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第9章

 「・・・私たちは、山に入る前、雪解けの状態を知るため、事故現場まで小型機で飛んでみました。


 約束どおり、セルヒオ・カタランも、彼が推薦したガイドの『グアハルト』といっしょに、乗ってくれました。


 カメラマンたちも同乗していたのです。


 カタランは、飛行機に乗るのがはじめてだと言って、最初は体を堅くしていましたが・・・やがて、彼らがいつも歩いて越える峠や山々の頂上を上から見て、感にえない様子でした。


 これは、私にとっては見慣れた景色です。


 私は捜索期間中、何度も民間機や軍用機に乗って、この上を飛びました。


 ・・・しかし、なつかしいということはありません。


 一度ずつ期待を込めて飛び、そのたびに不安とむなしさ、無力感と怒りを抱いて帰ったのです。


 これは、息子が見た景色と同じではありません。


 彼がここにいたときは、今よりずっと厳しい条件の中でした。


 氷雨ひさめが降り、雪が積もり、霧が立ち込めて、下界から歩いて行けないときだったのです。


 飛行機でさえ、当時は、強風のため、これほど低空飛行はできませんでした。


 だから、何度も上を飛びながら、彼らを発見できなかったのです・・・。


 カタランとグアハルトは、山々を色合いで見分け、地図の上に登山隊がたどるべきルートを書き記しました。


 そして、『ラッセルマス・ゼル・フラコー』をキャンプ地に選びました。


 この湖は、捜索のとき、みんなに大きな希望を与えました。


 オランダの透視術者とうしじゅつしゃ『ジェラール・クロワゼット』が、カルロス・パエス(= 生存者のひとり)の母親の国際電話を受けて、飛行機はプランチョンから65キロの地点に墜落しており、生存者が見える・・・そして、そばに湖がある! ・・・と答えたからです。

 

 その地域にあるのは、この湖だけなので、この周囲は念入りに捜索されましたが、何も発見されなかったのです。」

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