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第21章

  ・・・十六人の生存者たちは、喜びにあふれながら、サンチアゴへ運ばれ、短いあいだだったが、そこで『英雄えいゆう』のような取り扱いを受けた。


 街を歩く市民は、彼らの姿を認めて足を止め、彼らはいつも、ニュースカメラマンや、サインを求める人たちに囲まれていた。


 市内のレストランやカフェで、おいしい料理やアイスクリーム、ケーキなどを、歓迎する市民とともにほおばり、談笑する彼ら。


 髪が伸び放題で、ひげも、みなぼうぼう。


 まだ、目が慣れないのか、黒いサングラスを掛けたままの若者もいる。


 ・・・そしていよいよ、彼らが、母国ウルグアイに帰る日が来た。


 彼らはもちろん、彼らの親族たちも、モンテビデオで盛大な歓迎会が用意されていると知って、大いに感激した。


 移動中の飛行機の中で、家族や仲間、恋人とくつろく彼ら。


 ・・・ほんの少し前まで、厳しくおそろしい環境にいたとは思えないほど表情も明るく、実に元気に回復していた。

 

 そして・・・モンテビデオの空港に到着した彼らは、空港を埋め尽くす故郷の人たちの大群衆から、拍手と大歓声を浴びた。


 タラップを降りる彼らひとりひとりに、熱い視線が注がれる。

 

 そんな群衆の声に応えるように、大きく手を振って見せる生存者たち。


 サイレンを鳴らしながら走る特別車に乗り、移動する彼らに、沿道えんどうの人たちも手を振って、笑顔で歓迎する。


 ・・・本当に素晴らしい時間だった。


 みなが、その喜びをわかちあっていた。


 そして彼らは、ある建物の集会場へ着き、そこでも、集まった人たちの歓声をもらいながら、会場に設けられた壇上に横一列に並んで座り、司会者から、順番に丁寧にひとりひとり紹介され、それは手厚い歓迎を受けた。


 だが・・・彼らが、モンテビデオの空港で歓呼を浴びたり、世界中から集まった報道関係者たちの待つ母校への道で、市民たちの喝采かっさいを浴びたりしているあいだにも、すでに『悪いうわさ』が流れはじめていた。


 ・・・以下は、サファイアの涙が、『あるスジ』から入手した、ウルグアイの当時の新聞の見出しのいくつかである。


 参考までに・・・。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 『MACABRO INFORME DE LOS SOBREVIVIENTES』

  (生存者についての不気味な情報)


 『REVELAN ENIGMA QUE LES PERMITIO VIVIR』

  (彼らが生存できた謎が解き明かされる)


 『SOBREVIVIERON CON LOS MUERTOS!』

  (彼らは、死者と一緒に生き残った!)


 『DIBIERON INGERIR CARNE HUMANA』

  (彼らは、人肉を食し飲みこんだ)


 『NO MAY LEY HUMANA NI DIVINA QUE LOS PUEDA CONDENAR』

  (その行為を非難できる人間の法律も、また神の摂理もありません)


 『QUE DIOS LOS PERDONE』

  (神があなたがたを許してくださいますように)


 『CUALQUIERA HABRIA HUCHO LO MISMO』

  (誰もが同じことをしたでしょう)

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