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ラストラン  作者: IVKI
3/3

第2話 ガラスの足

七海律(トレーナー)視点

私たちのチーム〝ライラック〟は、3年生2人と2年生5人で構成されている。

他のチームはもっと各学年20人とかなんだけどね‥‥‥。


そして今日、新入生の模擬レース、私たちトレーナーからしたらスカウトできる絶好のチャンス、この機会を逃したらできるのは1ヶ月後のためかなり出遅れることになる。

そういえばこの前来た子達はどうなんだろうな。


「ぼーっとしてますけどそろそろ始まりますよ」

「オーナー!?来てたんですか?」

「はい、なにせ新たな時代を作る人たちの最初のレースですから」


1組、2組とレースが進んでいく、途中ではりらさんと空さんが走っているのが確認できた。

そして休憩が挟まれ午後のレースが始まりそうになっていた。


「りらさんと空さん、あの子達いいですね」

「ほんとですか?昨日見学に来てた子達ですよ」

「そうでしたか、いい走りです、今回順位はあまり良くはないですが今後伸びてくると思います」



「次は美月さんのレースです、この子も見学に来てくれた子ですし‥‥‥」

「美月さんですか‥‥‥、この子をスカウトするのは認めません」

「え?いや、なんで?」

「見ればわかります」


そして美月さんが走る1500mの1組目が始まろうとしていた。


パァン


スタートの合図が高らかにならされた。


スタートはいい感じにできている、すごいタイミング。


それにしてもあのフォーム、歩幅が広い‥‥‥けど体がまだ出来上がってないのかバランスが悪いな。

でも体の割に踏み込みが浅い‥‥‥?足を庇ってるみたいだけど、もしかして足が悪い?


なんて考えてると彼女のレースが終わった。


なんだろう、彼女が教員に声をかけている、もしかして怪我!?

いてもたってもいられなくなって彼女のもとに行こうとした時転げ落ちてしまった。


「どひゃー」

「大丈夫ですか?」


♦︎

「まったくトレーナーが保健室に来るってどう言う状況なんですか?」

「申し訳ない‥‥‥」

「それに桜さん!無理したらダメじゃないですか、あなたはガラスの足なんですから。壊れてからじゃ遅いんですよ」


踏み込みが弱かったり、足に負担をかけないようにしているのは足が弱かったからか。


「でも!5年ぶりのレースだったんです。会場の張り詰めた空気、選手の必死で真剣な顔、久しぶりの本気を感じれて嬉しかったんです、今回は最下位でしたけどこれから上に上がるだけです!」

「そうだけどね、あなた昨日とかも走り込みしてたでしょ、過度な負担がかかってたのよ」


美月さんはギクッと図星を突かれたようで目を逸らしていた。


「成田月奈ちゃんに勝ちたいんです、だから休む暇なんてなかったんです」


なんだろう、既視感がある‥‥‥。

そうか昔の私を見ているみたいなんだ、私もライバルに勝ちたくて怪我をしてても練習したな。

その結果足を壊して選手を引退したんだけど、そう思うといてもたってもいられなくなった。


「美月さん!目指しませんか、より高みへ!」

「‥‥‥はい!夢を叶えたいですから!」

「夢?‥‥‥月奈さんに勝つこと?」

「いえ、それは目標です、私の夢は世界です!オリンピック‥‥‥誰もが憧れる頂点(いただき)の景色を見てみたい、だから私は走るんです」


私と彼女の面影が重なって見えた、この頃の私もオリンピックを目指していた。


「そう言うことはここじゃない方がいいと思うんだけど、それでも良かったじゃない、桜さん。事前に聞いていた話だと少し心配だったのよ、でもちゃんとスカウトされて夢を目指せるなんてね。頑張りなさい」

「はい!」


そうとなったらオーナーに知らせないと‥‥‥。


「じゃあ放課後になったらライラックのとこに来てね」

「はい、これからよろしくお願いします」













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