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霊感探偵達の物語  作者: 秋月煉
前奏曲は怪異と共に
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次回は誠意執筆中です。


Side:竜前寺 雅



「参ったなぁ、バレルとは思わなかったよ、うん、僕は視る力があるんだ」


爆弾発言をしたバカ息子に、僕等も流石に頭痛を感じた。普通は、怯えるとか、警戒するとか何かあるだろう! あっさり言う事か!? 周りも唖然としてるし、ご両親まで頭を抱えていた。どうやら知っているみたいだけど、態度とかだろうね。


「だから、流石に人前では言えないし、知ってるのは皆さんに紹介した、あのお祓いをした神主さんだけです」


って事は、前に彼に聞いた話は、意味合いが違って来るって事か……………。僕の推理、嫌な意味で証拠が揃ったかな?


「……………とりあえず、今日は疲れましたし、詳しくは後にしませんか? もう夕食時ですし、先に食べてしまえば精神的に落ち着きますもの」


そう真由合に言われて、確かに空腹を感じた。気付けば、朝食以外何も食べてないんだよね。朝から騒ぎに巻き込まれ、出掛けた先ではとんでもない事態になるし……………。

ふと視線が美鈴と絡む。と、彼女の目が不意に閉じられ、驚いた僕が見たのは、そのままスローモーションのように、ゆっくり美鈴が倒れるという、一番見たくない光景で―――――。


「美鈴!」


「美鈴ちゃん!」


僕と和葉さんの悲鳴が上がる。

僕達の顔面から、血の気が引いた瞬間だった……………。

やはり長い時間、あそこに居た影響かもしれない。くそっ! バカ息子に気を取られて、美鈴にまで気が回らなかった。

慌てて駆け寄った僕達。様子を見れば美鈴は、蒼白い顔で眠ったように気を失っていた。


「とにかく、美鈴を寝かせましょう、話はそれからでもいいですね?」


有無を言わさぬ真由合の言葉で、美鈴は龍崎に抱き上げられて、女性陣が借りている部屋へ行った。僕が行っても、残念ながら、邪魔にしかならないからね。

結局、この日、僕達は早々と解散する事になった………………。



◇◇◇◇◇


Side:竜前寺 雅



昨夜、話が終わった後、気が緩んだのか、もしくはあの場、洞窟の影響を受けたのか、は分からないけど、美鈴が急に倒れた。未だに意識が戻らないんだ。メンバーから血の気が引いた瞬間だったよ。

美鈴は、とある一族の血を引いている。名家と呼ばれる家の、僕等でさえ、迂闊に手が出せない程の一族。早く目を覚まして欲しい、主に僕等の精神を守る意味で……………。

颯太とか言うバカ息子は、両親からみっちりお説教を頂いたようだ。僕達の部屋まで響いていたからね。美鈴の事を説明したから、お説教には熱が入っていたようだし。


「美鈴………」


恐らくだけど、力の使い過ぎと、長い時間、霊脈の上に居た影響だと思う。

今日はいよいよ、和葉さんのお知り合いの皆さんが来る日だ。急な話だったのに、快く引き受けてくれた皆さんには、感謝しかない。


「早く目を覚まして…………」


いつもの、どこか落ち着いた美鈴の声が、何だか無性に聞きたくなった。いや、時間を無駄には出来ない。今日で全てを終わらせるつもりなんだから――――――。

名残惜しいけど、時間は待ってくれないから、僕は階段を降りていく。ここは女性陣が借りているスペース。ただ顔を見に来ただけだ。


「あ、雅さま…………美鈴は?」


下から真百合さんが姿を現す。心配した顔から、いつもの苛烈な姿は感じない。


「まだ眠ったままだよ」


「そうですか…………」


今日は大々的にするつもりなので、御家族にはお店をお休みにしてもらっている。此方にも影響があるのは分かっているから、一室に結界を張って依頼人達には居てもらうつもりだ。


「あ、雅さん、皆さん、到着したようですよ」


どうやら、和葉さんが呼んだ方々が来たようで、呼びに来てくれたらしい。


「今いく…………真由合も来て、事前に説明しておかないと」


こうして、外に出た、和葉さん、僕、真由合、龍崎。美鈴には結界を張っておいたから、大丈夫だろう。

で、僕がそこで出会ったのは、ある意味で嬉しくもあり、そしてある意味、会いたくない、人達だった。車から降りたのは、男女合わせて四人。


「やあ、雅、久しぶりだな」


とは、切れ長の目と、整っているが、ワイルドな感じがする男性である。髪はサラサラで、短めに切り揃えてあるから、不潔さはなく、どことなく品を感じる人だ。服装は、動きやすいシャツとズボン。黒いけど、オシャレだからなぁ、この人。


「お久し振りです、龍ケ崎さん……………」


そう、彼を知っているからこそ、僕も身構えてしまうんだ。何せ、父方の親戚筋であり、龍崎の本家筋であり、何よりも。


「相変わらず、ちっさいなぁ」


この嫌みを必ず言う人なんだから!


「久しぶりね、和葉、元気そうでなによりだわ」


此方は、ある意味、僕等の商売敵かな?


「ひさの先輩、お久し振りです♪」


和葉さんの楽しそうな声に、彼女、早乙女ひさのは、此方も満面の笑みで応えている。和葉さんの一つ上で、艶やかな色っぽい美人。ただし、真由合とは違い、ダークな感じがする正反対の方、というのが、僕の印象かな? 赤い薔薇が真由合なら、黒い百合が早乙女さんかな? まあ、魔女だし、そう感じるのかもしれないけど。今日も紫色の品の良いワンピース姿。


「お久し振りです、皆さん、お元気そうで」


此方は、とても礼儀正しい方で、穏やか感じがする、柊 隆介さん。着物が似合う、優しいお兄さんだ。髪を首元で緩く結んで、肩に流している。ただ、僕はこの人が苦手。何故なら、何を考えているか、今一分からない人だから。


「遅れました〜、情報部でーす」


そして最後、この気が抜けた声の主が、日暮 那緒斗。うちの情報部にして、何と和葉さんの同級生……………。見た目、可愛らしいと言う言葉が似合う、好青年だけど、やっぱり苦手な部類な人。服装は仕事らしくスーツなんだけど、似合ってない…………。着せられている感が凄い。


「あれ? 何で日暮さんも一緒に?」


不思議そうに問う和葉さんに、日暮さんは苦笑い。それすら可愛らしいんだから、イラッとくるよね?


「来るのに、事務所から予算が出ないから、先輩に乗せて貰って来たんですよ、あ、頼まれていた情報はここにありますよ〜」


………………軽い。これで情報部では凄腕なんだから、世の中分からない。渡されたのは、分厚い封筒だから、結果は出してるけどさ。


「あれ? そういえば、神戸家の方は? 参加してましたよね?」

こういう細かい事に、流石、情報部だけあって、気付くんだから!


「昨日、無理をしまして、今は寝ていますよ」


怪訝そうな、そちらには大変申し訳ないけど、此方は視線を反らすしか無い。


「じゃあ、現場で説明会をしてもらえるか? こっちは事情も分からないしな」


龍ケ崎さんの言葉で、取り敢えず現場に行く事になった。因みに、僕が時計を見たら、8時を過ぎたところだった。



◇◇◇◇◇


Side:椎名 和葉



久し振り会った皆さんは、変わらずに元気そうで、ホッとしたと同時に、少し申し訳なく思います。

急な電話でしたし、それでも来てくれた皆さんには、感謝しかありません。だって、私がこうして力を使えるのは、皆さんのお陰なんですから………………。


「ここが現場です、家屋内には手強いレベルの悪霊クラスが無数に居て、正直に言えば僕等だけでのお祓いは無理と言えます」


雅くんの説明は、淡々としていて、子供の説明とは思えません。事情を知っている私でさえ、戸惑いが出てしまいそうになります。美鈴ちゃんが居なくて、正解かもしれません。普段よりも、流暢に話していますから、美鈴ちゃんは驚くでしょう。


「原因不明、との事なんですが、何かヒントは掴まれたんですよね?」


柊先輩、優しい顔で確認を取っていますが、何か有無を許さない、含みを感じます。


「勿論です、最初に井戸があるとの情報があり、神主に話を聞きました、黒い水が湧き出ていたそうです」


「井戸だと? まあ、神主が居たならお祓いはしたんだろうが…………、何かありそうだな」


龍ケ崎さんは、険しい顔のままです。この情報から、今日のうちに原因を探り出して、お祓いをしてしまいたいのでしょう。


「次に、水が怪しいと睨んだ僕等は、山に登りまして、源流に行って来ました、美鈴が夢で神様に依頼をされまして」


あれは行かないと、かなりヤバイレベルでしたけど。普通は、山であんな事態は起きませんから。


「死後半年立ったご遺体を発見と、山の浄化を真由合さんがしてくれました」


雅くん、色々省きましたね?


「私からも少々いいでしょうか? 実は別宅にも、何かしらの道があるのか、私達が来てから2回、かなりの大物と遭遇しています」


雅くん、睨んでもダメですよ? これも立派な情報ですから。


「そして昨日、偶然ですが、霊脈に繋がる穴を見つけました、霊はこれに乗って来てるみたいだとは、思うんですが…………数が合わないので、半分くらいはコレが原因かと思います、此方は以上ですね」


他に幾つか補則はしましたが、それぐらいです。


「それじゃあ、次は僕の番かな?」


ニッコリ微笑みを浮かべた、日暮くん。童顔の所為で、同い年に見えない事もあり、内心は複雑です。

さて、彼は一体、何を掴んだのでしょうか?


お読み頂きまして、ありがとうございます♪

さあ、新しい皆様が登場です! ようやく出せた〜!! 『舞台の上へようこそ!』の登場人物が出ています。初のコラボ作品です♪ 楽しんで頂けたら、嬉しいです。


さあ、次は最後のヒントの回になります。皆様の推理、楽しみにしてますね!

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