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異世界編:王国と異世界の私

# エピソード4 王国の救世主に成るため


スキルを言い渡されたあの儀式の後、私は変身を極めるため、父がいない日に、誰にも気付かれないよう近くの森へ行き、色々なことを試した。


あれから練習を重ね、ベルトを顕現させるまで数秒、変身完了まで約5秒で済ませることができるようになった。


「いや、この数秒は致命的な弱点だよね」


仕方ない。とりあえず、できることから確かめよう。


先ずは、四大魔法がどのような影響を与えるのか。


「変身! 火のメンタル!」


“FIRES!! MOTION!!”


「この音と音声が堪らない‼」


何度聞いても心が滾る‼


落ち着いて、私……。


早速、火属性をイメージする‼


すると、両手に炎を纏った。


「いや! 熱いー‼ や、火傷する!」


私は炎への恐怖から、手をバタつかせた‼


「い、いや、あれ? 熱くない……」


両手の炎はゴオゴオと音を立てて燃えているが、身体には何の影響もない。


試しに、近くに生えていた一本の木に、炎を纏った手刀を浴びせた。


“キュイーン”


電動ノコギリのような音が鳴り、私よりもずっと太い木を真っ二つにした。


“ズーン‼”


根元近くに斜めに当たったため、切り口がずれて木は倒れた。


熱した包丁でバターを切るような感覚……いや、それ以上にスムーズだった。


「すご……。次は……」


脚に力を込める。いや、足元に炎をイメージすると、地面が爆発するように弾け、私は高く飛び上がった。


そう、ジャンプだ‼


「いやーっ‼ た、高い‼」


数十メートルほど跳び上がり、なんとか体勢を立て直して無事に着地した。


「体術の修練をしておいて良かった……」


それから、水、土、風、それぞれの属性魔法を使って実証試験を行った。


その結果、水属性なら、水を纏う技として使う《ウォーターカッター》で、その辺にある大岩を真っ二つにできた。


《スプリングウォーター》は、水量を増やせば大樹も倒せる。


土属性なら、《ウォールロック》で石壁を作ったり、《ロックアロー》で石槍を使って飛ばす事ができる。手にドリルを装着することも可能だ。


うん! ロマン!


そして最後の風属性。


《ウインドカッター》は、身体に風を纏い、そのまま突っ込めば周囲を八つ裂きにできる。


《ウインドフライ》は、風魔法の力で自分を飛ばす事が出来た。おそらく風属性の真骨頂だろう。先ほどの火属性によるジャンプよりも、安定性が抜群だった。


ただし、一気に距離を詰めるなら火属性かな。


この辺りで、検証は大体できたと思う。


……そう思っていたけれど、これらは全て魔法で賄えると思っていた。


だが、実際には、纏う魔力量が半端ではなかった。


最初の変身に必要な魔力だけで済み、その後は技を出しても魔力を消費しないのだ。


試しに出力を上げてみたが、消費量に変化はなかった。


「私はエコ‼」


落ち着いて空を見上げると、もうすぐ日が沈むところだった。


「早く帰らないと!」


今の風属性の変身状態のまま帰路に就いた。あっという間に家へ到着した。


帰り際に考えた。


……私のスキルって何?


家に着くと、父が帰ってきた。


私は急いで二階の窓から部屋に入った。


「ユリカ、帰ってきたよ」


父が部屋のドアを開けると、私は床に座り、座禅を組むような姿勢で魔法によって浮遊していた。


もちろん、既に変身は解いている。


「御父上、お帰りなさい」


私は父の前で姿勢を正し、頭を下げた。


「申し訳ありません。魔法の修練に熱中してしまい、御父上のお帰りに気付きませんでした」


父は笑いながら、私の肩に手を置いた。


「流石に私の娘だ。そこまで魔術に研鑽するとは、そのうち大魔術師に成るんじゃないか!」


「御父上、ご冗談を。私はいずれ王国騎士団の一員となり、御父上のように成ることが夢でございます」


嘘だ。


「そうか。そうだったな。ハッハッハ!」


「準備してから食事にしましょう」


「わかった」


父は下の階へ降りていった。


私はヒーロー(英雄)になる……。


その日の夜、私はなかなか眠れなかった。


ようやく眠りに就こうとしたところ、あの部屋が少し開いていた。


「おはよう……」


返事はなかった。


また、いつものように、その部屋から啜り泣く声が聞こえた。


振り向くと、そこに部屋はなかった。


私は、なぜか泣いていた。


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