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第18章
「・・・パラードとカネッサは、雪の中を十日も歩きとおして、アンデスの半分ほどを横切り、キンギリリカにまで登って、ロス・マイテネスまでたどり着いたのです。
そこでセルヒオ・カタランを見つけ、残りの生存者を救ったのでした。
それも、彼らふたりは、ほとんど食糧も武器もなしに、大旅行を成しとげたのです。
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・・・ここは、氷河の跡です。
私は、風がつくったこの『怪物たち』の前で、考えざるを得ません。
そんなことが、どうして彼らにできたのだろう・・・と。
今朝、私たちは、遭難機の機体後部の落ちたところへ達しました。
近くで見たり、手で触れたりしてみると・・・予想より悲しくなりました。
息子は後部にはいなかったので、投げ出されて即死することはまぬがれたのです。
でも私は、この残骸の中に、彼の持ち物を見つけました。
息子は、この『雪の牢獄』から脱出しようとして彼らが何度か組織した『遠征隊』には、加わってはいませんでした。
遠征隊が、チリ領の西アンデスに向かっていくのを、残る者たちが、どれほどの希望と不安を持って見送ったか・・・想像に難くありません。」




