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第1話 伝説の始まり

外伝として新しく作りました。そこまで長くなる予定はありません。10話前後で終わる予定です。

 これはリューホがナヲユキ達の仲間となった今から7年も前の話。


 帝国暦306年。ファン帝国。

 時は、のちに第1次魔術大戦と呼ばれる戦いが始まったころのこと。帝国は自分たちから戦争を始めたのはいいが作戦をうまく立てることができず開戦から1か月しか経っていないのにもかかわらず連合国側に敗戦しはじめたいた。それには、さすがの上層部も危険を感じていた。自分たちから始めた戦争で負けるということはそれはこの国を危機に陥れること。つまりはこの帝国の代表者たる皇帝の命をも左右してしまう。負けたら最悪処刑はされてしまうだろう。そんな中、ある時を境に帝国の戦線は勝利一色へと変わっていく。それはある1人の男を戦線に導入した直後のことだた。彼が、たった1人の彼の存在がこの国の戦線を変えてしまったのだ。このとき戦いに参加しているものは彼のことを後世こう呼んだ。


 伝説の司令官、と。


 この話は彼、リューホが伝説の司令官といわれる所以を作った過去を語る話である。そしてその真実は今は彼しか知らない。


 話はさらにまた少しさかのぼり帝国暦295年。ファン帝国のとある田舎スイリン。


 「おーい、リューホ。元気しているかぁぁ」


 静かな村中に響く低い男の声。それは目の前にある小さな家の中で寝ている少年──リューホに向けられているものであった。しばらくするとリューホと呼ばれた少年は家の戸をあけて眠そうな顔をこすりながら口を開いた。


 「おい、朝っぱらからなんだよ、ジラン。せっかく人が熟睡していたというのに」


 明らかに眠そうでありかつ不機嫌そうなリューホの問いかけに対してジランと呼ばれたリューホとの同い年の少年は笑顔で答える。


 「合格したぞ! 俺たちついに」


 「本当か!」


 合格。ついに合格したのか。その言葉を聞いてリューホの眠気はどこかへ飛んで行った。リューホはここまでの長い道のりを思い出していた。

 さて、ここでリューホが何に合格したのかそろそろ語るとしよう。彼が合格したのは帝国軍の入団テストのことだ。ジランが一緒に受けてみないかと誘ってきたのだが最初は乗り気ではなかった。ただ、リューホの家は貧しいので自分の弟たちのためにも働くとしても安い場所で働いては何にもならないと思い至ったので比較的給料の良い軍に入ることとしたのだ。そして、無事に合格をしたとのこと。


 「これで、来月から無事に兵士だな」


 ジランは長年の夢がかなって笑顔だ。こいつはずっと兵士になるのが夢であった。小さいころから絶対に兵士になってやると近所で息巻いていた。だから今日という日がよほどうれしいのだろう。リューホはそのように考えていた。無論、リューホも兵士になることを夢としていたのでうれしいというのは違いない。


 「じゃあ、今日はお祝いだ」


 リューホはそう言った。夢が叶ったお祝いをしようということだ。もちろん、ジランは反対しない。リューホとジランは周りの人にお祝いの言葉をもらおうとした。ただ、お祝いの前にこのことを最も早く話さないといけない相手が1人いた。


 「とりあえず行くぞ」


 リューホはさっさと着替えて出かける準備をする。ジランを待たせているからというわけではなく今すぐに行かなければならないところがあるからだ。


 「サッキー!」


 そして、リューホはある人の家の前にいた。リューホがその家にいる人の名前を呼ぶ。そうすると家の中からは「はーい」という女性の声が聞こえた。


 「どうしたのリューホ?」


 家から出てきたのは女性だった。リューホと同じ年の女子である。外見は背が高く、髪は黒髪のショートヘアー。太ってはいない。胸は……残念の一言だ。そして服装はボーイッシュ。さらに外見通りに男勝りなのが特徴であった。そんな悪友とも幼馴染ともいえる彼女にリューホはリューホ達はあることを伝える。


 「いや、サッキー。僕たち軍の入団テストにに合格したんだ」


 そう言った。ジランも横で喜んでいう様子を見たサッキーはリューホの近くに寄ってきた。何をするのかと2人は思った。


 「リューホ、ジラン」


 「「何?」」


 ゴン


 鈍い音がした。鈍い音の発生源はリューホとジランだ。何があったのか。そう何があったかというとサッキーは2人に近づくと突然殴った。いや、殴った後男の大事な場所に蹴りを食らわせた。


 「っ~~~」


 何とも言えない痛みが2人の全身に来た。しばらく2人とも動くことができずに地に伏せていた。転がっていた。回復するには3分ぐらいの時間がかかった。3分した後、リューホは口を開いた。


 「何をするんだ!」


 「そうだそうだ!」


 リューホに続いてジランもサッキーを非難する。サッキーはその様子を見て笑いながら答える。


 「何、私に相談もしないで勝手に軍に入るって決めるのよ。私達幼馴染でしょ。もっと相談してくれてもいいじゃないの。そうすれば私だって軍に入ったのになぁ」


 口調は柔らかく聞こえるが顔からは笑みが消えていた。完全にサッキーは怒っていた。そして顔は怒っていたがその柔らかい言葉と怒っている目はどこか悲しそうであった。


 「「………」」


 その言葉を聞いたリューホ、ジランの2人は口を開くことができなかった。しかし、口は開かなかったが体は勝手に動いていた。手を地面につけ頭は下がっていた。視線の先は地面である。つまりは土下座をサッキー相手にしていたのだ。

 そして、2人は息ぴったりに謝罪の言葉を言う。


 「「黙っていてすいませんでした」」


 実はこの2人は幼馴染のサッキーが自分たちが軍に入るといったところで文句を言うか自分も軍に入ると言い出すと思っていたのである。現にサッキーは自分も軍に入ると言っている。この2人の判断はこうしたサッキーの性格を読んだ上での決断であった。


 「むー」


 サッキーはほっぺを膨らませている。すねているのだ。すでにもう怒ってはいないがまだ納得を仕切っていない。リューホはそんな様子を見てもう一度謝る。


 「すまない。でも、こうすることが僕たちには一番いいことだと思うんだ」


 リューホは言う。ジランもそれに続いてうなずく。サッキーはその様子を見て半分ぐらいは納得してくれたのだろうか、譲歩をしてくれた。


 「わかったよ。もう、何を言ったところで行くみたいだから陰ながら私は応援するよ」


 サッキーはどこか悲しそうにその言葉を言った。


 そのあと、リューホ達は村の人たちを集めてお祝い会をした。村の人たちはリューホ達を心から祝ってくれた。リューホにはそれがとてもうれしく感じられた。軍に入ることは大変だからというのではなく、自分を見ていることにだ。リューホ自身は村の中でもいたって目立たない普通の存在であり初めて自分が主人公級の扱いを受けたのかもしれない。


 そして、盛り上がったお祝い会は熱気が冷めぬまま終わり、あっという間に太陽は村の上空へと登り次の朝………出発の朝がやってくる。

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