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次回は誠意執筆中です!
只今、ハロウィン企画をやっております☆ 詳しくは活動報告へどうぞ〜♪
深く沈んでいた意識が浮上し、目を開いて、最初に見えたのは、木の天井でした。まだボンヤリした意識で、何とも無しに、辺りを見ます。
「わ、たし………」
明るくなっているので、恐らくは昼間なのでしょう。しかしいつの間に、寝てしまったのでしょう?
確か昨夜、次の日にお祓いをすると話していたような気もするのですが、まだボンヤリする頭は、中々、昨夜の事を思い出してくれません。
ふと、自分の目に映る世界に、違和感を覚えます。目元に触れて、自分が眼鏡を外している事に気付きました。私の目には今、私を取り囲むように、薄らと虹色に輝きを放つ、透明な膜が映っています。眼鏡を付けていたら、絶対に見えない景色です。
この気配なら、和葉さんの結界でしょう。
「もしかして、皆は既に出た………?」
まだボンヤリする頭で、どうにか考えようとして、夢の最後が頭を過りました。
「大変! 止めないとっ!」
一瞬にして、ボンヤリした頭が晴れ渡ります。慌てて起きようとして、体に力が入らない事に気付きます。そうだ、携帯! 連絡すれば、流石に通じるはずです。必死に辺りを見て、自分の携帯を探します。体が思うように動かない所為か、首を動かして辺りを見ます。
「………あった」
しかし、あったのは、無情にも着替えが等が入ったバックの上。どなたが置いたかは知りませんが、恨みます…………!
でも、連絡を取らなければ、皆さんを危険にさらす事になるのです。
力の入らない体で、何とか起き上がろうとしますが、起き上がる事すら出来ません。
………………そんなに無理をした覚えは無いのですが。
「あ、眼鏡!」
これも付けないと、厄介です。いくら結界で護られていても、危険な事に変わりはないのですから。
残念ながら、眼鏡も携帯と一緒に置かれている訳ですが。本当に誰ですか! お陰様で、ピンチですよ、わたし!
とにかく起き上がって、取らないといけません。
力が入らない体で、何とか起き上がろうとして力をいれようとしますが、体は動きません……………。
「もう! ………………え?」
今、視界の端に、何か、動いたような………………? この家には今、誰も居ないはずでは? もしかしたら、依頼人家族が居るかもしれませんが、結界が張ってある以上、不用意に外には出ないでしょう。
―――――――ならば、この結界に近づいてくる、コレは、何でしょうか?
背筋に冷たい汗が流れます。今日はそれほど、寒い日ではないはずです。温かい日のはずで、だから、こんな寒いはずがないんです。
目を閉じます。これが一番の安全方法です。だって、今の私は、眼鏡をかけていないので、視えてしまうから。私が悲鳴を上げれば、依頼人家族も不安になるでしょう。
「早く、戻って来て――――………」
切実に、切実に! 心からお願いします。
◇◇◇◇◇
Side:竜前寺 雅
一旦、本来の予定にあった、お祓いを止め、美鈴が居るログハウスへ向かう。
予定では、お祓いをして、家を元に戻すつもりだったのに、嫌な胸騒ぎに、魔女である早乙女さんの使い魔からの知らせで、緊急事態となったのだ。
「こんな事になるなんて………」
美鈴に張った結界は、和葉さんの物だ。彼女自身、残っていればと、かなり自分を責めている。今回はそれだけ厄介な依頼だったのだ。責めているのは、皆同じだろう。
「自分を責めてる時間は無い、急がないと、その美鈴とかいう子、かなり危ないぞ」
龍ケ崎さんの言葉に、嫌でも現実が身に染みる。分かってる、焦っても意味が無いのは。でも、分かるだろう? 今の僕らが、後手に回ってる事ぐらい。
何か見落としているはずなんだ、何か!
「急ぐぞ、早乙女、お前は空でも飛んで先に行け」
龍ケ崎の険しいくらい真剣な声に、早乙女も焦っているらしく、声が裏返っていた。
「バカ言わないで! 今は持ってないわよ! お祓い系のだけよ!」
「チッ、仕方ない、日暮、お前だけでも行け、精霊使いなら出来るだろっ!」
舌打ちまでするくらいだから、もしかしたら、龍ケ崎さんも余裕がないのかもな。
「分かりました、雅くん、一緒に行こう、君くらいなら連れて行けるからね」
との言葉に、僕は一も二もなく、日暮さんに頷き返した。促されるままに、彼と手を繋ぎ、一瞬の強風と共に、空を飛ぶ。
……………かなり不安定だけれど。
「皆は走って行くはずだから、とにかく美鈴さんを狙うヤツを、一気に外に出そう」
「はい!」
精霊使いは、精霊と契約した存在である。彼は高位の精霊使いとは聞いていたけど、予想以上だったと認識を改めないといけないかも。だって、無駄がない。僕らと彼の接点は、情報を貰う時だけ。
……………彼、情報部より、こっちに来てくれないだろうか?
「着いたよ、直ぐに中へ」
ログハウスまで、片道30秒………驚いた。精霊使い、便利過ぎるよ。
内心を押し隠し、僕は地面に着くと同時に、美鈴が寝ているであろう、ロフト部分へ、階段を駆け上がる。後ろから日暮さんの声がしたけど、返事をする時間さえ惜しかった。
美鈴、美鈴! 無事でいて!
内心はそれだけで、僕が持ってる御札を手に、後少しというところで、急に体が持ち上がった。
「うわぁ!?」
間抜けな声が漏れたけど、咄嗟の事だからだ!
「あのね、雅くん、周りを確認くらいしないと…………」
童顔の日暮さんに、呆れた顔をされると、何故かイライラした。おかしい、年上なのに。
「すいません………」
それでも謝罪したのは、彼が間違った事を言っていないから。
「美鈴さん、この上なんだよね?」
その確認の声が、やけに固い気がして、僕も上を見上げた。
おかしい、それが僕が一番に感じた事。だって。
「和葉さんの、張った結界がない…………」
ちゃんと出発ギリギリまで、僕は確認したはずだ。無いのはおかしい、それはつまりっ…………!
「美鈴!」
一気に階段を駆け上がった僕に、遅れて日暮さんも、階段を駆け上がる。最上段で僕らが目にしたのは、――――――竜巻でも起きたかのように錯乱した室内と、ボロボロになった布団。そして、御守りであり、結界の要になっていた、和葉さんの生み出した石が、変わり果てた姿だった。真っ二つに割れた事から、無理矢理壊されたのは、一目瞭然。
「遅かったようだね…………痕跡すら無いか」
悔しそうに言う日暮さんに、僕は呆然とするしかない。美鈴が消えた、急がないといけないのに…………手がかりすら無いなんて! どうすればいい、どうすれば美鈴を探せる、助けられる……………もう一度、会えるんだよ!
「雅様!」
龍崎の声がする。あぁ、追い付いたのか。それはそうだ、ここまで、歩いて5分の距離だ。走ってくれば、更に早いだろう。
「美鈴ちゃんっ!?」
「美鈴っ!」
遅れた来た和葉さんと、真由合さんも来たらしい。この光景に、二人も唖然としている。当然だ、朝に二人はここで、美鈴に会ったのだから。
「一体何処に………!」
焦りばかりで、考えがまとまらない。こんな危険な依頼なら、美鈴は連れて来なかったのに!
「落ち着け、雅…………今は彼女を探すのが先だ」
龍ケ崎さんに言われても、行き先が分からない。美鈴は確かに、ここに居た。ならば、何処に誰が連れていったんだ……………?
「あら? 美鈴ちゃんが着けていた、御守りは…………?」
和葉さんの言葉に、ハッとする。まだ見つける手段はある!
「和葉さん、御守り、美鈴の着けている御守り! 今どこにあるか分かりますか!?」
僕の切羽詰まった声に、和葉は目を白黒させて、驚いていたけど、僕にとっては些細な事だ。
「えっ? い、今ですか? えっと………………」
慌てた様子で、美鈴が着けた御守りの気配を探っていく。最初は慌てた様子だったけど、すぐに落ち着いて、集中するのは、流石一流の術者だと思う。
「……………嘘っ」
ハッと目を開いた彼女は、かなり焦っている。嫌な不安が、僕の中に広がっていく。
と、ポンッと龍ケ崎さんの手が、僕の頭を撫でていた。
「落ち着け、俺達が焦っても、意味がないだろ」
その言葉に、目を見開く。焦りはまだある、あるけど、頭は冷えたと思う。
「はい…………、すいません」
僕の様子に、伝えるか戸惑ったままの和葉さんに、龍ケ崎さんが頷いて促すと、真剣な眼差しの和葉さんが口を開いた。
「まず、美鈴ちゃんは、まだ無事です」
その言葉に、ホッと胸を撫で下ろす皆だが、僕は言葉に、引っ掛かりを覚えた。
「まだ? どういうこと? 和葉さん」
問うた僕から、視線をそらした和葉さんは、とても言いにくそうに、言葉を紡ぐ。
「今は無事ですが、時間が経ったら保証は出来ません……………何故なら、美鈴ちゃんが居るのは………」
言葉を切り、戸惑いと困惑を兼ねた彼女は、意を決したように、話してくれた。
「あの本邸の、地下だからです………」
その言葉に、僕はただ、目を見開く事しか出来なかった……………。
いつもお読み頂きまして、本当にありがとうございますm(__)m
今回は波乱の展開となりました。秋月はこの大きなフラグ、果たして上手く回収できるのでしょうか!? 好ご期待☆
雅くん、活躍出来るのかしら? あんなに凄い人が沢山いるもの…………出番を作らねば!
さて、秋月は只今、ハロウィン企画をしています。
皆さんの投票で、ハロウィンのスペシャル小話の主人公が決まります!
参加は簡単ですよ?
秋月の作品のキャラクターなら、誰でもオッケーです。〇〇〇に一票! と送るだけです。コメント、メッセージ、どれでも構いませんよ♪ 複数人でも構いません☆
皆様の参加、楽しみにしております♪♪
………………いや、マジでご参加をお願いしますm(__)m
詳しく?は、活躍報告にも載せてありますので、其方をご参照下さいませ!
では、また次回、お会いしましょう〜♪♪




