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第19章

 「・・・フェルナンド・パラードたちが最後の『遠征』に出たとき・・・私の息子は、もう生きていませんでした。


 しかし彼は、みんなとともに、遠征隊員を選ぶ役割を果たしたのです。


 そして、力のつづく限り、彼らのために、準備を手伝ったのでした。」


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 そして・・・カルロス・パエス・ビラロ・・・生存者の父親の一人が、まず『第一報』を受けた。


 ビラロと同じ頃、ほかの大勢の人たちも知らせを受けた。


 七十日前に行方を絶ったウルグアイ機の生存者が二人現れたということは、世界中にセンセーションを巻き起こした。


 チリ・アルゼンチン・ウルグアイの新聞は『号外ごうがい』を出して、そのニュースを伝えた。


 その瞬間、モンテビデオでは、交通が止まったほどである。


 ラジオやテレビのリポーターたちが数十人、サン・フェルナンドやプエンテネグロへ急行し・・・それらの地名は、世界的に有名となった。


 遭難者の親族たちも、大勢、希望にあふれて、サン・フェルナンドへ飛んだ。


 カネッサとパラードは、陸路、サン・フェルナンドへ運ばれた。


 一方、空軍救難部隊とアンデス遭難救助隊は、山中に残っている十四人の生存者たちを救出すべく、用意を整えたが・・・天候悪化のため、その日の救助は不可能となった。


 救助に向かうはずのヘリコプター2機は、二十四時間も、むなしく待機することになったのである。


 そして翌日。


 天候がようやく回復し・・・救助ヘリが、元気よく飛び立った。


 美しい山々を越え・・・ようやく・・・ようやくヘリは、広大な雪原の中に、黒い点のようなものを見つけた。


 やがて機は、あの『フェアチャイドルド機』の残骸ざんがいらしき姿を遠くにとらえた。


 だんだんと接近し、次第にその輪郭、機体周囲の様子もはっきりと見えてくる。


 残骸の横で、何かが動いている。


 ・・・生存者たちだ!


 せいいっぱい・・・力いっぱい、みんな両手をうれしそうにこちらへ向けて振っている。


 着陸したヘリに駆け寄ってくる若者たち。


 ・・・やつれてはいるが、みんな元気そうだ。


 雪山用のサングラスを掛けた救助隊員も生存者たちも、吐く息が白い。


 それは実に・・・感動的なシーンだった。

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