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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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次回は誠意執筆中ですm(__)m 気長にお待ち下さいませ。


Side:竜前寺 雅



準備は整った。万全とは言い難いけど、それでも出来る準備は、全てしたと思う。


「あら、間に合ったかしら?」


艶やかな声をかけられて見れば、そこに早乙女さんの姿があった。そう言えば、早乙女さんは途中かは抜けていた。何かは聞かなかったから、僕も理由は知らないんだ。


「おう、来たか…………さっすが、魔女の家系だな、仕事が早い」


半分、呆れが込められた龍ヶ崎さんの言葉も、彼女にはいつもの事らしく、さらりと流していた。


「まぁね、頼まれた物は用意できたけれど、こんな物を何に使うのよ? 普通に言って、危険物を自然界に出したく無いんだけど」


半眼の早乙女さんに対し、龍ヶ崎さんも涼しい顔で答える。


「最終的に、おまえのとこに行くんだから、いいだろ? 餌付きでさ」


隠語混じりの会話だけど、分かった人がどれだけいるのやら。あ、僕は理解できる側だよ。何を表しているのかは、残念ながら聞いてないから、僕も分からないけど…………。この中で真由合だけが、微妙な顔をしてるけどね。龍崎は特に口を挟む事はしないし、和葉さんはまだ顔色が悪いから、会話に入る程の余裕はない。日暮さんは、まぁ、困り顔で小さくなってた。

さて、僕等が今居るのは、ログハウス裏の大きな穴の近くだ。本当は直ぐにでも降りたかったけど、龍ヶ崎さんに止められた。恐らく、早乙女さんを待っていたんだと思う。彼女が持つ、何かを期待して。


「んじゃ、これから降りるが、何が起きるかは分からん、気合い入れてやるぞ」


真剣な言葉に、自然と背筋が伸びる。焦る気持ちを押さえつけ、睨み付けるように、穴を見る。今欲しいのは、必要なのは、冷静な心だ。

パチッと自分の両手で、頬を叩く。突然の行動に、周りが驚いていたけど、痛みのお陰で、逆に冷静になれたから、結果よしだ。


「雅さま……」


龍崎が戸惑った顔を見せたけど、僕は安心させるように、頷いてみせた。大丈夫、龍崎にはこれで通じるから。


「行くぞ」


真面目な顔の、龍ヶ崎さんの決意を固めた声が、辺りに響いた。



◇◇◇◇◇


Side:真由合



何なのよ、皆そろって、分かったような顔をして――――――。

あたしだけ、理解できないんだもの。雅様も、隠語にされた部分は分からなかったみたいだけど、何かには気付いたみたいだし………………。

こんな時、自分が嫌になるわ………。何も気付けないんだから。


「行くぞ」


その言葉は、龍ヶ崎さんが言っただけなのに、重く響いた気がしたわ。

勿論、順番に降りて、あの場所へ出たわけ。あの忌々しい記憶がある場所へ続く、岩場の道へと。


「まぁ! 凄いじゃない、ここ!」


早乙女さんの感嘆の声が、エコーのように反射していく。降りてすぐに、この言葉が出るくらい、彼女は気負ってない。それに比べてあたしは、何をしてるのかしら…………。気分を変えないと、足手まといになるわ。

それにしても、ここは相変わらずね。感嘆の吐息を漏らしてしまう程に美しく、幻想的な光に包まれているわ。危険な光だと知っていても、だからこそ、余計に惹かれてしまうのかもしれないわね……………。仄かに輝く、危険ながらも美しい、霊脈の光に……………。


「和葉、平気か?」


龍ヶ崎さんの声が、労りを含んでいて、それには驚きがあったわ。案外、周りを見ているのね。


「え………、大丈夫ですよ、もう少しで着きます、必ず、美鈴ちゃんを助けましょう」


ふんわり笑った和葉は、顔色だって悪いし、体調だってまだ回復してないのに、それでも助けようと動こうとしてる。本当に、あたしとは違うわ。美鈴の能力を知ってるから、イライラしても、何処か安心してる自分が居るのよ。大丈夫だって。


「和葉、悪いが、何処にいるか、分かるか?」


龍ヶ崎さんのどこか気遣いを含んだ言葉に、しかしながら、和葉の目は力強いまま。本当に凄いわ、その心が。


「美鈴ちゃんは、此方に居ます……」


力無く、和葉はある方向を指差した。それは、忌々しい記憶がある、上流では無く、下流だった。そちらは、少し先が壁になっていて、下にぱっくりと空いた穴があり、そこに水が流れていっているの。地中の川と言えるわね。


「待って、そっちは行き止まりよ?」


そう、少し先までは道はある。でも、行き止まりになっていて、道は無いわ。そこを指差した和葉に、此方は困惑するしかないわ。


「いえ、壁のような岩の中、そこから反応があります…………恐らく、あそこが地下なんじゃないかと」


その言葉に、誰とも無く息を飲んだわ。当然よね、敵のど真ん中へ向かうんだもの。あたしだって、緊張で喉が渇いてきたもの。


「行きましょっか、あそこへ…………道は僕が開きますから」


いつの間にか、私達の前に居たのは、後ろにいたはずの日暮さん。確か、和葉の同級生だったかしら。童顔の所為で、同い年には見えないのよね。

それに、―――――気配も無かったわ。精霊使いは、業界にもそれなりに居るけど、ここまでの使い手は、そうそう居ないでしょうね。完璧に使いこなしているもの。


「……日暮くん、それなら私が………っ」


和葉が慌てたように、そちらへ行こうとするのを、日暮さんが手を上げただけで、止めた。童顔だから、威力は殆んど無いけれど、それでも、彼の雰囲気は真面目なもの。


「和葉さんは、僕が作った道が間違ってないか、見ていて下さい…………流石に、作業中だと僕も分からないので」


後半、苦笑いしたお陰で、日暮さんの(まと)う空気が、柔らかくなる。さっきまで、格好良かったのに。本当に、残念だわ。童顔だから、真面目な顔はキリッとなって、年相応なのに。


「分かりました………」


不服そうだけど、和葉だって分かってるわ。今のままだと足手まといになるくらい。それでも付いて来たのは、残念ながら、一緒の方が安全なのと、地下だから、石霊師の和葉には、回復が早くなるから。霊脈の上って言う、ありがたいオマケも付いて来るんだから、そこだけは良かったかもしれないわ。


「それじゃ、やりましょう…………皆さんは離れていて下さい」


日暮さんの言葉に、皆は自然と足を止めて、日暮さんと和葉だけが、例の壁に近寄って行く。細かいところは、やはり和葉に聞かないと分からないものね。和葉の体調、大丈夫なのかしら…………。



◇◇◇◇◇


Side:椎名 和葉



先程から、体の負担は随分と楽になっています。やはり、石霊師だけあって、地下の洞窟内は、回復には最適な場所です。更に霊脈の上だけあって、普段よりも回復は早いのですが、それとて、微々たるものです。時間の無い今は、まさに焼け石に水、と言ったところでしょうか。

隣に居る、日暮くんは真面目に、地の精霊達に協力を仰いでいます。命令をして従わせる事も出来る実力なのに、彼はお願いを必ずするそうです。それだけ真摯に向かい合うからこそ、彼は強いのかもしれません。


「和葉さん、この辺りでいいのかな?」


彼が手の平で触れた場所、そこを確認しつつ、美鈴ちゃんの腕に付けた御守りの気配も探ります。流石に、近くに来たからか、気配は容易に掴めましたが、彼が触れた場所は、少し違うようです。


「日暮さん、もう少し右側を………」


そう言うと、彼は壁に触れていた右手を右側に動かしたんですが、私が右側に居た為に、彼と触れてしまったのです。近くに居た私が悪いんですが、慌てて私は避けようとしたのですが、下が岩場です。見事にバランスを崩してしまいました……………! って、危ない! 下はゴツゴツした岩場でした!


「和葉さんっ! ……………大丈夫ですか?」


一瞬、何が起きたか分かりませんが、どうやら状況的に、日暮さんが精霊さんを使い、私が転倒しないようにして…くれた…ようですが……………、女性側としては心中複雑です。怪我をしなかったので、ありがたいのですが、普通は、こう、庇って助けるとか、手を伸ばすとか…………うーん、複雑です。


「……………ありがとうございます」


「いえいえ、すいません、僕が気をつけていれば良かったんですが…………」


何とかお礼を言ったのですが、日暮さん、分かってませんね? これだから、恋人が出来ないんですよ………………。


「いえ、―――――気配はここが強いですね」


ある一点を指差すと、日暮さんはそこに手を当てて、目を閉じてしまいました。恐らく、相当な集中力を使っていらっしゃるようです。


「開きますよ」


その言葉と共に、日暮さんから甚大な霊力が爆発するかのように、発揮されます。と、同時に、目の前の岩壁が綺麗に割れたのです。まさに、パッカリと言う言葉が合うように。

気付けば、そこには先の見えない、暗い道が続いていました…………。


「この先に………」


美鈴ちゃんが居る。居るんです。逸る気持ちを押さえて、前を見ます。

―――――――美鈴ちゃん、今行きます。


お待たせいたしましたm(__)m

中々、お話が進まないのは、本当にすいません(;^_^A

次回からは、戦いスタートです♪ やっと終わりが見えて来ました! もう少し、お付き合い下さいませ〜♪


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