花は散る-戦場の殺人鬼-
彼の名はカーレント.メディアスと言った。ウィークス達の大陸からは遠いところ....そこは内戦状態で、カーレントは身内と呼べる者を何もかも失った。幼かった彼は生き抜くために自分が子供という事を利用して危機を回避したり逆に人を利用し、裏切り、時には殺し....そうして幼少時代を過ごした。そして14歳の時に仲間と共にフラワーズという傭兵団を結成。カーレントはこのチームのリーダーを務めた。
カーレント[はあ...はあ...しくったな]
気を失ったカーレントは気づくとベッドの上にいた。
カーレント[.......?]
神父が入ってくる。
サイ.ビー[気づきましたね、良かった]
カーレントは立ち上がろうとしたが足が動かない。
カーレント[俺に何した!!]
サイ[重傷でしたのでこちらで治療を施したのですよ。残念ながら足の方は.....]
カーレント[残念....?]
足が全く動かない。
カーレント[う、嘘だろ....足が動かないって事は俺は....!]
サイ[もうその足では戦...]
カーレント[うるさい! お前一体何者だ!]
サイ[見ての通り神父ですよ]
カーレント[何の企みだ...!]
サイ[協会の前に倒れていたのはあなたですよ?誰であれ助けるのが神に仕える者の使命です]
カーレント[ハッ....]
カーレントは苦笑している。
カーレント[神だと? だったらこの戦争は何だ!? 仕掛けるのも治めるのも人だ! この状態でも....!]
カーレントはベッドから落ちる。サイが支える。
サイ[この紛争にどんな意図があるのかは分かりません。ただあるがままの試練を....]
カーレントはサイの首を締める。
サイ[がっ...]
カーレント[祈れよ....死なねえ程度によおー!]
サイは表情を変えない。
カーレント[........]
カーレントはサイを突き飛ばす。
カーレント[抵抗しないのかてめえ]
サイ[し、死す時に死す、それだけです...げほっ]
カーレント[くだらねえ....余程のバカだぜあんた(売る気ならとっくにそうしてるだろうしな....)]
サイ[ふう...目覚められたところ申し訳ないが、連盟の指令で私は別大陸の異動になっています]
カーレント[は?関係ねえよ]
サイ[....ここで出会えたのも神の導きというもの。その足でここで生きていくのは大変でしょう? 私と一緒に行きませんか、争いのない大陸へ]
カーレント[!?]
サイ[明日までに考えておいて下さい。3日後には出発ですので....]
サイは出ていく。
カーレント(信じらんねえ....本当に神ってやつを信じてやがるのか?)
カーレントは思い詰める。
カーレント[戦争のない世界だと?そんなもん....]
足が動かないという事実がカーレントの心を揺さぶる。
2日関、食事から下の世話まで全てサイが面倒をみていた。カーレントは落ち込んでいた。
カーレント[一生....このままなのかよ、俺]
サイ[行きましょう、一緒に]
カーレント[....う、うう....]
カーレントは泣いた。
その後2人はフラワーズに追われながらも連盟の支援を受けて大陸を脱出。だが、その後カーレントの体を媒介にサイ.ビーは病気を発症。サイ.ビーは昏睡状態に陥った。そこへ連盟の同僚が見舞いに来る。
カーレント[知っていた....?]
同僚[サイは妻と娘をフラワーズに殺されていたんだよ]
カーレント[!!]
同僚[その事をサイが知ったのは君らがこの大陸へ来る前だ。私達は助言した。君に恥は無いのかとね.....すると彼はこう言った]
サイ[...死んだ者は戻ってきません。ですが生きている彼ならやり直しもききます。神に仕える身.....私に己はありません、救いの手は差しのべるのです]
カーレント[........]
同僚[上の方々は褒め称えたが私は落胆したよ。殺された人の無念を想えばね....だが君は変わった。もし私がサイ.ビーの立場だったら....]
カーレントは唖然としている。
同僚(いや、言うだけ野暮か....)
同僚は立ち去る。
カーレントの脳裏に今までのサイ.ビーの行為が甦る。
カーレント[サイ.....]
その時初めてカーレントは神に祈った。
その後ヴィディと出会い、手術とリハビリの末足が動くようになる。父親を思うレパードと狂暴なプロイドの人格は同僚の発言時に形成されたと思われる(記憶は書き換えられない)
そして今に至るーーー
花は散り、寒空に芯だけが残った。