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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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書きあがりましたので、アップします!

何だかこの作品が、進むのが早い・・・。他も頑張らないと!

次回は誠意執筆中です。


引き続き、私と真由合さんは、1階を除霊・・・お引越し? を担当しています。

今は、ちょっとトラウマになってしまった、水回りに来ています。

因みに、雅君と龍崎さんは、2階に行ってますが、階段はここからでも見えるので、雅君があがったのは確認しました。少し、ボーっとしてましたけど、大丈夫でしょうか?

・・・・・・とはいえ、おかしいんですよねぇ。

あとは、この家を除霊して、霊脈を動かしてーーーーーこれは後程、専門家を別で派遣するので、私達の仕事には含まれませんがーーーーー依頼人さんのとある問題を解決したら、今回は終了の訳なんですが。

思ったような、そう、初日に見たような、そんな悪霊クラスが少ないような・・・・・。いえ、居ない訳ではないのですが、ここが蠱毒になってる、という予想に反して、我々の手を煩わせる程の”悪霊”が居ないんです。

蠱毒とは、古くは大陸から伝わったマジナイが始まりであると伝えられています。壺の中に、決まった数の虫を入れて競わせ、生き残った最後の一匹を呪術に使うというもの。そのおぞましさから、下法に使われる事が多く、そのほとんどがのろいに使われる物です。まあ、効果は伝わっている時点で、お分かりの通り。かなりの効力があります。

と、蠱毒とはこういう前提があるわけで。つまり、生き残った”強い個体”が、どこかに居ると我々は推察したのですが。結果は、記したとおり。

・・・・・何か見逃しているんでしょうか?

早乙女さんも、先程から延々と霊を吸い込んでますが。何か観察しているようにも、見受けられます。・・・・・ちょっと、テンションが高いような気もしますが。


「美鈴、粗方見たけど、ここも結構いたから、今から追い出すわよ」


と、真由合さんから声がかかります。


「了解です!」


早乙女さんも、私たちの会話に気付いたのか、種を持ったまま、スタンバイしてますね。気持ちは、掃除機をかける掃除人さんでしょうか? いえ、この場合は、職人さん?

なんて、ちょっとした妄想をしていたら、あっさりとこの場所のお引越しは終了してました。勿論、最後に私が裸眼で観察して、何も居ない事を確認していきます。

何ともなしに、しまったままだった、お風呂の蓋を触った瞬間に、気持ちが悪いゾクゾクした感じがして、私は手を思わず放していました。


「美鈴? っ! まだ居たのね!?」


直ぐに理由に気付いた真由合さんは、素早く印を切り、気合もろとも、お風呂の蓋へ向けて放ちます。流石にたまらなかったのか、先程まで気付かなかった、どろりとした気持ち悪い気配に、一瞬で鳥肌が立ちます。これを気付かないでいたなんて・・・・・。


「蓋が邪魔で、こいつに気が付かなかったのね、そっちにまた送るから宜しくお願いします」


「えぇ、餌は大歓迎よ」


なんて、怖い会話をしり目に、私はそそくさとお風呂場から逃げました。まだ、背中がゾクゾクしますし、鳥肌も治まらないんです。眼鏡をかけて、視界から霊を追い出します。それだけでも、私にとっては、精神的に大きく違いますから。幼い頃は、裸眼で居ても嫌な感じはしませんでした。でも、大きくなるにつれて、霊の恐ろしさを知ってからは、裸眼で長時間居ることが苦手になってきてます。私の目には、人の中の流れまで見えてしまう・・・つまり、見えすぎてしまうんです。それらは、いろんな流れを生み、見えてしまう私は、酔ったのと似た症状が出てしまうために、眼鏡は手放せなくなりました。ガラスを通すだけでも、見えなくなるのです。日常では、本当にありがたいものです。普通に過ごせるのですから。


「大丈夫? 美鈴」


除霊もといお引越しが終った真由合さんが、心配そうに来てくれました。本当に面目ないですし、何よりも、足手まといではないか、とも不安になります。


「大丈夫です、すいません・・・」


「気にしなくていいわよ、あなたの目は特別な物なんだから」


気遣うように言われた一言。でも、その目しか役に立たないのに、結局、見えすぎてしまうが故に、長時間使えないのでは、宝の持ち腐れなのかもしれません。


「さて、一階はほとんど終わりよね? 後は二階だけど、終わったのかしら?」


二階へ続く階段を見ながら、確認するように問いかける姿に、私も同じように二階へと視線を向けます。ふと、感じるのは龍崎さんとは違う、やや粗い感じの力。

・・・・・これは、もしかして、雅君?

少し大きくなった事もあり、以前よりも力が大きくなったように感じます。でも、まだ、きちんと扱いきれてないようで、大雑把な感じといいますか。真由合さんのような、豪快な感じとは違う、上手く制御できていないような、そんな感じに見受けられます。一言で言うなら、未熟さでしょうか? でも、雅君ならば、すぐにコツを掴んで、色々と扱えると思います。


「どうやら、大方は終わったようね、・・・・・?」


真由合さんが最後、不思議そうに階段上の空間を見ています。何かあるのかと、私も眼鏡を外して見て、驚きました。


「これって・・・」


どういうことでしょう? あたし達はこれで終わったと思ったのに、私の目には、未だに力の流れが続いてのが見えるのです。先程までいたモノ達は片付けたはずです。でも、これは、私達の方へと確かに流れてきています。私達が、流れに気を取られている間に、雅君と龍崎さんは確認を終えてきたらしく、いつの間にか階段を下りてきていました。


「美鈴、真由合、まだ終わってない、恐らくここには地下室があるはずだ」


どこか慌てた様子の雅君と、考え込んでいる龍崎さんに、不安がよぎります。


「地下室って、此方には確認できませんでしたよ?」


「そうよ? 一通り見たけど、地下室に向かう場所なんてなかったわよ?」


私、真由合さんで答えると、雅君は考え込んでしまいました。地下室なんて、ここには確認できませんでしたし、何より、通じる扉なんて、ありませんでした。

と、今まで考え込んでいた龍崎さんが声を上げました。


「雅様、地下室ではなく、この屋敷の地下ではありませんか?」


ここには、地下室はありません。間取り的に、地下に行く場所は見受けられませんでした。


「いや、間違いなく、通じてるはずだ、じゃないとここまで霊が少ないのはおかしい」


確かに、霊は思ったよりも少なかったです。ならば、霊が通る、どこかへ通ずる道があるはず。

・・・・・そういえば。


「あの、ちょっと気になる場所があるんです」


「それ、どこ?」


私が声をあげると、雅君が即答で食いついてきました。勢いが怖いですよ、雅君!?


「え、えっと・・・・・リビングの暖炉です」


現物があった方が見やすいかなと、私達はリビングへ向かいます。勿論、今回は早乙女さんも一緒です。彼女いわく、何か楽しそうとの事ですが、まあ、プロの方ですから、大丈夫でしょう。

着くとすぐに、雅君は暖炉を色んな視点から確認しますが、何に対して気になったのか、分からないようでした。


「美鈴、これの何が気になったの?」


問いかけてきた、雅くんも、何処か訝しげです。この暖炉は、年代物のようで、補修はされていますが、ほとんど手を加えていない、備え付けのものです。部屋がモダンな事もあり、とてもマッチしていますが、これだけ違和感があったんです。だって。


「普通、暖炉には、手前に柵を付けますよね? この柵だけ、床に浮いていたので、違和感があって」


この暖炉には、鉄でできた、お洒落な柵が、暖炉を取り囲むようにつけられています。しかし、四隅以外は宙に浮いているんです。まあ、そんな作りだと言われたら終わりなのですが。


「美鈴は気になったんだね?」


「はい、雅君が見た通り、何の変哲もない暖炉なんですが、何だか気になってしまって」


皆で色々と、暖炉の周りを探っていきますが、特に怪しげなスイッチがあるわけでもなく。いたって普通の暖炉でした。


「他に気になった場所とかあるかしら?」


真由合さんは、さっさと違う場所を探す事にしたようです。確かに、まさかこんな場所に、地下室を作るための仕掛けがあるなんて、思わないですもんね。私の考えすぎだったのかもしれません。そう思うと、何だか疲れてしまって、柵の一部にもたれかかった瞬間。


「え?」


私の間抜けな声と共に、ガコンという大きな音と共に、何かが動き始め、そして。


「どうやら、美鈴の推理は大当たりだったようだね」


雅君の満面の笑みと共に、皆さんの視線は、部屋の中央、カーペットで隠された、その場所へと向いていました。

そこには、我々が探していた、地下室へと続く、ほの暗い階段が姿を見せていたのです。


・・・・・私、どうやら足手まといにはならないで、済むようです。多分。

読了、お疲れさまでした!

そして、いつもお読みいただきありがとうございます。

あとは、地下を残すのみ! そう、ようやく終わりが見えてきました。何だかずーっと書いていたので、もうすぐ終わりとなると、考え深い物がありますね。

初めての、ホラー連載もの。推理付き! ホラー主体で推理も入れたいと、秋月の趣味を詰め込んだのですが、推理を楽しめたのでしょうか? まあ、答えはもう出てますから、あとは結末へ向けて前進あるのみ!

次回もよろしくお願いします。


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