第4話「クープル」
すると、遠くから声が聞こえた。
「全員いるか?今からクープルわけを行うが、本部からの伝達だ。13番、30番の2人は寮に戻れ。」
「了解」
13番、30番と呼ばれた凛と春音はアマネを大人から隠しながら歩き出した。
「凛さんたちは名前で呼ばれないんですか?」
不思議そうにそうつぶやくアマネの頭に手を置き凛はいった。
「俺たちは別に人なわけじゃないしな。番号で呼ばれてたからなんの違和感もなかったわ!」
「確かにね。考えたこともなかった。僕は13だよ。」
「かっこいいよな、サーティーンだよ?」
「数字にかっこいいも何もないでしょ別に。凛だってサーティじゃないか、音は対して変わらないだろ」
凛はにやにやしながら冗談と言いながら笑った。
「本部に呼ばれたってことは、あのお兄さんがどうにかしてくれたのでしょうか」
アマネは先程から自分が2人に気を使わせていることを理解していた。なので、必死に話題を変えようとしていた。
「どうなんだろ?まあブリエだしなあ。」
「お、そろそろだね。」
「おーい!」
遠くから聞こえたその声の主はまさに噂をすればの相手だった。
「あ!お兄さん!」
「よしよし、来たな。お兄さんて呼ぶのやめろ!俺は立花雨汰!改めてよろしく!」
「立花先輩、お願いします!」
「いいね、先輩って響き。まあ余談はさておき!大丈夫だったよ!例の件!」
明るく聞こえたその声には少しの疲れが入っていた。
「ほんとですか!ありがとうございます!」
「まあ、君たち3人は同じギルドで決定なんだけどさ、もう一人入ることになったよ。それが条件。」
「もう1人って他の人はもう決まってるじゃないですか。」
「それが、なんか1人いるらしいんだよね扱いにくそうな人が。」
「そんな人」
春音は必死に頭をめぐらせたがそんな人は皆目検討がつかなかった。
「まあその人はまだ来ないっぽいからいいとして!クープルは元気な黒髪君とMYUちゃん、さっきまでメガネかけてた君は新しい人ってことで!」
「な、なんで!」
動揺が伝わるような大きな声を出したのは、春音だった。
「僕は凛のそばにいなくちゃ、いけないのに」
声はデクレッシェンドしていき、そして消えた。
「はる、別にギルドは一緒だし!俺はまだまだはるに頼る気満々よ!って誇ることじゃないか」
凛は常にいつもと変わらぬ笑顔を向けていた。
春音はそんな凛を見てさらに惨めになった。
「ごめん、取り乱した、」
「気にすんな!俺なんて常にそのテンションよ」
「あ!あの、私はどうして凛さんと、」
「MYUちゃんそれはな、この黒髪には君を守るという責任があるからだぞ」
今までの少し元気なイメージとは異なった真剣な眼でアマネを見つめていた。
「決して、見捨てるなんて真似しちゃだめだよ、」
優しく微笑む彼は何かを懐かしむようなそんな顔だった。
「もちろんです。俺はアマネを命かけて守ります。でもこれは俺のただのわがままだからアマネは気にすんな?」
「あ、ありがとう!」
ぎこちなく出たその言葉には凛への全面的な信頼感があった。
「おお、そのこアマネさんって言うのか。それにしても君女の子か。ちょっと話題になっちゃいそうだな、」
「俺さっき、ブリエの人が秘密裏にそだててたっていっちゃいました!!」
「え、」
「あはははは!なにそれ、めっちゃいいね。採用採用。」
「それにしても話が良すぎませんか?アマネさんが危害を加えてこないと言ったってMYUなんですし上がそんな簡単に承諾するとは。」
「それなあ。俺頑張ったんだよ。とりあえず裏の責任者には話を通したけどブリエのみんなには言ってないし、表のトップにも言ってない。だから、やっぱり内密にな。」
その場にいる3人は改めて覚悟を決める必要があった。
「やっぱり苦労しましたよね。ほんと俺申し訳ないです!必ず恩返ししますので!」
「恩返しかー。じゃあさ、金髪ポニテの女の子見かけたら俺に連絡ちょうだい!」
「人探しですか?任せてください!」
「うん。なんか避けられてるっぽくてさ。」
雨汰の顔は今までにないくらい陰っていた。
「避けられてるって、なんかしちゃったんですか?」
「それは内緒!」
「どうして見つけ出すんですか?」
「その子は俺の幼なじみでクープルで結婚を誓い合った子だからだ!」
ドヤ顔でそう言う雨汰を見て春音の顔はひきつっていた。
「結婚?Pomeである僕たちが出来るわけない、のにですか?」
「そうだ!俺は3歳の時にした約束のために結婚の権利を持つブリエにまでなったんだぞ!」
「そんな理由でブリエに、」
「3歳の時の約束なんて覚えてますか、ね」
「ええそうなの?女の子の意見だから違うとも言えないしな。」
急に顔が曇る雨汰を見て凛は言った。
「そんなことないです!それが雨汰先輩の戦う理由。」
凛はさらに磨きのかかった笑顔となった。
「まあでも事情はどうあれ、見つけます!」
「ありがとう、頼んだね」
そういうと雨汰は寮を早足で去り、消えた。
取り残された3人はそれぞれの思いを持っていたが、誰も口を開こうとはしなかった。




