表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
推理は挽歌を奏で
36/78

2―2

お待たせ致しました!

しばらく亀ペースになります。すいません!

side:竜前寺 雅


賑やかな朝食も無事に終わり、今日はお出掛けという事もあり、ちょっとだけお洒落をして、真由合と龍崎を連れて家を出る。

朝、今日は休日の為か、弟妹たちは遅めに起きてきた。普段の時間より1時間くらいだろうけど。僕は、既に準備が終っていて、呪文集を読んでいた。未だ若輩の身である以上、精進は必要なのだ。流石に、皆が起きてきてからは、僕も席について、お茶だけは付き合ったけど。

時間がお店の開店時間となる頃、僕らは予定していたショッピングモールに付いた。欲しい物は特にはないけど、見て回るのも楽しいだろう。


「あら、あそこにいるの、美鈴かしら?」


ぶらぶらと、目的もなく歩いていたら、ふと、真由合さんがある一転を見ながら足を止めた。僕らも釣られて足を止めると、視線の先に、確かに美鈴らしき少女がいる。とはいえ、一緒にいる男性は知らない人だ。親しいのか、少女は時折、笑顔を見せている。


「美鈴ったら、デートかしら?」


真由合さんが、ぽつりと呟いた。多分、無意識の言葉だとは思う。でも、それは、僕にとっては大きすぎる言葉であって。

結果、僕の足は、無意識に美鈴の居るであろう場所に、向かっていた。二人も、僕が急に歩きだしたから、慌てて追いかけてくる。


「雅様!」


龍崎が呼び止めようと声をかけてくるが、こう、止まれなかったのだ。だって、美鈴に彼氏が居たらと思うと、ちょっと堪えてしまいそうで・・・。


「あれ? 雅君?」


そう、気付いた美鈴に声をかけられて、はたと我に返る。何をやってるんだろう、僕は。今日はプライベートである。それに、これでは、嫉妬しているみたいではないか・・・。


「こんにちは、美鈴・・・」


かなり気まずくて、そっと視線をさ迷わせれば、それに気付いてないのか、直ぐに追いかけてきた二人に視線がいったらしい。うん、少し悲しかった。


「真由合さんに、龍崎さんまで! 皆さんでお買い物ですか?」


「ええ、そんなところよ・・・美鈴こそ、そちらの方とお出かけ?」


真由合が聞いたそれに、思わず反応してじーっと美鈴を見ていたら、視線が来た事に気付いた。どうやら、美鈴の同行者の男性から、らしい。僕から見ても、中々カッコいい部類に入ると思うけど。・・・やっぱり、年上のカッコいい人がいいのかな。


「え? あぁ、この人は、私の父方の従兄で高瀬 雄司さんです、今日はちょっと頼まれまして・・・」


後半、言いにくそうに彼を見た美鈴。頼まれごとって何だろう?


「美鈴の従兄で高瀬と申します、これでも、ちゃんとした公務員ですので、睨まないで下さいね」


爽やかながら、ちょっと軽い感じの彼は、少し考え込んだ後、何だか分らないけど、笑った。ーーーーーとてもいい笑顔で。


「皆さん、時間あります? 良ければ手伝ってもらっても?」


その言葉に慌てたのは美鈴である。


「ちょっと、何考えてるの!? 雅君たちは忙しい身なのよ?」


「こっちも重大事件を抱えてるんだ、大丈夫だろ?」


飄々と言ってのけた高瀬さんは、かなりの曲者に見える。美鈴の親戚筋って、いったい? 悩む僕を置いて、二人の言い合いは、続いている。


「一般人を巻き込まないで!」


「お前も一般人だろ?」


即答で答えた高瀬さんだが、美鈴の琴線に触れたらしい。笑顔なのに、漂う空気が怖い。


「ふーん、そう、なら、・・・・・手伝わなくていいわよね?」


「!? お、おい、美鈴、それは堪忍だろ!? 頼む! この事件が迷宮入りしたら、親父やジーさんが煩いんだよ! 俺の為にも、な?」


・・・・・今の会話で、彼の職業にはピンと来たけど。何で美鈴が巻き込まれてるのか、が分からない。


「美鈴? あの、話が見えないんだけど・・・、そもそも、美鈴は何で高瀬さんといるの?」


そう言い合いしてる二人に聞いたら、高瀬さんは顔をしかめ、美鈴は困った顔で苦笑いしてた。いや、だから、そんな微妙な反応をされても、分からないんだけど。


「えっと、雅くんは、うちがどんな家か知ってる?」


疑問を疑問で返された。美鈴の家? 確か、神戸家はあの家の分家くらいしか情報がなかったりする。美鈴自身が、あまり自分の事を話さないからだ。


「うちはね、おばあ様の家に、お爺様が婿入りしたの、勿論、こっちのお仕事はおばあ様が引き受けていたんだけど・・・、お爺様のご実家は、警察官の一族でね? このゆう兄も、その一人なんです・・・本来、警察が外部に捜査協力をするときは、色々と手続きがいるんです、私のお爺様とお父さんの時は、ちゃんとするんですが・・・」


「もしかして、美鈴は無許可で協力してる?」


僕が半眼で高瀬さんを見ながら聞いたら、何故か怯んだ様子の高瀬さん。どうやら、悪い事をしている自覚はあるらしい。でも、やっぱり食わせ物な彼は、素直に認める気はないらしい。美鈴に至っては、苦笑いである。


「ちょっと意見を聞いてるだけだよ!!」


やけくそ気味に言った彼からは、最初に感じた曲者みたいなのは、感じなくなっていた。どちらかといえば、一人の人間みたいに、ちゃんとした感情が見える。多分、僕たちを警戒していたんだと思うけど。


「で、僕ら、一般人をどこに連れて行く気です?」


あくまで、興味だけで聞いたら、彼は食いついた。いやはや、警察官として、大丈夫なのかな? 多分、刑事さんだよね? 行くなんて一言もいってないんだけど。


「現場を見て、誰が犯人か、意見を聞きたいんだよ・・・ぶっちゃけ、捜査が難航してるんだ・・・あまりに証拠になるものが無くてさ」


へぇ、彼は上手い事をいう。ヒントをくれと。正式に依頼してる訳でもなく、あくまでも参考にする、で収まる程度でやめるつもりらしい。これは、かなり常習してる手なんだろう。警察の体面を壊さないんだから、上手い手である。


「・・・美鈴」


これ、僕らにはかなり有利な推理が出来るんだよね。霊となった本人から直接きけばいいんだから。名前を呼んで、ちらりと確認すれば、案の定というように、美鈴も苦笑いしてた。やっぱりか。


「雅君、一応言っておきますが、御ばあ様の実家は旧家としか彼は知りませんよ」


なるほど、ね。間違う事のない、見事な犯人捜しである。


「頼む、美鈴! あと、そこの少年も!」


必死に頼み込む彼だが、僕はすでに行く気になっているし、何よりも休日を美鈴と一緒にいれるこの時間を逃すつもりはない。


「いいよ、行こう」


「ちょっ、雅様!? 流石にそれは・・・」


真由合には悪いけど、警察がいるなら安心だしね。何より、目的のない買い物よりも、こっちの方が断然、面白そうだし。帰りにお土産でも用意すればいいだろうし。


「はあ、分かりました・・・」


どうやら僕の態度に諦めたらしい。悪い事をしたとは思うけど、今回のきっかけを作ったのは、真由合だよ。だから今回は、諦めてもらうしかない。

と、今まで黙っていた龍崎の、スマホが鳴った。画面を見た龍崎の顔が、一気に険しくなる。すぐにとった彼は、少し話した後、すぐに電話を切った。


「雅さま、申し訳ありません、少々大物のようで私も呼ばれました

、お側を離れますが・・・」


「うん、大丈夫だよ、真由合もいるし」


少し成長したお陰で、多少、自分でも動けるようになった。だから、大丈夫だろう。


「申し訳ありません!」


その後、龍崎は真由合に、こっちが引くぐらい必死にお願いして、駆け足で離れていった。これを目撃していた、美鈴と高瀬さんは苦笑いしていた。まぁ、困っていたとも思う。


「えーっと、ゆう兄、現場に連れてって」


どこか疲れた様子の美鈴だが、目は強い力で彼を見ていた。多分、なんだかんだで、事件を気にしてるからだと思う。


「おう! 車止めてるから、二人も此方へ」


案内されて向かった先は、このショッピングモールの駐車場の隅だった。車もありふれた感じのシルバーの車で、中に入って気付いた。これ、もしかして。


「覆面パトカー・・・?」


思わず呟いたら、運転席に乗った高瀬さんの、してやったりな顔があって、ちょっと呆れた。自慢するような事でもないと思う。それにこの人、公務で来ていたらしい。恐らく、彼の頭が上がらないような人から。普通は警察でも、身分をちゃんと立証するバッチとかつけるんだけど、彼にはない。極秘任務、とかだろうか?


「凄いだろ? 普通は乗れないからな?」


「・・・・・そうですね」


最近、普通に子ども扱いされる事が少ないせいか、ちょっと返答に時間がかかったけど、彼は気にしてないようで、あっさりと運転に戻る。


「さて、事件の概要だが・・・とある立体駐車場で女性の絞殺体が発見されたんだ、近くの会社の事務員だった」


これ、概要だろうか? ちょっと詳しい気がするけど。助手席に乗った美鈴を見るけど、その顔は伺いしれなかった。僕と真百合さんは、後ろに座ったからね。


「死亡推定時間は、その立体駐車場の入り口にある防犯カメラに被害者が映った後、7時から通報があった8時までの1時間だ、検視官の検視でも同じ所見だったから間違いない」


「一時間もあるのね」


助手席の美鈴から、声が上がる。確かに、普通なら、もう少し特定されそうなものだが。


「あぁ、で、こっちも色々頑張って、死亡時刻の割出をしたんだが、結局短くはならず、車に至っては綺麗な状態だったため、手がかりなし! 唯一の手がかりは、防犯カメラに映ってる、容疑者3人だけってね」


あぁ、これは特定するの、難しいだろうなぁ。

お読み頂きまして、ありがとうございます!

次回からは、ちょっとズルい(笑)事件簿が始まります。勿論、出来る限りの謎解きも入れる予定ですので、宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ