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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
推理は挽歌を奏で
37/78

2―3

お待たせ致しました!

さぁ、貴方には犯人が分かりますか?

残念ながら、これ以上、有益な情報は出なくて、車に揺られること15分。僕達は、とある駐車場に入った。


「悪いが少し歩くぞ」


高瀬さん曰く、近くに駐車場がないそうで、ここが一番最寄りの駐車場らしい。


「付く前に、簡単に容疑者を説明しておくな」


以下、高瀬さんから聞いた、情報をまとめたものである。

事件発生推定時間内に、出入りがあったのは、3人。出入りはこのカメラがある場所からしか出来ないそうで、正面以外は、建物に囲まれた立体駐車場である。死角はほぼなく、この場所以外からは出られない。

まず一人目の容疑者は、30代前半のサラリーマンの男性。車内で取引先と、早朝から電話で会話をしていたらしい。被害者とは、会社を訪れた際、会釈する程度には面識があったらしい。当日の服装は、スーツに、黒のコート。革靴に、黒の皮手袋だそうだ。性格も、かなり几帳面らしい。

二人目の容疑者は、被害者の同僚で30代の女性。いつものように出社の為に、そこに車を止める為に来たそうだ。当日の服装は、淡いピンクのワンピースに、黒のストッキング。フワフワのコートに、同じくフワフワの手袋。マフラーは、白いラメ付きのもので、此方にもフワフワが沢山着いてるそうだ。性格は、明るく、気の効くタイプ。当日はショックで泣きじゃくっていたそうだ。

三人目の容疑者は、掃除のアルバイトの19歳の男性である。大学生で、金髪に革ジャン、ダメージジーンズ、中には黒のセーターで、手袋は黒の軍手らしい。当日は、仕事の為に、会社指定の駐車場である、ここに来たらしい。今時の若者、と言える見た目だそうだ。性格は、やや短気だが、面倒見のいい兄貴肌なタイプだそうだ。


「で、被害者とのトラブルがあったのが、何と3人ともなんだよなぁ」


高瀬がげんなりした様子で、続きを話す。

一人目の彼は、被害者の元カレ。現在、彼は会社の重役のお嬢さんと、お見合いが進んでいるらしい。そのため、元カレとしては、被害者は邪魔だったそうだ。

二人目は、過去ーーー五年くらい前ーーーに彼氏を横取りされたらしく、それからはギクシャクした仲らしい。

三人目は、何と住んでいた場所が隣同士で、騒音等のトラブルがあったそう。


「うわぁ、全員に動機ありじゃないですか」


美鈴が驚いてるけど、ここまで情報があるのに、絞れないのもどうなんだろう。警察は無能ではないはずだから、何か絞りきれない理由というのも、気になる。


「そうなんだよ! 全員に動機ありで、絞れないなんて、警察としても頭が痛い問題でさ! じいさんに頼むのも何だし、先に頭の若い美鈴にお願いしたわけ」


「はぁ、それで頼まないでよ、ゆう兄・・・、見つかったらヤバイんでしょう?」


「大丈夫! もう、鑑識も居ないし、分からないようになってるからさ」


いやいや、それに僕らまで巻き込まなくても! 内心、盛大に呆れたけどさ。現場に霊感を持つ人を連れてくるなんて、ある意味ズルいけどね。だって、僕らはその人から、直接、犯人を聞く事が出来るんだから。美鈴の家族である、お爺さんや、お父さんには、霊感は無いから、本当に推理しているんだと思う。勿論、犯人が分かっても、アリバイトリックなんかは自分で推理しなくちゃいけないから、美鈴はちゃんと推理してるんだけどね。


「ほら、彼処だよ」


指を指された場所は、確かに一目には付かない場所だろう。何せ、ビニールシートで、覆われているんだから。


「あの、ここ、まだ閉鎖してるのでは?」


思わず、高瀬さんに聞いたら、彼は苦笑いしてた。ん?


「現場保存として、基本的にこういった場所は、しばらく立ち入り禁止になるのは、分かるよね? でも、ずっとは出来ないんだ、今は鑑識さんとかが終わって、一息ついたとこだよ、まぁ、立ち入り禁止に代わりはないんだけど」


つまり、未だに立ち入り禁止という事か。人目がないうちに頼むと。上手い考えな事で。


「どうだい? 美鈴、何か分かるかい?」


一見、優しく微笑んでるように見えるけど、高瀬さんの目は真剣そのもの。身内と言えども、刑事って事らしい。


「うーん、ゆう兄、中に入ってもいい?」


美鈴がそう言うけど、流石にそれはマズイのか、高瀬さんの顔は渋い。まぁ、立ち入り禁止のままなのだから、仕方ないのだけれど。


「悪いが中には無理だ、かわりにこっちから、中が見れるから、ここで勘弁してくれ」


そう言われて、駐車場の入口の横にある窓みたいな吹き抜けに、案内された。ここは半屋外みたいな立体駐車場だから、目撃者が居そうなものだけど。恐らく、それすらも無いからこその、美鈴なんだろう。

僕は美鈴の袖を軽く引っ張って、美鈴と小声で会話する。高瀬さんは、現場を見に行ったみたいだ。中に入ったのが見えた。


「ねぇ、美鈴、彼には能力を教えてるの?」


コソッと美鈴に聞いたら、彼女は僅かに横に首を振った。という事は、彼は知らないのか。それでも、美鈴を選んでくるあたり、勘は鋭いと思う。


「雅さま、彼処に霊が居ます」


後ろに控えていた真由合が、僕と美鈴に聞こえるように、教えてくれた。眼鏡を外していない美鈴は、気付かなかったみたいだ。残念ながら、僕は身長が足りなくて、中が見えないんだけど。


「僕、見えないんだけど・・・」


「・・・・・えーっと」


「・・・・・申し訳ありません」


二人の沈黙が悲しい。僕だって、もう少ししたら大きくなるはずなんだ! ・・・・・多分。

そんな会話をしていた矢先、高瀬さんが戻ってきた。


「何か閃いた?」


ここからは確かに中が見れるけど、それだけだ。薄暗い駐車場の中は、全体を見れない。


「うーん、中に入れない? 細かいとことか、見たいんだけど」


流石に、美鈴も困り顔だ。薄暗いし、何よりも霊が此方に来てくれないのだから、自分達が向かうしかない。が、入りたいは流石に、高瀬さんも許可できないのか、微妙な顔だ。


「・・・・・分かった、が、少し待ってくれ」


そう言うと、何処かへ向かった高瀬さん。僕らは戻る前に、話し合いといこう。


「美鈴、近くに行ったら、霊と話して欲しい、僕は高瀬さんの気を引き付けておくね、ちょうど聞きたかった事もあるし」


「聞きたかったこと?」


不思議そうな美鈴に、弱冠、心配になったけど、まぁ、大丈夫だろう。ちょうど、高瀬さんが何かを手に、戻ってきた。その手には、白い物が複数、握られていた。


「靴と頭にカバーしてくれ、これで変な痕跡を残さないこと」


おや、入ってもいいらしい。かなり渋い顔だけど、今回は背にはら変えられないって事かな? 余程、切羽詰まっているのかもしれない。


「ありがとう、ゆう兄・・・大丈夫、犯人をちゃんと割り出すから」


この時の美鈴の顔が、とても真面目なもので、僕は思わず、見とれた。凛とした姿は、美鈴を更に綺麗に見せていて。凄く綺麗だった。


「雅くん、行くよ」


美鈴に名前を呼ばれて、はたと我にかえる。何やってるんだろう。ここは外だ。油断してはいけないのに。


「ここが現場だ」


先導してくれた高瀬さんが止まったのは、1階の駐車場の中央あたり。しかし、かなり暗い。三方を壁に挟まれている事と、天井に着いた細長い蛍光灯が、1本切れていた。


「高瀬さん、あのライト、切れてるみたいですが、いつからですか?」


思わず僕が聞くと、高瀬さんも気付いたらしい。


「あぁ、これは数日前に切れたらしく、明日の午後に取り替えに来るっていってたなぁ」


つまり、事件当日も、ここは今みたいに、薄暗い状態だったんだ。それなら、朝の一目がある時間帯に、犯行が行われても、目撃者も居らず、難航してる理由も説明できる。

長らくお待たせ致しました。

お読み頂きまして、ありがとうございます。

次回も宜しくお願い致しますm(_ _)m

ポイント、感想、お待ちしてます!

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