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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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ようやく書けました。今日はちょっとした説明会になりました。

次回は誠意執筆中です!


「美鈴、・・・・・雅様に会ってくれないかしら」


この言葉を真由合さんが言った瞬間、場の空気が明らかに、凍り付きました。

特に、言った本人よりも、龍ヶ崎さんの顔が、いえ、視線が、とても怖いです。射貫く程の力を込めているかのような、そんな鋭い視線でした。


「それは辞めとけ」


私が返事をする前に、龍ヶ崎さんから、止められました。


「今のあいつは、見られたくないはずだ、お前だって分かるだろ? ”成長痛”は、マジで痛いんだよ」


んっ? 成長痛? 男性が成り易い、あの??


「だって、あたしじゃ、何も出来ないんだもの!!」


だからって、真由合さん。いくらなんでも、今回は会うのは辞めた方がいい気がします。


「・・・・・分かったわよ、今回は諦めるわ」


不貞腐れた、いえ、拗ねてしまった真由合さん。いくらなんでも、今回は可哀想です、雅君が。

だから、気付きませんでした。この会話に秘められた、もう一つの意味に。そして、もしも今回、私が気づいても、どうにもならなかったことに。私は、気付くことが出来なかったのです。


「さて、皆さん、今のうちにご飯とか食べちゃいましょう、ね?」


和葉さんの、ほんわりした空気に、ピーンと張り詰めた空気が解けるかのようでした。たしかに、お腹がすきました。こればかりはどうにもなりませんので、依頼主にはきちんと説明をして、結果、明日も臨時休業をお願いすることになりました。いやはや、申し訳ない限りです。代金とかは、うちの事務所はかなり割安です。胡散臭いとか言われて、後から言われるのは嫌なので、証拠もばっちりありますし、ここには旧家の方々が大勢いるので、トラブルはあまり発生したことがないのだとか。

実際、頼まれない限り、動きませんからね。この業界は。


「今日はスパゲッティですね、美味しそうです!」


無事に依頼が終ったら、父に頼んで食べにきたいですね。だってここ、本当に美味しいんですもの。絶対に、リピーターになる自信があります。食事の時間は、幸いにも穏やかに過ぎて、食後は片づけを手伝った後に、また皆でリビングに集まりました。


「とりあえず、明日の作戦会議はするぞ? 俺らも明日には引き上げないといけないからな」


龍ヶ崎さんの言葉に、ふと思い出します。此方に居る、龍ヶ崎さん、柊さん、早乙女さんは、和葉さんがお願いして来て頂いていたのです。私たちと違い、別の仕事もあるはずです。


「すいません、私のせいで貴重な時間を・・・・・」


申し訳なくて、頭を下げたら、何故か笑い声がしました。えっ? 笑い声!?


「ふふっ、噂に勝るいい子ね、美鈴ちゃんは」


早乙女さんが、優しい顔で笑っていました。あれ? 私の事を怒っていない? というより、噂ってなんでしょう?


「この程度の事で怒るような方は、いませんよ」


とは、柊さんです。シックな装いがとても似合っています。


「だな、お前は気にしなくてもいいんだ、手落ちは大人が取るもんだしな? 次は期待してるぞ?」


最後に締めた龍ヶ崎さんは、前半は私に、後半は恐らくですが、真由合さんと和葉さんに言っていたように思います。二人がしっかりと頷いたのが、視界の端に見えましたから。


「とりあえず、だが・・・雅と龍崎は明日は来れるのか?」


龍ヶ崎さんの質問に、真由合さんは頷く事で是としました。成長痛なら、明日は大丈夫なのかもしれませんね。


「明日は本家を祓うが、うじゃうじゃいるのは資料で分かってる。だから、あの屋敷の周りに大きめの結界を張って、中の奴らを一気に祓う予定だが・・・」


そこまで言って、何故か早乙女さんを見る龍ヶ崎さん。一方、早乙女さんは、笑っていた。・・・・・とても怖いオーラを出しながら。


「あら、とおる? ーーーーーーーーあたしにくれるんでしょう?」


正直、辺りの気温が一気に下がった気がしました。早乙女さんを見ている龍ヶ崎さんは、何故か平気なようですが。


「・・・ったく、そういうと思ったよ! 結界は張る、かなり頑丈なもので、中の気配を消す方向に頼む」


「気配を消す・・・ですか?」


このお願いには、柊さんも困った顔をしてました。勿論、何か考えがあるんでしょう。


「中には、雅と龍崎、橘、美鈴ちゃんも頼む、俺も行くしな、和葉には早乙女のサポートを頼む」


「「「「「了解」」」」」


そこには異存はありませんので、普通に承諾しましたが、ふと疑問が残ります。何で、結界に気配を消す効果を付けるのか、早乙女さんと和葉さんはどうするのか聞いていないのですが。その不思議そうにしていた事に、早乙女さんが気づいたようで、また、あの優しい顔で、私に教えてくれました。


「ふふっ、大丈夫よ、明日はこれを使うから、だからこんな風にしてもらったのよ」


そう言って包んである布から出して見せてくれたのは、男性の握りこぶしはありそうな、そんなサイズの”種”でした。


「・・・これは?」


この種、明らかにおかしいです。眼鏡を取らなくても、強い力を感じます。思わず、見いってしまう程の力です。正直、あまりに強いので、近くには居たくありません。呑まれてしまいそうです。


「我が家に伝わる、魔法の種よ、発芽迄に凄い力が必要だから、今回は家から持ってきたの、力なら何でもいいから、悪霊なんて力の塊は最高なのよ、これにはね」


ウインク付きで話す早乙女さんに、思わず、顔が引きつりました。私からしたら、危険で怖い悪霊も、彼女達からしたら、餌扱いのようです。これが一流の一族の力・・・なのかもしれませんね。


「じゃあ、各自明日に備えて準備するぞ、片付けは美鈴ちゃん、頼めるかい? 後は手が空いた奴から片付けに加わるから」


「分かりました」


龍ヶ崎さんに言われ、素直に頷きました。それでは、機材とか、片付けられるものはしていきましょう。私は皆さんとは違って、何か特別に使う訳ではありませんから。それに、ちょっと気になってる事があります。

あの夢で、私は沢山の時間を見てきました。まるで、劇を見ているかのように。けれども、私が見たのは、明らかに外からでした。視点を誰かに借りた訳ではないんです。それが違和感の一つ。まあ、先程の夢で、半精霊化している地縛霊が居るのは分かっているので、そこに起因している気がします。

それと、もう一つ。

あの屋敷に居る、強力な悪霊の数々。ここが、細くても霊脈の上であり、何よりも忌地であることです。150年前に起きた残忍な事件は、ここを再び忌地に戻してしまいました。でも、あれくらいならば、きちんとそこを清めれば、こんな事態にはならなかったでしょう。しかし、現実はきちんと祓う事もせずに、放置したのですから、自業自得な気もします。しかし、何故このタイミングで一気に起きたのか。それが分からないのです。

まるで長い時間をかけて、少しづつ少しづつ出来上がったかのように、根が深い今回の依頼。私自身、何だか言いようのない不安があります。


「そういえば、お父さんが言ってたっけ」


分からない事があれば、諦めるのではなく、最初から思い出すなり調べてみるべきだと。そこでふと、手を止めて、今回の資料がまとめられたファイルを手に取って見ます。

おかしな事件が起きたのは、依頼人があの家をリフォームし始めてから、と伺いました。けれど、今回の様子を見るに、かなり前から、悪霊が徘徊していたはずです。それまでと、今との違いは何だろうと考えて、ふと、ある点が目に入ります。


「依頼人がここに引っ越してきたのは、1年前?」


それが、今回の原因? いえ、確かここは依頼人の持ち家だったはず。つまり、そういうこと?

だとしたら、明日の除霊だけでは済まないかもしれません。私の考えが正しければ、ですが。


「あれ、美鈴ちゃん、どうかしたか?」


声がした方を見れば、龍ヶ崎さんが居ました。この考え、専門家の方ならば、あっているか分かるかもしれません。


「ちょっと、ご相談があるのですが」


私の真剣な言葉に、龍ヶ崎さんも真面目な顔になります。私の考えを、最初から説明すると、少し驚いたような顔になりました。


「分かった、それなら柊に頼めば何とかなる、ありがとうな、美鈴ちゃん」


こうして、解決の糸口を掴んだ我々は、除霊の当日を迎えたのでした。


読了、お疲れさまでした!

そして、お読みいただきありがとうございますm(__)m

ようやく、ここまで来ました。いやー、短編連載を通り過ぎ、中編連載へ移行するほど長くなるとは・・・・・。計画性をきちんと持ってやるべきですね・・・・・。いい勉強になりました。

多分、あと5話以内に収まって終わる予定ですが、どうなることやら。

次回もよろしくお願いします。

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