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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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お待たせいたしました!

えっ、待ってない!? ・・・・・ぐすん、次回は誠意執筆中ですので、もうしばらくお待ちくださいませ。

見つけた地下室への階段ですが、直ぐに降りることはせずに、まずは色々と準備をすることにしました。

かなり古い物らしいので、外に待機している龍ヶ崎さんにも声をかける事も忘れません。生き埋めとか、装置が壊れたりとか、ありえますからね。


「こんなカラクリ、いつのもんだよ・・・」


とは、初めてこの地下階段を見た、龍ヶ崎さんの第一声でした。純粋に楽しんでいるように思います。

業者さんも、この部屋を色々作業したはずですから、この地下室のことは気付いていたはずです。しかし、誰も何も知らなかった、もしくは誰も違和感を覚えなかった、という事は、何らかの力が働いた、としか思えません。


「地下に居る奴は、相当な力を持ってるな、このまま行くには、ちょっと不安だな・・・」


顎に手を当てて、地下を確認している龍ヶ崎さんの言葉に、雅君も賛成のようです。


「凄い強い力を、下から感じるし・・・早乙女さん、これも餌として使うつもりですか?」


雅君の真面目な顔に、どれだけ強い霊が居るのか、私は不安になりますが、問われた早乙女さんは、余裕の顔で微笑んでいました。愚門だったようです。


「勿論、いただいていくわよ? こんな餌向きの霊なんて中々居ないもの!」


かなり嬉しそうな発言に、ピーンと張り詰めた空気が、少し緩んだ気がします。


「相変わらずだな、お前は・・・」


呆れたように龍ヶ崎さんが答えます。早乙女さんのぶれない態度に、ちょっと眩しく思えたのは内緒です。私には、無い物ですから。


「今ある御札や、式神、式、数珠等の道具を合わせても、心もとないな・・・、としたら、連絡はしといたほうがいいな」


真剣に考え込んでいる龍ヶ崎さんですが、連絡ってどこにでしょう?


「ちょっと、とおる! あたし達にも説明しなさいよ、連絡って和葉たちのとこ? それとも、本家?」


早乙女さんは、ガンガンと龍ヶ崎さんに話しかけてますが、いいのでしょうか? こちらはヒヤヒヤしてるのですが。


「ん? あー、すまん、勿論、和葉と柊にだ、あっちもそろそろ終わるはずだし、合流してもらうつもりだ」


そういえば、お二人は依頼人に付いて、例の神社に向かっていたのでした。


「俺は連絡してくるから、ちょっと休憩でもしててくれ」


そう言って、龍ヶ崎さんは一人外へ向かっていきました。お強い方ですし、大丈夫でしょう。何より、先程お掃除もしたので、霊はいませんから。


「そういえば、和葉さんたち、何をしに行ったんですか? さっき、聞きそびれちゃって」


そう、真由合さんに言ったら、何故かため息をつかれました。え? おかしな事聞いてしまったでしょうか!?


「あー、そうよね、美鈴は詳しくないんだっけ? 和葉と、柊さんはね、『継承の儀』ってヤツをやりにいったのよ」


聞きなれない言葉に、思わず首を傾げます。私以外の皆さんは、知っているようで、特に反応はありませんでした。年下のはずの雅君までもが、知っていたみたいです。うー、恥ずかしいです!!


「何を恥ずかしがってるのよ、知らないのは仕方ないわよ? 滅多にやらないんだもの」


真由合さんがフォローしてくれますが、ちょっと立ち直れそうにないです。勿論、何かは知りたいので、ちゃんと聞く姿勢ですが。


「この儀式はね? 前任者から、次への継承をするためのものなの、つまり今現在は、依頼人がここの正当な管理人になってるけど、それを神社の宮司さんに継承する、つまり譲るためのものなのよ、あたしも説明受けた時は意味が分からなかったけど、どうもその辺り、ちゃんと継承されてなかったみたいなのよね、多分、歴史に埋もれちゃったんでしょうねー、無駄に長く続いてると、たまに起きる事みたいよ?」


あっけらかんとした、真由合さんの説明ですが、分かりやすい物でしたので、助かりました。真由合さん、教え方が上手なんですよね。豪快な術を使うのに。


「何か失礼な事、考えなかったかしら?」


「いいえ? 教えて下さってありがとうございます♪」


鋭い感に、内心ビクビクしつつ、笑顔でお礼をします。笑ってごまかせ・・・は、だめでしょうか? 疑いの目をしばらく受けましたが、ニコニコと微笑んで誤魔化します。ごめんなさい、怒られるのは嫌です!


「ねえ、この仕掛けっていつの頃に作ったのか、誰か聞いてる?」


早乙女さんの、少し緊張したような、そんな言葉に、ここに居る全員が視線を向けます。


「いや、僕は聞いてないし、資料も確認していないよ、そもそもこの仕掛け事態、さっき知ったばかりだし」


雅君はそういえば、資料の全てに目を通してましたし、私も追加分を含め、目を通しましたが、地下室の事は書かれていませんでした。


「そうね、あたしも依頼人から聞いてないわ」


真由合さんも同意してます。私もなのですが、ちゃんと工事をされていますよね? ここって。つまりは、無意識に、業者の方々は行ったことになるんですが・・・・・。そう思うと、ゾクッとしました。言いようのない何かに。

そんな私達をよそに、龍崎さんは入り口付近を確認しています。


「恐らく、設置そのものは、100年以上は立ってるだろう、開けられた形跡や、出入りの形跡がないから、長い間、誰も出入りしていない事は確かだ」


その冷静な指摘に、思わずカッコいいと思ってしまったのは、内緒です。普段の無口が嘘みたいに、長く話したように思います。


「つまり、ここが厄介になった元々の原因は、大昔の人間の所為なの!?」


真由合さんの目が険しく吊り上がります。美人だけに、その威力は凄いのです。

確かにここの成り立ちは、戦が始まった事によりますから、まさしく的を得ています。とはいえ、その後まで、しっかりと考えていて下されば、こんな事態にはならなかったはずです。途中までは上手くいっていたはずですから、問題は100年と少し前に起きた、猟奇殺人事件でしょう。この時にしっかりと対処していたら、後の人は困ることも無かったでしょう。


「真由合、それだけじゃない、恐らく地下にあるのは、蠱毒の壺の代わりとなるものだ、相当なモノがいる・・・・・何かを地下に置くのは、人間の習性なのかな?」


未だ幼さの残る雅君から、冷静な見解が来ますが、正直、目が坐っているので、かなり怖いです。と、話が終ったらしい龍ヶ崎さんが帰って来てくれて、ちょっとホッとしました。何だか皆さん、ピリピリしているような気がして。勿論、これから地下に降りるわけですから、緊張感があるのは仕方ない事ですが、空気が張り詰めているようで、何だか嫌な感じなんですよね。


「連絡ついたぞ、直ぐに来るってさ、それまでに各自必要な物を準備しとくぞ」


まるでこれから近所にピクニックに行くかのような、そんな軽い口調に、少し空気が軽くなったような気がします。・・・・・何だか先程から、空気が冷えているような。いえ、気のせいですよね。

そう思いたくて、眼鏡をそっと取った私は、目の前の光景に、目を見開きました。穴の中から、何か透明に近い、恐らく悪いモノが、あふれ出していたのですから。


「皆さん、その穴から離れて!」


急に私が悲鳴を上げた事に、一同驚いた様子でしたが、直ぐに裸眼の私に気付いたようで、穴を凝視しています。流石、プロの方々です。反応がとても早いです!


「あら、嫌だわ、こんなモノに気付かなかったなんて」


そう言うなり、早乙女さんは手に持っていた種を使い、それらを吸い込んでいきます。やはり悪い気配のモノなんでしょう。次から次へと溢れるそれらを、一切の戸惑いなく、ガンガンと吸い込んでいきます。ど、どれだけ吸い込めるんでしょうか!?

龍ヶ崎さんがお札を手に、近寄っていきます。一時的に結界で蓋をするみたいです。


「よく気付いたわね、美鈴、お陰で助かったわ」


ご機嫌の真由合さんですが、不思議に思います。あれだけ、ハッキリと見えたのに、どうして皆さん気付かなかったのでしょう?


「あの、皆さんは見えなかったのですか?」


そう素直に私が聞くと、皆さんが戸惑いに近い反応でした。という事は、これは今のところ、私しか見えてない・・・・・?


「美鈴、恐らくだけど、僕らはかなり集中しないと、これには気付けないと思う、ほとんど見えないし、気配もかなり薄いからね」


雅君の言葉で、肯定されたという事は、本当なんでしょう。誰も反応しませんでしたから。


「美鈴ちゃんには悪いけど、しばらく眼鏡は付けないでくれるかな? 恐らくだけど、君の目が、地下では必要になるだろうから」


険しい顔の龍ヶ崎さんの言葉に、息を呑みます。視る事しか出来ない、今の私に出来る事、なんですもの。頑張るしか、ありません。大丈夫、これが本来の私の視界なんです。慣れなければいけない事なんです。


「はい、頑張ります!」


意気込む私は、その時、心配そうに此方を見ている視線に、気付きませんでした。だって、いっぱいいっぱいだったんです。自分の本来の視界の事で。

和葉さんたちが、合流したのは、それからすぐの事でした。

準備を終えた私達一行は、結界で一時的に蓋をしていた地下へ、いよいよ足を踏み入れましたーーーーー。





水は流れるもの、穢れを全て、水に流し

清らかに保ってきた

しかし一度流れが淀めば、それは穢れをため込み

その場は穢れの場と変わるだろうーーーーーーーーーーーーー・・・・・


読了、お疲れ様でした。今回は怪しさ満点の地下室付近をお送りしましたが、皆さま、いかがでしたか?

正直いいまして、ここまで長くなるなんて思いませんでした。でも、後は、地下室を書いたら任務終了! 終わりです。

もう少し、お付き合いくださいませ。

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