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就活の時期

作者: 柏木弓依

見慣れているはずのその姿が、

全く知らない人に思えた。

リクルートスーツに身を包んだ先輩は、

初めて出会った大人のようで。


「おつかれ」というその言葉も声も、

もう何度も聞いたはずなのに、

確かに先輩の声なのに、

なんだか妙に、遠くに響く。


遠いなぁ――。

いつだって先輩は遠かった。

いつだって私たちの数歩先を、

軽やかな足取りで歩いていた。

そうしてときおり振り返りながら、

「こっちだよ」

追いつくのを、待ってくれた。


先輩――。

かっこいいなぁ。

すごいなぁ。

あざやかだなぁ。

華麗だなぁ。


隣にいるようでそばにはいなくて、

手が届きそうで、届かない。


後姿に魅せられて、

その姿を追いかけた一年間。

まるでドラマの総集編みたいに、

過ごした日々があふれだす。


――もう、その時期なのですね――。

――もう、その時期なのですよ――。


すこしはにかんでいたけれど、

物静かな暖かい微笑みは、

見慣れたいつもの先輩だった。



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