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シックスパックラビット ―腹筋バキバキ、ウサギマスクの武が魔を挫く―  作者: よよ


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第10話 ツァウバー

 光に包まれると、足の傷が癒えていく。小さい頃母さんに抱きしめられた時のような温かさに、痛みと恐怖がなくなっていく。ティナさんの歌声に勇気が湧いてくる。すごい、これがティナさんの回復魔法なのか。


 アーマー・ゴブリンが、歌っているティナさんに向かって走り出している。ティナさんは目を瞑っていて気づいていない。

 右足を見る。足を上げ、地面を思い切り叩きつける。

 

 ダンッ!

 

 よし、いける。

 本気ダッシュでアーマーに追いつき、背中目掛けて飛び蹴りをする。ギリギリで振り向いたアーマーは盾で防ぐも、踏ん張れずに、ティナさんの横を吹っ飛んでいった。

 ぼくは、着地してすぐ走り出し、高く跳ぶ。空中で3回転し、まだ起き上がっていないアーマーに、重力と遠心力で増大したパワーをそのままに踏みつける。

 ラビット・フットスタンプ!


「ダンッッ!!」

 

 アーマーの盾と鎧は砕け、ぼくの足が腹にめり込む。そして、血を吐き霧散した。

 ふーー、はぁ。空を見上げ大きく息を吸い、足元に視線を落とし、吐く。危なかった、間に合ってよかった。ティナさんを見ると、目が合った。そして、ティナさんは無表情で頷いた。それも計算だったのか? 戦闘慣れしているからか、天才だからなのか、いや、両方か。


「遅くなってすまない。屋内にいて気づかなかったんだ。花火が一発上がったと話しているのを聞いて戻ってきたのだが……」 

「あれー、ツァウバーさんは? てか、どちら様?」

アンナさんと沙耶姫が帰ってきた。なんだか久しぶりに会った気がして、ホッとする。

「お二人とも遅いです。店主は見つかってないのですが、代わりに魔物がやってきましたよ」

「ありゃりゃ、そうだったの? まぁティナなら余裕だったでしょ?」

「まぁ私1人でも大丈夫でしたけど、彼が、シックスパックラビットさんが来てくれたので」

「あー! シックスパックラビット! 王都で噂の! でも、なんでこんなところに?」

「え、あ、ちょ、ちょっと一人旅をしていまして、たまたま……」

「へぇー、一人旅……」アンナさんの訝る視線が痛い。

「い、いやぁ、ちょうどいいところに来てくれて助かったな。礼を言う。ありがとう」沙耶姫、ちょっとセリフがぎこちないです。

「い、いえいえ、お役に立てて良かったです。で、では、ぼくはこれで。失礼します」ペコリとお辞儀し走り出す。

「あ、ちょっと! まだ話聞きたいのにー!」

 アンナさんの声を無視して、路地に入る。怖い怖い、長く話してるとボロが出そうで。沙耶姫もちょっと焦ってたな。それより早くぼくも合流しないと。



「すみません、遅くなりました。ツァウバーさん見つかったんですか?」ぼくは駆け足で皆の元へ行き、尋ねた。ドキドキだ……。

「いや、代わりに魔物が出てきたそうだが、まあそれは後で話すとして、結局みんな手掛かりなしか」


 ガチャッ


 音のした方に全員が顔を向ける。魔道具屋のドアが開いた音だ。中から黒いローブを身に纏った老人が出てきた。こちらを一瞥すると、杖を向けてきた。

 杖から巨大な雷の龍が真っ直ぐ飛んでくる。

 即座に沙耶姫とアンナさんが動いた。

「ブースター・マジック」アンナさんが沙耶姫に向かって唱える。

雷霆(らいてい)」沙耶姫が右手を天に掲げ唱える。

 雷の龍が迫る。


 ドーーンッッ!!!!


 目を開けていられないほどの強い光と、衝撃による風に、右手を顔の前にかざす。耳鳴りがして何も聞こえない。風が止み、目を開けると、視線の先には老人が立っているだけだった。ぼくらの目の前で雷の龍に、雷が落ち、消えたのだ。

 老人……いや、ツァウバーさんもすごいし、沙耶姫とアンナさんもすごい反応だった。完全に気を抜いていた。手も足も出なかった自分が情けない。

 それより、いきなり何だったんだ……。

「そなたがツァウバーだな。探したぞ」ツァウバーさんは、地面に立てた杖に両手でもたれている。

「さすが雷神ですな、姫君」沙耶姫を知っているのか。いや、それは別に不思議じゃないか。

「……すべて知っている、か」

「陛下から手助けするよう頼まれていましてな」 

「なるほど、父上から。それにしては随分と手荒い挨拶だな」陛下のことに触れられ、沙耶姫のトーンが少し変わる。

「協力するかどうかの判断は、自分の目で見てからでないと。そうでしょう?」ツァウバーさんの口元が緩む。

「ふふっ。確かに、その通りだ。私もそう思う」この2人、なんだかすごく気が合うようだ。

「では、狭いですが、どうぞ中へ」ぼくたちを促し、歩き出したのを見て、ツァウバーさんは店内へ消えた。

次回、『スカーレット・シー』

ツァウバーと話に次の目的地が決まります。


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