀬さんは笑顔だったけど、目は笑ってなかった・・・。成る程、この若さで刑事をしてるだけはあるってことか。可愛い従妹は、大切と。


「同僚ですよ、彼女のバイト先の」


「それは分かってるよ、君も探偵だって事はね、俺が知りたいのは、君と美鈴の関係なんだよ」


それは中々に難しい質問だよ。こっちにも事情があるんだから。


「仲良くはしてもらってますが、本当に同僚扱いですよ、下手したら弟扱い?」


「だよなー、美鈴から見たらそうなるよなー」


しきりに頷いてるけど、かなり失礼だよ、高瀬さん! 僕だって気にしてるのに!


「まぁ、大丈夫そうだけど、一応忠告しとくよ・・・美鈴は、特別な子だよ? 今以上の距離感を求めるならば、君は覚悟を求められるだろう」


いつの間にか、真顔の高瀬さんが居た。本気で、僕に忠告してくれているんだろう。


「俺も勘だけは鋭い方でね、昔から頼りにしてるんだ・・・だから、君には確かに伝えたよ」


流石、あの家の血筋と言うべきなんだろう。彼は勘で気付いたんだ。僕に忠告が必要だと・・・。とはいえ、僕は・・・、今の僕は、距離感を詰めるつもりは、ーーーーーない。


「忠告、痛み入りますけど、僕、子供ですよ?」


困った顔で言ってみたら、彼も少し困り顔だった。多分、勘に任せて言ったけど、ありえそうにないとか思ってそうだね。


「だよねー、んじゃ、説明も終わったし、戻ろうか?」


その顔は既に、笑顔になっていて、先程見た冷たさはない。いやはや、彼は刑事が転職なんじゃないだろうか?


「はい、ありがとうございました」


ちゃんと礼を言って戻ったら、明るい所に居たから、暗闇が更に濃く感じた。さて、美鈴は聞き出せたかな?



◇◇◇◇◇


side:神戸 美鈴



雅くんとゆう兄が連れたって離れた後、私と真由合さんは、所在無げに佇み、ぼんやりとしている霊の方に話かけました。勿論、眼鏡を外したので、ハッキリと見えています。


「あの、失礼ですが・・・」


そう、話かけたら、視線が私に動きました。多分、この霊が亡くなった被害者だと思います。


『貴方、私が見えるの?』


弱冠の驚きと共に、彼女は此方を見返して来ました。多分、今の状態が理解出来ていないのでしょう。彼女は目に涙をいっぱい溜めて、私にすがろうと手を伸ばして来ますが、その手は虚しく私を素通りしていきました。


「貴方、既に亡くなったのよ? 誰も気付かなかったでしょう? 貴方の事」


真由合さんがズバリと核心に行きます。真由合さん、お願いですから、穏便にいきましょう!


『亡くなった? わたしが?』


きょとんとする彼女には、大変心苦しいのですが、私も素直に頷きました。


『だって、会社に行く為に、ちゃんと来たのよ? でも、車は無いし、部屋に行ったら、母親が来ていて、荷物を勝手に触っていくの・・・・・・・私が死んじゃったから?』


ショックが大きかったのか、震えています。可哀想ですが、それでも私達は聞かなければいけません。彼女の最後に、何が起きたのかを・・・・・。

彼女の為にも。

お読み頂きありがとうございます♪

謎解きを書くのは難しいですね・・・。反省点が沢山ありました。

こんな作者ですが、次回も宜しくお願いしますm(_ _)m


今月2月22日より、『猫キャラ企画』を企画しています。宜しければ、活動報告に詳しく書いてますので、遊びにきて下さいませ~♪

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