最終話 ライトニング!
俺が起こされたのは、学園祭も終わり、生徒たちが忙しなく片付けを行っている、そんな夕暮れだった。
「…おはよう、ハル」
優に肩を叩かれ、目が覚める。
悪くない気分だった。
「あ、ごめん、俺、寝て…」
「大丈夫だよ、ハルはお母さんの事もあって、ほとんど寝てなかったんでしょ?」
優がいつもの柔らかい笑顔で俺の寝ぐせをなおしてくれていた。
「うん、まあ…みんなは?」
「先に起きてクラスの片付けに行ったよ。って言ってももう終わっちゃう頃だけどね」
「そっか…またやっさんにドヤされるな、俺」
2人で笑いあった。
「あのさ、優。」
「今日、一緒に帰らない?」
優は頬を赤らめて答えた。
「う、うん。いいけど…」
「寄りたい場所があるんだ」
俺たちは学校を出て、しばらく無言で歩く。
静寂を破ったのは、優からだった。
「あ、あの、ハル…!今日のライブ、すっごくかっこ良かったよ!」
「ありがとう、でも…」
そこで、俺の目的の場所にたどり着いた。
「着いた」
「え、ここって…」
大山神社だ。
俺と優が、初めて会った場所。
全てを変えてくれた場所だ。
俺たちは神社の敷居をまたぎ、なかに入る。
「ここ、覚えてる?」
優の顔を覗き込む。
「う、うん…不審者の…」
またそれかよ!
「ふ、不審者はいいから!俺たちが初めて会った場所!」
全く、俺ってやつは、ムードとかそういうの、とことん苦手だ。
「わ、分かってるよ!忘れる訳ないじゃん!」
「さっきさ、俺のライブがかっこ良かったって言ってくれただろ…?」
「う、うん、かっこ良かったよ…」
俺は今、一番言わなくちゃいけない事を言う為にここに来た。
今の、ライブの熱に浮かされた今しか言えない気がしたから。
「優、俺があんなライブ出来たのは、優のおかげなんだ。
優じゃなきゃダメなんだ。
優だったから出来たんだ。
だから…これからも俺を…かっこよくさせて欲しい。」
「そ、そ、それって…?」
優は耳まで真っ赤にして聞き返してくる。
「俺と、付き合って下さい!」
言えた。
やっと言えた。
俺は息を飲んで返答を待つ。
「…うん!」
優は満遍の笑みで答えてくれた。
「え、え〜と…じゃ、じゃあこれからも、よろしく…?」
ぎこちない俺の口調に優は吹き出す。
「ハル、緊張しすぎwww」
「んなっ、こ、このねらーめ!」
「ねらーじゃないし!!!」
「ヌルポ」
「ガッ」
「早っ、ガッ、早っ!」
憤慨する優が面白い。
「んもー!!!ていうか、ハル、絶対忘れてると思うから言うけど…」
「え?な、何!?」
「後夜祭!!ライブもあるんだからね!?あれだけすごいライブして、出ないなんてみんなが許してくれないよ!
ほら、はやく行こ!」
「お、おう!!!」
喜多高へ向かう坂道を2人で駆け出す。
俺はこの時、確かに思ったんだ。
この先も、色々な事があるだろう。
埋まらない心の隙間も、葛藤も全部ひっくるめて人生なんだって。
それでも俺は…これからそれを音に変えて、歌い続けたい。
同じ苦しみを感じた人の、光になれるなら。
俺は歌う。
そう、それは鳴り響く、稲妻のように。
【ライトニング!】完
ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございます!
1度削除して半年ほど期間を空けてしまいましたが、この度完結する事が出来ました。
高校編はこれでおしまいですが、機会があれば続編も書きたいと思います。
では、本当にありがとうございました!
もしよろしければ感想等お待ちしておりますので是非!




