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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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お読み頂き、ありがとうございますm(__)m 次回は、近いうちに投稿しますね!

神主さんの所へ向かう車の中で、私達は自己紹介をしていました。道案内をしてくれる息子さんの為です。僭越ながら、私がさせて頂いてます。


「運転してるのは、龍崎さん、私の隣に座っているのが、雅くん、そして私が美鈴と申します」


「あ、俺、水島 颯太(そうた)です! あの…………美鈴さんて、俺と歳が近かったりします?」


チラチラ此方を見ながら、確認している姿に、不思議に思うと同時に、隣の雅くんが不機嫌な姿が目に入ります。助手席に座る颯太くんは気付いていないようですね。


「私、高一ですよ………雅くん、もしかして酔っちゃいました? 大丈夫?」


颯太くんが、年下……と呟いていましたが、私は雅くんが心配です。大丈夫なんでしょうか?


「え? 酔ってないよ? 考え事をしてただけだから」


可愛らしい笑顔で言われて、ホッとします。予定では、後10分程かかるようですから。


「まだ、上手くまとまってないんだけど、井戸の事もあるし、水に関係するのかなって思ってるけど」


既に大学を出ているだけあって、雅くんは頭がとても良いので、既に幾つか、原因の候補でも、当たりをつけているのでしょう。私が見たモノも、間違いなければ、水に関係する物でしょうから。


「ねえ、ここの井戸水は、どこから来てるか知ってる?」


雅くんの質問に、颯太さんはキョトンとしたようですが、ピンと来ないようです。若い彼は、知らないのでしょう。仕方ありませんが、雅くんの眉間に皺が寄りました。使えない……と呟いたのは、聞かなかった事にします。

そうこうしている内に、立派な門構えの神社に着き、車を止めた私達は颯太さんを先頭に、ようやく例の神主さんにお会いしたのです。中年の真面目そうな神主さんです。挨拶もそこそこに、龍崎さんが本題に入ります。


「いきなり訪ねてしまい、申し訳ありません、こちらのお宅の、井戸を閉じる際のお祓いをなされたと聞きまして、お話を伺いたく」


「井戸ですか? ―――――やはり、何かありましたか」


神主さんはまるで、何か起きる事を予見していたようで、視線をサッとそらされました。


「……………実は、あの井戸は、水が枯れていなかったようなんです、……………閉じる際、私は見たんだ、黒い水がコポコポと音を出しながら、沸いて来たんですよ」


嫌な沈黙が、辺りに降ります。やはり、あの家には何かあるんでしょうか。


「私は念の為、あの家の中の四方に、お札を貼って来ました、何も無ければ良いと願いながらね………………あなた方が来たと言う事は、お札は意味を成さなかったのですね」


その言葉には、何も出来なかったと言う自責の念を感じます。此方の神主さんは、見えないまでも、そこそこ力をお持ちなんでしょう。あの家に貼られたお札により、怪異は家の外に迄は、及んでいないようですから。勿論、私達が貼ったお札も、近い効果があるものです。

結局、それ以上の話は聞けず、帰る頃には日が西に傾いていました。家に帰る頃には、すっかり暗くなってしまいました。


「遅くなりました」


私達が帰ったのは、水島さんの別宅です。可愛らしいログハウスに、気持ちが浮上します。


「立派な物ではありませんが………」


そう言って、水島さんの奥さんが出してくれたのは、カレーライス。確かにお腹が減っていたので、このチョイスにホッとしました。高級な物なんて出されても、困りますからね。

つつがなく夕食が終わり、ミーティングタイムです。今日、分かった事を報告し合い、対策を考えていきます。


「まずは、神主さんですが、この怪異を予見していました、何でも井戸を閉じる際、黒い水がコポコポと沸いて来たとかで、家にお札を貼ったそうです」


龍崎さんが綺麗にまとめてくれました。次は、家にいた椎名さんです。


「別宅だけあって、此方には今のところ、異常はありませんでしたが、夜は分からないですね」


確かに普通に別宅で暮らしている以上、ここは被害が無いのかもしれません。怪異とは無関係とはいえませんが、現時点では安全な場所です。最後は、この辺りの聞き込みをした、真由合さんです。


「此方は面白い話があったわ、何でもこの辺りの井戸の水源は、ここから程近い山から来てるそうなの、で、2ヶ月前から、水が黒く濁っているそうよ、同じ水源から井戸で水を引いてるご近所に聞き込んだから、間違いないわ」


真由合さんの言葉に、メンバーの顔が険しくなっています。それだけ、井戸が濁るのは緊急事態なのです。


「水源に行ってみる? 何かあったのかもしれないし」


雅くんの意見に、反対は上がりませんでした。確かに一度、確認が必要でしょう。


「行くのは、僕と龍崎…………後は椎名さん、お願い出来る? 山は椎名さんの専門だしね」


確か椎名さんの一族は、石を使う、特殊な一族と伺っています。山は確かにお任せした方がいいでしょう。私では、足手まといでしょうし、真由合さんは山は嫌みたいですから。


「はい、分かりました、確かに私が行った方がいいでしょう、あ、言い忘れてました! この家に、私の結界を貼っておきましたので、大丈夫かと思います」


私は気付きませんでしたが、どうやら皆さんは気付いていたようですね。眼鏡をかけている弊害でしょう。


「あと、夜の怪異がどの程度の物か、見ないとね」


これは嫌でもしないといけません。ビデオで映るモノと、肉眼で映るモノには、たまに差がありますからね。


「勿論、美鈴とあたしでいいですね? 雅さま」


何やら威圧感たっぷりの真由合さん。意味が分からないのか、雅くんはキョトンとなっています。普段から大人びているから、こういう表情は年相応に見えます。


「雅さま、真由合さんは、雅さまが危険にあわないように、申しているのです、素直に此方で待機していて下さいませ」


龍崎さんの暴露に、真由合さんは赤面して、ふんっとそっぽを向いてしまいました。雅くんは微妙なお顔です。仕方がないです、今回は。何が起きるか分かりませんし、私も中に入るつもりはありませんから。危険に飛び込む必要はありません。外から、視ればいいんですから。


「じゃ、美鈴、行くわよ」


さっさと準備を終わらせ、真由合さんは外に出てしまい、私も慌てて追い掛けました。


「真由合さん、二人だけで良かったんですか?」


「美鈴、あんたも眼鏡外しなさい、あの過保護な奴らが、あたし達を二人で行かせると思う?」


意味ありげに言われて、慌てて眼鏡を外せば、そこには確かに居ました。


「―――――式神ですか?」


複数いるそれらからは、式神特有の力を感じます。この数から言って、手持ちのほとんどを寄越してくれたみたいです。


「全く、美鈴は可愛がられてるわよねぇ」


意味ありげな口調が気になりますが、残念ながら現場に到着してしまいました。屋敷内には、ビデオをセットしてますので、後で確認すればいいでしょう。無線モニターで、別宅と繋げてありますし。夜には夜の、確認事項がありますから。


「真由合さん………あれ」


私の声が、強ばったように、固くなります。眼鏡を外して、夜に見えたのは。


「水の塊? 家の中を、水が溢れているんでしょうか? それに…………あれは……っ!」


家の中、そこには明らかに、水が溢れています。昼間等は比べものにならない程に、濃い水の気配です。屋敷の中に、水が溢れているのです。まるで、屋敷が水槽になっているような。そして、水の中に、確かに気配があります。―――――――複数の、人の気配が。

悲鳴を上げたいのを、必死に我慢して、その気配の一つに、意識を集中していきます。


…………………い……


僅かに聞こえるのは、恐らく、この集中している気配の、持ち主のものでしょう。


………ゆ…………い……


強烈な意識に、意識が持っていかれそうです。これは明らかに、悪霊の類いでしょう。と、それが、ゆらりと此方に、顔を向けました。


「……ひっ」


ギョロリとした、紅く血走った窪んだ目と、視線が合い、小さな悲鳴が口から漏れます。目を見開いたまま、金縛りにあったかのように、動けなくなります。


…………ゆ……るさ………い!!


強い、負の念が籠もった声無き声が、私の体を揺さ振っていきます。和葉さんがくれた、天然石を使ったブレスレット型御守りが無ければ、今の強い負の念で、私は死んでいたかもしれません。それ程の力でした。


「美鈴? ちょっと美鈴!!」


近くに来たらしい、真由合さんの声にも、金縛りにでもあったかのように、動けません。指でさえ、私の意志に反し、動かないのです。


「美鈴、貴方、また同調したでしょ!? まったく………、ちょっと我慢しなさいよ? あたしは龍崎みたいに、こういう術は得意じゃないんだから!」


そう言うなり、真由合さんは、私と真正面から向き合い、両手で印を組みます。真剣な表情で、意識を集中する彼女からは、ユラユラと霧のように見える霊力が昇っていきます。霊力が頂点に達した、まさにその時。


「―――――喝ッ!」


真由合さんの一喝で、体に絡み付くモノが一気に弾け飛びます。と、同時に、体から一気に力が抜け、背中に冷や汗が、ドッと流れました。……………私は今、間違いなく死にかけたのです。そう思うと、体の震えが止まりません。


「美鈴、大丈夫?」


「は、はい……」


震えが酷くて、カチカチと歯が鳴っています。

―――――――明確な死の恐怖と言えば、皆様には伝わるでしょうか?


「まったく、何とかなったからいいものを! 同調なんてしないでよ? 本当に危険な事なんだから」


鋭い視線をしていますが、真由合さんは優しい方です。だからこそ、今回のミスは本当に危なかったのです。怨霊や悪霊と呼ばれるモノと、同調して中を見ようなんて………………アホとしか言いようがありませんね。


「ごめん……なさい、真由合さん…………」


それが精一杯でした。


「今回は許すけど、二度としないでちょうだい――――――でも、本当に外には気配が無いのね? 確かにお札は貼ったけど……………井戸が関連してるなら、あたしが向かった他の井戸に、濁り以外の“何か”が無いのは、おかしいわ」


確かに、濁り以外の異常が無いのは、おかしいです。――――――まるで、そう。この井戸が特別なような……………。


「取り敢えず、状況は大体分かったわ、美鈴の体調も良くないし、帰りましょう」


これには本当に、面目が無いです。でも、本当にどうなっているのでしょう?


読了、お疲れ様でした。

如何でしたでしょうか? だんだん怖くなって行く予定です(笑)

さて、秋月は推理小説が好きで、犯人は誰だっ! って、自分で推理したりします。皆さんは、今回のピースで、どこまで分かりましたか?

ここで原因が分かった方、凄いですよ! まだまだ、ピースは出して行きますから、推理も楽しんで下さいね♪


では、今度は、テンシロでお会いしましょう〜☆

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