発見
「う、う~ん。よく寝た」
洞窟の入り口から差し込む光で目が覚める。
時間はわからないがかなりの時間を寝ていたはず。
・・・自分でもよく寝れたものだと思う。
起き上がると体の節々がいたかった。
寝心地はまぁまぁだが、起き心地は最悪だった。
よたつきながら歩き洞窟から出て、改めて周囲を確認する。
「・・・・・・・」
昨日と同じ光景があった。
草木が生い茂っており、先が見えない。
その光景を見ながら考える。
このまま隠れてひきこもるか、ここから出て周辺を探索するか。
少し考えて答えはすぐに決まった。
ここにいても何も始まらない。
探索だ。
そう決めた瞬間まっすぐ森の中に入る。
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「・・・なんもんねぇ」
探索と決めて森の中に入ってから数時間。
意気揚々と探索をしに行ったのだが、生き物1匹見つけられなかった。
まさかこんな状況になるとは・・・。
余りにも予想外だった。
う~ん、どうしたものか。もう疲れたし帰るべきか。一応水は『言霊操作』で作れたので飲み物の心配はない。・・・・ただし、味は物凄くまずい。
どうしたもの-おっ?
目の前にリンゴみたいな実をつけた木が沢山生えていた。
「・・・う~ん、食べれるのか、これ?」
昨日から何も食べていないので腹はかなり減っているが、食べるこ-
ぐううううううううううーーーーーー。
「・・・・いただきます!!!」
実を1つ取り、かぶりつく。
シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク。
う、うううううううううううう-
「ウマ―!!!」
普通に食べれた。しかも味がまさにリンゴと同じで美味かった。
これはいくらでも食べれる!!!
リンゴ(?)に夢中になりながら他の実を取って口に運ぶ。
シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク。
9個目を食べ終えたとき-
ピコン。
「んっ?ピコン?」
どこからか音が聞こえてきた。
なんだろうか?周りを見てみるが何もない。考えられる事としたら・・・・。
ステータスを出現させて覗き込んで見ると-
「・・・」
スキルの欄に『鑑定』と書いてあった。
・鑑定-このスキルを使用して物を見た際、自分以外のステータスを見る事が可能である。
・・・・なんで『鑑定』っていうのが入っているんだ?
不思議に思いながらも右手に持っている実を見て、『鑑定』で確かめてみる。
アンゴの実-甘酸っぱい味がする果実。疲労回復の効果を持つ。
おお。これはすごい。
これで心おきなく食べれる。
改めて食事を再開しようと鑑定したアンゴの実を口に運び-
グルルルルル!!!
「なんだぁぁぁぁ!?」
いきなり動物のような鳴き声が近くから響いてきた。
周りを見ると近くの茂みから狼のような生き物が1匹出てきた。
「・・・狼、なのか?」
それは姿かたちは僕の知っている狼なのだが、体毛は青色で覆われており、体中傷だらけで右目に大きな傷跡があった。
な、なんだこの狼は。ただもんじゃね…てっあれ?
もしかしてこれってやばくないか?