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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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急な仕様の変更、大変失礼しました。

本日にて、前奏曲に関しましては、終わりとなります。

次回は、只今構想中ですので、もう少しお時間下さいね。

ふと、今まで祈っていた感覚が、急に変わった気がして、思わず、姿勢をそのままに、私は目を開きました。

そして先程まで、確かに私の前には光が道を作っていたのに、それらが急に方角を変えたのです。まるで、整えられていた道が、急に変わってしまったかのような、そんな感じでした。


「どういうこと?」


私の呟きは、とても小さかったはずですが、意外な事に、お返事がありました。すぐ近くから。


「なるほど、龍脈が無理矢理、ここを通るようにされていたから、おかしかったのでしょう、大丈夫、元凶は消えましたし、ここも直に元あった姿に戻るでしょう」


穏やかに話すのは、確か、柊さんという、和葉さんのお仲間の方でしたか。ここにきて、私は『祈り』をしていましたから、詳しくは分からないのですが、この方、今回参加していないメンバーの一人に、やけに雰囲気が似ているんです。他人の空似と言われたら、それまで、ですけど。でも、気配とか、顔立ちとか。


「うん、早く戻って、関係各所に連絡入れないと、ちょっとまずいかな? ーーーーー龍ヶ崎! いつまでもここには居れません、急いで出ましょう、影響が出てしまう前に・・・」


洞窟内なので、少し声が響き渡りますが、確かに外に出た方がいいような気がします。先程から何だか、この場の力が渦を巻き始めているような・・・・?


『走れっ!!』


誰ともなしにその声の言うまま、私たちは出口までを全速力で走りました。急に走ったので、体が変な感じがしますが、急がないとアレ、暴走した力の渦、に巻き込まれる気がするんです。巻き込まれたら、ダメな気がして、急いで走りますが、足場が悪いので思ったより先に進めないんです。ふと、優しい風が吹いた気がして、それに押されて勢いがつきました。

何とか、無事にお屋敷に戻れたのは、やはり、あの声と風のおかげでしょうか・・・。


「もうっ! あんな事になるなんて! 報告書にどう書けばいいのよ!?」


真由合さんが、怒鳴りつけますが、彼女も肩で息をしています。普段から鍛えている彼らでさえ、あの場はかなりヤバかったのです。


「確かに、こんな報告書出したら、うちの探偵事務所は、かなりまずいですね・・・」


龍崎さんも神妙な顔をしてます。個人的な事務所が、国家に関わる霊脈を乱した、もしくは、元に戻した、なんてなったら・・・・・。あ、不安しかありません。


「そこは、龍ヶ崎とうちと、椎名家で、どうにかするしかないでしょう」


とは、柊さんです。ニッコリと、優しく品よく笑ってますが・・・・・、いえ、きっと深く聞かない方がいいんでしょう。家の闇なんて、知らない方がいいに決まってますからーーーーー。


「ところで、龍ヶ崎さん、貴方がとっさに”走れ”といってくれて助かりました」


私は話題を変える為に、そう、龍ヶ崎さんに言ったんですが・・・・・、何故か、本人は、怪訝な顔になってます。・・・・・おかしいです、あの場で、確かに、聞こえたはずですのに。


「俺じゃないぞ? 龍崎じゃないのか?」


不定され、次に龍崎さんに顔を向けますが、何故か彼も、不定するように、首を横に振ってました。


「えっ・・・・・、じゃあ、あの声は?」


その場にいた全員に、あの声は聞こえていたはずです。でなければ、脱出は出来てないでしょう。誰も、声を上げない時点で、背筋がヒヤッとしました。皆さんも同じ結論に至ったのか、少し顔がひきつっていました。

・・・・・私たちが聞いた声は、一体、”誰の”、声だったのでしょうか。


「そういえば・・・」


そう、雅君が声を上げて、皆さんの視線が、彼に集中します。


「あそこには、精霊になりかけてたモノがいたよね?」


その言葉に、脳裏に浮かびあがったのは、夢の中で、私に色々教えてくれたあの方でした。確かに言われてみれば、声が同じような気がします。きっと、助けてくれたんでしょう。ずっと、あの場を離れずに、長い時間を見守っていた方です。優しい方なんでしょう、きっと。


「とりあえずは、何とかなった感じか?」


龍ヶ崎さんに確認され、雅君が頷きました。

そういえば、雅くんは今回、かなり成長したように思います。7歳くらいだったのに、今は10歳くらいに見えますし。元々、あまり表情を動かすタイプではありませんが、それでも整った顔立ちは、間違いなく、かなりの美少年であり、これからも色々苦労するんだろうことは、私でさえも容易に気付けます。二人の護衛が居るので、大丈夫そうですが。


「はぁぁぁー、まったく、とんでもない仕事になったわね、今日は」


疲れた様子の真由合さんのため息に、ちょっと張り詰めていた空気が、ほんの少しだけ、緩んだような気がしました。


「それじゃ、無事解決したことを報告して、終わりにしよう」


雅君の言葉で、ようやく我々は事後処理という名の、雑用へ動き出したのです。本当に、疲れました。

この後は、龍ヶ崎さん一行は車で早々と帰郷し、色んな省庁へと働きかけてくれるとか。その時、早乙女さんが嬉しそうだったのは、まあ、良かったねとしかいいようがありませんでした。龍崎さんと真由合さんは、依頼人に向けて説明をすることになっており、残りの私、雅君、和葉さんは、やり残しがないかのチェックが待っています。

多分、私たちが一番楽になるのは、しかないかもしれません。なんせここ、あの禍々しさが嘘のように、清浄になってきているんですから。500年の歳月は、中々に長く、霊脈に馴染んでいたこの地も、少し変わるかもしれません。でも、大きく変わることはないでしょう。今まで、上手く祀ってこなかったこの地を、正当な後継者が継ぎ、祀る事になるんですからーーーーー。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「何で君が、ここにいるのかな?」


全ての仕事が終わったのは、翌日で、ようやく我々が帰るための準備が終り、車に乗る時でした。未だに幼さが残る顔立ちの雅君が、物凄い怖い顔をして、依頼人の息子である水島颯太さんを見ていました。彼が、大きな荷物を持って、車に乗ろうとしていたのです。何も聞かされていなかった私と、雅君は、驚きましたし、何より、雅君は知らされなかった事に腹を立てているのは明白です。なまじ、整った顔だけに、年下といえど、物凄く怖いです。


「あ、俺も、皆さんのところで、お世話になる事になりました! 宜しく!」


・・・・・・・・・・。

何となく、何となくですが、これをしたのは間違いなく、所長でしょう。なんせ、あの方は、力ある才能持ちの方をスカウトするのが大好きな御仁です。私は、おばあ様経由でしたから違いますし、他の方々も、誰かの紹介だと聞いたことがあります。なんせ、スカウトされたら、しばらくは修業がまっています。すぐに現場にはでれないんですよね。

・・・・・きっと、颯太さん、知らないような気がします。

乗る時に雅君と颯太さんの、席取り合戦がありましたけど、まあ、割愛しましょう。だって、結局、雅君が勝ったわけですし。

車の中から、流れる雲を見て、ああ、終わったんだなと、ようやく実感できた瞬間でした。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


Side:???



「のう、野比古のひこ、我らのご神木が騒ぎだしたようじゃぞ」


そう目の前の青年に告げた少女は、綺麗な黒い着物を纏い、広い部屋の上座の辺りに、礼儀正しく正座をしている。年の頃は、まだ15歳程だろうか。髪を腰辺りまで伸ばし、顔立ちもかなりハッキリした、美少女である。しかし、その目には、愉悦が見え隠れしており、見た目よりもずっと大人びて見せていた。


「夜姫さま、それは・・・」


野比古と呼ばれた青年が、一瞬、顔を固くするのを、夜姫は確かに見ていた。この状況は、かなり不味い事でもあるからだ。


「大丈夫じゃ、そういう意味ではない、あの一族の巫女が覚醒しかけたみたいじゃのぅ」


クックと、楽しそうに笑う夜姫に、思わずっといった体で、ホッと胸を撫で下ろす野比古。相変わらず、体に悪いことこの上ない。


「しかし、あの巫女・・・ふむ、これから面白い事がおきそうじゃ、しばらくは退屈せんで済むのぅ」


嬉しそうな夜姫とは裏腹に、顔を引き締める野比古。突拍子もない事を言う彼女に付き従う彼は、この先の展開が何となく見えていたのだから。


「ふむ、野比古、喉が渇いた、・・・そうじゃのぅ、ミルクティーが飲みたい」


「かしこまりました」


直ぐに離れていく側近をしり目に、夜姫は愉快でたまらないというように、笑っていた。その目に、狂気を抱きながらーーーーーーーーーーーー。




お読み頂きまして、ありがとうございます!

無事に前奏曲の部分を完結する事が出来ました。次回は、まだ構想中なので、皆様、もう少しお時間下さいね。

さて、今回の作品は、コラボも入れた、ちょっとチャレンジした作品でもあります。

ヒーロー役よりヒーロー役が居ますが、まぁ、次回に期待しましょう。頑張れ、雅くん!


次回は・・・まずは題名から考えないとなぁ。


どうか、これからも霊感探偵を宜しくお願いします!


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