葬式
私は、葬式へ向かった。亡くなったのは作家であり、私の先生である。
先生は生前とてもご活躍されていたので、受付と言うものがあった。自分の名を告げ、受付人に中へと通してもらった。この人は、平生、先生の傍にいた人である。私もそんな人になりたかった。
二階へ梯子段を使って上がると、たくさんの人がいた。先生の友人や有名な作家、弟子、親戚などの人が団子になって話していた。
「あの、先生はどこに」
「あちらの部屋です」
先生の夫が指さした方を見ると列が出来ていた。私は最後尾に並んだ。みんな、悲しそうな顔をしていた。今にも泣きそうな人、眉を顰めながら進む人、口を噛み締める人。
先生はみんなに愛されていたのだなと改めて実感した。そして先生もみんなを愛していたのだなと思う。
長い列が終わりかけて、先生の顔がちらりと見えた。私はなんとも思わなかった。列が進むまで私は腕時計を眺めた。
そして、ようやく私の番になった。先生の死に顔は綺麗だった。
私は、親族に軽く挨拶して、旦那にも頭を下げて、礼を申し上げた。もう、用がないので外に出た。
ぽつりぽつりと雨が降っていた。私は蝙蝠傘を天に向かって差した。
私は空を見上げた。矢張り、差さなくても良い雨だった。蝙蝠傘を放って投げて私は歩いた。
走ったのだ!
「好い人でした! 良い人でした! 善い人でした! 本当にいいひとでした!」
ここまでお読みいただきありがとうございます。これからもお読みいただけると作者がいぇーい!と喜びます。この作品の長いバージョンも気が向いたら、書こうと思います。




