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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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ようやく、ようやくここまで来ました!

次回は誠意執筆中ですので、もう少しお待ちください!

階段は、少し湿った感じでしたが、しっかりとしたコンクリートで出来ていたので、やはりここだけは工事関係者の方が、何らかの影響を受けて、無意識に直したのでしょう。


「直したのはここまでのようだな」


龍ヶ崎さんの声が辺りに反響します。どうやらここは、あの地下の洞窟とは別の洞窟のようです。霊脈の影響が弱いのか、明かりはかなり弱弱しいですが、ここにも僅かですが、影響があるようです。

高さも幅もかなりある、広々とした空間。私たちが降りたのは、そんな場所でした。


「何だか、かび臭いわね、ここ」


嫌そうに、真由合さんがハンカチを口に当てます。正直、私もマスクか、ハンカチを口元に当てたいです。とはいえ、そう出来ないのも気付いているので、余計な事は言いませんでした。そんな中、早乙女さんは上と同じように、種に透明な瘴気を吸い込んでいます。


「どう? 美鈴ちゃん、この瘴気が何処から湧いてるのか、分かるかしら?」


早乙女さんに問われて、目を凝らしてみますが、全体に漂っていることもあり、正直、どこから流れてくるのかも検討が付きませんでした。


「すいません、ここ、この薄い煙みたいなのがあり過ぎて、どこから湧いて出ているのか、見えなくて・・・・・」


とはいえ、種でずっと吸っている所為か、段々と視界が良く成ってきてるのは確かです。それでも、長年漂い続けたこの煙は、中々手ごわいようで、消えてはくれません。懐中電灯で、辺りを照らしますが、それでも暗いここは、本当に霊脈の影響が弱いのでしょう。ほんの少しの差なのに、ここまで違うのには、何だか作為的な物を感じますが。


「妙だな、ここ・・・霊脈が近いのに、こんなに弱い影響しか受けないとか、あるのか?」


似たような疑問を龍ヶ崎さんが呟きますが、皆さんも薄々、疑問に感じていたんでしょう。先程より、空気が張り詰めた感じがします。わたしも、目に集中しますが、一向にこの煙のようなものが晴れないので、かなり困りました。


「まるで、何かを閉じ込めていたみたいだね」


雅君の唐突な言葉は、私を混乱させるには十分なものでした。


「・・・・・何で、そう思ったの? 雅君」


きっと、誰も気付いてないでしょう。私の心境の僅かな変化には。口調は、いつも通りでしたから。


「え? いや、ここに鎖とかの跡があるし、何よりここ、術の気配がするし」


私には今、そんな術は見えていません。透明に近いとはいえ、煙に覆われたこの場所は、私の視界を容赦なく奪っていきますし、何より、気配が色々と混ざり合って、分からないのです。つまり、見え過ぎる事と、気配に敏感すぎる弊害と言えるでしょう。

確認するように、龍ヶ崎さんが、それがあると思しきところへ確認に行きます。


「確かに、これは鎖の後だな・・・・・、としたら、これは骨・・・か?」


そう、続けられた言葉に、ゾクリとします。背中が泡立つような、嫌な感覚に、思わず自分の体を腕で抱きしめます。怖すぎて、小さな震えが止まりませんでした。それに気付いて、真由合さんが、私を抱きしめてくれましたが、それすら頭に入ってきませんでした。


「ちょっと、とおる! 言い方に気を付けて!・・・・・けど、どうやらここ、あちらとは違う目的で使われてたみたいね、術者の末裔でも、もう少し考えて行動してほしいわ」


心底嫌そうな声の早乙女さん。あちらの空間には、強い女性の姿の霊がいましたが、皆さんによると、あれは暴走に近い状態の、契約した式だったようです。血の契約だったみたいで、契約者が亡くなっても、血を継いでいる人がいれば、自動的に引き継がれていくようなものらしく、あまりにも長い時間が過ぎていたために、暴走していた、との事でした。

そして、早乙女さんは、きっと何かを感じ取ったのでしょう。私とは違う、何か、を。


「そろそろ、薄くなってきたかしら? 美鈴ちゃん、どう? 見えるかしら?」


そう、確認を取るように聞かれて、未だに震えは止まりませんでしたが、辺りを見渡します。そう、この嫌な感じは、煙は・・・・・。


「あそこの正面から、来てます・・・・・でも、何だろう? ここ、霊が・・・居ない?」


大抵、こんな地下洞窟には、霊が居たりするものですが、何故かここには居ないのです。勿論、ここには蠱毒の影響を受けてるモノがいるので、居ない事は当然なんですが。なんといいましょうか?


「気配が、おかしい? こんな気配、知らないわ・・・・・それに」


生きてる?

最後の言葉は、声にすらなりませんでした。気配は、間違いなくあります。死んでるはずの気配なのに、生きてる気配もする、不思議な気配。意味がわかりません。

でも、きっと、この先に、答えがあるんでしょう。


「んじゃ、いつまでもここに居る訳にもいかんし、そろそろ行くか」


当たり前のように、龍ヶ崎さんが進んでいきます。それを追うように、皆も。勿論、私も、真由合さんに手を引かれて。心配そうに雅君が、私の隣に来てくれたけど、私にはそれに礼を言えるほどの余裕は、正直ありませんでした。だって、この気配が、あまりにも異質過ぎて。

勿論、皆さんは私の困惑した言葉を聞いて、戸惑っているみたいです。まあ、それぞれしっかりと自衛の為の装具をお持ちのようなので、大丈夫でしょう。


「随分と厳重に、しめ縄がされてるな・・・」


煙の方に進むと、古いしめ縄が、厳重に張り巡らされていました。何本か、切れてしまっているので、効果はほとんどありませんが、何かを厳重に封じていたのは、間違いないようです。恐らく、ここがこうなったのは、封じる為のものが時間と共に、朽ちてしまったからかもしれません。それならば、リフォームから起きた一連の騒動にも納得がいきます。


「とりあえず、このしめ縄の代わりに、お札でも貼ってくか」


上に影響が起きても困ります。龍ヶ崎さんが、相対するようにお札を何枚か貼り付けます。それだけで、壁が出来たように私には見えました。勿論、これは霊的なモノや、悪意のあるモノを通しませんから、これから先、よほどの事が無ければ、上の屋敷は無事ということです。


「美鈴、大丈夫? 顔色が悪いけど・・・」


隣を歩く真由合さんに心配されますが、これは恐らく、本能的な物からくるものです。鳥肌がずっと続き、軽い眩暈もしていますが、恐らく、私はこの先に、行かないといけないのです。何かが、私を呼んでいるはずですから。


「大丈夫です、私は、ここに呼ばれているようですから・・・・・」


本当は帰りたいけど、迷惑をかけると分かってるけど。本能が行く事を望んでいるのです。


「おっ、どうやら、着いたみたいだぜ? これがこの一族が隠したかった、今回の原因みたいだな」


目の前には、広いホールのような場所が広がっていました。隙間から、雨水が湧いているのか、壁のあちこちが黒く汚れていました。恐らくですが、定期的に流れてるものではないのでしょう。水の流れた跡、なんでしょうね。中心にあるそれを囲むように、水が張り巡らされていたようで、そこそこ深い溝で、一周囲われています。ここは霊脈の力が、先程通ってきた場所よりも強いようですが、今や穢れたこの場所に力を与えてしまっているようです。大地から、中心に置かれた古い石で出来た棺に、力が流れ込んでいるのが視えました。恐らく、これが今回の原因で間違いないはずです。


「随分と古いな・・・数百年は立ってるか? いや、札が比較的読めると考えると、100年辺りてとこか? 札は力がもうないな、これじゃ、蠱毒状態になるわけだな、閉じ込められてるんだからな」


淡々と、事実を述べる龍ヶ崎さんは、直ぐに何が起きても大丈夫なように、札を手にしていますし、他の皆さんもそれぞれ動けるようにしています。早乙女さんは、種を掲げて、ここに漂う瘴気も吸い上げています。目がキラキラと輝いて・・・興奮しているのは、気のせいではないでしょう。


「あら、どうやら本体が歓迎してくれるようよ?」


早乙女さんの言葉と共に、ギシギシと、石が擦れる独特の音と共に、それは私たちの前に、ようやく姿を現したのでした・・・・・。



いつもありがとうございます!

ようやくここまで来ました。もうすぐバトルシーンが来ますが、はたして秋月は書けるんでしょうか? 不安ですが、頑張ります!

最終回目指して、突っ走るぞー!


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