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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
19/78

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次回の更新分は、誠意執筆中です………………。遅くてすいませんm(__)m

Side:竜前寺 雅



あれから、2時間が過ぎて、和葉さんと日暮さんが、僕達が待機している部屋に、姿を現した。

―――――――ただし、和葉さんの方はフラフラしていたけどね…………。


「和葉っ! 大丈夫なの!?」


慌てた様子で、和葉さんを支える真由合さん。その表情は、心配を多分に含んだもの。僕だって、流石に驚いたよ。石霊師の人達は、簡単に石を作り出していたから、ここまで消耗が激しいとは、思わなかったんだ。


「真由合さん………大丈夫…ですよ」


「バカ言いなさい! そんなフラフラしてっ…………封印石は、無理して最初から作るより、普段から作ってるアレを使いなさいよ…………」


後半、今にも泣きそうに顔を歪めた真由合に、和葉さんは一瞬、目を見開いた後、包み込むような優しい笑顔を見せた。


「…………大丈夫ですよ、アレをベースに使いましたから、………ちょっと必要な作業があったので、そちらに力を使ってしまっただけです」


疲れているはずなのに、笑顔を見せる彼女に、真由合が顔を歪める。一緒に来た日暮さんに、キッと険しい顔をしたけど、すぐに、また顔を歪めた。

………………睨まれた日暮さんは、青い顔で腰を抜かしていたけど、無視で構わないよね。

それに僕だって、悔しい…………! 今は全く、役立たずの僕。美鈴を助ける事も、1人で出来ない足手まとい。それが、何より悔しい!


「和葉っ…! 心配させないでよ! 貴方にはまだ、役割があるのよ!? こんな無茶してっ!!」


泣きそうな真由合さんの声にも、和葉は困ったように笑うだけ。彼女だって分かってるはずだ。

これが美鈴にとって、一番“力を発揮できる”状況だってことを。美鈴の祖母の実家、神楽院家の血に由来する、あの力。

同じような立場にいる彼女が、恐らくはこの中で一番知っているはずだろうから。


「大丈夫ですよ、それにあそこへは、入る事が出来ますから」


何やら自信ありげな言葉に、不思議に思いつつ、僕ら、探偵メンバーと、助っ人の龍ケ崎さんが席を立つ。


「それじゃ、仕事へ行くか…………ついでに、眠り姫も助けないとな」


ニヤリと笑った龍ケ崎さんを、僕は頼もしく思ったのと同時に、やはり上に立つ人なんだな、と羨ましく思った。

………………僕もいつか、そんなふうになれるのかと、密かな憧れを胸に隠しながら―――――――。



◇◇◇◇◇


Side:神戸 美鈴



ユラユラと、水面が波紋を見せます。仄かな光と共に、僅かな風が吹き渡り。長らく、動く事が無かった水面が、騒めくように動き始めます。

まだボンヤリする意識の中で、僅かな光が水面を反射した景色は、幻想的です。

カビや水の臭いがする、この場所には、私しか居ません。

………………いえ、居るには居ます。

怨霊となり、この地へ集まる方々が。


…………う…ら…めし…い………!


……………に…くら……しい………!


………の…ろっ…て……やる……………!


聞いただけで死んでしまうような、そんな激しくもまがまがしい言葉を放つ、一人一人が最悪級の怨霊達。それらは口々に言葉を放ちながら、この地を歩むのです。激しい憎悪が、この地には、奥深くまで、染み込んでいるのでしょう。悪霊達は、少しずつ、少しずつ、騒めきながら、ある一点を目指して進んで行きます。

私は、ぼんやりした意識のまま、その向かう先を見て、一気に覚醒しました。


「っ!」


息を飲み込んだ私は、ようやく気付いたのです。今、私が居る場所を、正確に。遅いとは言わないで下さい。未だにボンヤリしている事は、本当なんですから――――――。恐らくは、力の使い過ぎによる、代償でしょうけど。

………………声は、出す訳にはいきません。口で呼吸はしてませんが、濃厚な水と土の臭いに、むせ返りそうになります。

陰陽の関連で、鼻から呼吸をする事が週間付いていたのが、幸いしました。臭いの中に、瘴気を感じたのです。これを長く吸い続ける訳には、いかないのです。体に害を為すものですから。体内に瘴気が入れば、色々と支障が出てしまいます。ましてや、この地は魔の力に染まり過ぎています。何が起きるか、わからないのです。

もう一度、辺りを見渡します。私は今、体にまったく力が入りません。恐らくは、何らかの影響かと思うのですが、今はピンチに違いはありません。

それに、私に気付いていない、悪霊達が向かう先…………。

ソレは、この暗がりには、似つかわしく無い、美しさと妖艶さを持つ、一人の女性……………。アレに見つかったら、私は一溜まりもないでしょう。それだけ、放つ力が桁違いの、危険なモノなのです。

暗がりに浮かび上がる、玉のように白く、透き通る肌。髪は背丈以上に長く、彼女を中心に広がるように流れ、綺麗な模様を描いています。顔立ちは、美しいまでに美しく整っており、紅い唇が更に彼女を妖艶に見せています。見ている此方が、思わずドキリとしてしまう程の。纏う着物は、漆黒の色。光を弾く様は、まさに闇のモノの為に作られたかのよう。着物に描かれた、繊細な紅い蝶は、動きそうな程にリアルに描かれ、彼女を更に妖艶に見せています。

ただ見ただけならば、綺麗で妖艶さを漂わせる、どこか危険な香りがする、そんな女性です。

しかし、私の目には、恐ろしいモノがはっきりと視えています。

…………………その足元、長い着物の先に、悪霊達が群がっているのです。

着物に触れた悪霊達は、次々と消えていくのです、失せていくのです。

………………吸収、してるんだわ、彼女が。

次々と向かってくる悪霊に対し、彼女は美しいまでの微笑を浮かべたまま、その一連の流れを見ています。

まるで、楽しいショーを見ているかのような姿に、背筋が、一瞬でゾワッとあわ立ちました。だって、私の目には、視えているのです。

彼女を包み込む、光の全てを消し去る程の、暗い、深い、どこまでも続く暗黒の闇が………………。あんなものが、あんなものを、人がどうこう出来る訳がない!!

そう感じた後で、思わず、奥歯を噛み締めます。

……………………でも、それでも、やらなければいけないのです。

アレが外に出たら、間違いなく、世界は闇に包まれるでしょう。千年クラスの、それも霊脈を使うすべさえある、本当の化け物。

術者はやらなければいけないのです。影から国を支えると、術者は幼子の頃から、言われ続けるのです。私とて、それは同じです。

この身が、時々嫌になります。皆のように、派手に力を使う事も、自由に使う事も出来ない、半端者。………………それが私です。

本当に嫌になる……………何で、いつもいつも、皆のお荷物になるんですか。これじゃあ、塔に閉じ込められた、悲劇のお姫様ではないですか!

嫌です、私は。だって私は、探偵の仲間なんです。だから、だから…………!


――――――諦める事なんて、したくない!



◇◇◇◇◇


Side:早乙女ひさの



「全く、あいつは人使いがあらいわよ!」


苛々しつつ、バックから携帯を取出し、ある番号に電話をする。

龍ヶ崎が頼んで来た物を用意するのには、うちの面々に連絡した方が、かなり、てっとり早い。少しでも、早い方がいいし、何より頼まれた物は、我が家にあるのだ。本家から持ってきてもらうに限るわ。


『もしもし、早乙女です』


「じい、私、ひさのよ」


『お嬢様でしたか、如何されました』


穏やかな声の男性は、我が家の執事で、私も頭が上がらないのよね。お祖父様の時代から、我が家に仕えているから、お父様も彼には頭が上がらなくて、よく相談事とかもしていたみたい。

でも、じいが出たなら、好都合ね。


「ちょっと仕事で、緊急事態になってるの、人の命がかかってるの、じい、“生命の木”の種、あったわよね?」


私の言葉に、じいが息を飲んだのが分かった。これが、とてつもない価値のある物で、同時に、強い浄化の作用がある事も。

どうしても、今回、これが必要なのだ。木によって、浄化を施すには時間がかかるのだから。


『お嬢様、それは…………確かに、当家にはございますが…………使う場所は大丈夫でしょうか?』


あれは、確かに場所を気を付けなければいけない、とてもデリケートな物である。だが、今回は間違いなく必要なもので、条件も問題なし。


「問題ないわ、どうせ当家にまた戻ってくるもの、その点は安心して」


そう告げると、安心したのか、じいの声は安堵が籠もっていたわ。


『そうでしたか、畏まりました、このじい、きちんとお届けするように、手配いたしましょう、して、場所は?』


今居る場所を連絡し、私は携帯を閉じた。

届くまでは時間があるのだから、魔女にしか出来ない事でもしましょうか。この戦い、和葉の負担が大きいのも、私は気に入らないのだから。

神道系に染まった土地で、私の出来る事なんて、微々たる物だけど。

それでも、出来る事はするわ。

可愛い後輩の為だからね。


読んで頂いて、ありがとうございます!

そして、更新が遅くて、本当に面目ないですm(__)m

ちょっと、スランプに陥ってまして……………、書きたいのですが筆が進まないのです。更に間の悪い事に、忙しくなってしまって、執筆時間が削られております。

最後まで書き上げるつもりですので、そこはご安心下さいね。

では、次回も宜しくお願いしますm(__)m

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