第20話「新境地」
凛と春音は隣同士で盛り上がっていた一方その後ろにいた雪村とアマネはしばらく黙りが続いた。
「あ、あのさ、」
「は、はい!どうかしましたか?」
「いや、その、助けてくれてありがとう。」
「はい!」
「それで、その。名前教えてくれる?」
雪村は恥ずかしそうに言った。
「名前ですか?」
「いやあの、自己紹介の時も聞いたし凛からも説明されたんだけど俺物覚え悪くて」
「アマネです!」
「アマネさんか。あれMYUの人って苗字あるの?」
「あ、でも言えないなら、」
雪村は周りをキョロキョロとして人がいないことを確認して質問をした。
「あ、ありますよ。私はファスタです。アマネ・ファスタ、でも好きじゃないんですこの苗字」
アマネは少し悲しそうに笑った。
「じゃあ俺と同じだ、」
雪村はそう苦笑いをしながらアマネの方を見てつぶやくと前を見てただひたすらに歩き続けた。
「雪村くんは最初とイメージが全然違いますね、」
「そうか?俺そんなヤバいやつだったか?」
「ふふふっ、はい!そうだったかもです」
アマネは笑いながら雪村に冗談ぽく答えた。
「なんだ、ろうな。凛のおかげかも。友達ができるって思ったよりいい事だったよ、」
「あ、でもはるくんへの態度は割と変わらないですね、」
「ああー。あいつはななんか存在がムカつく。あいつと言うよりは凛とアマネさん以外はみんな嫌いだ。」
「…」
アマネはなんて返したらいいか分からないのか、黙ってしまった。
「後、先輩…。」
3100年、4月。凛、春音、雪村の3人はPomeが特別に通える学校に指定されている若草高校に編入が決まった。そして、今日。4月7日、入学。
「制服着るの3年ぶりとか?着方難しいな、」
「ネクタイ曲がってるよ凛、」
「学校って俺初めてだ。なんか、すげえ管理されてたから昔は。」
3人な各々着替えながら話をしていた。すると凛と春音は洗面所へいき、凛が春音の頭にスプレーをかけだした。
「え、何してんのお前ら、」
雪村はその光景に目をひそめた。
「髪色黒にしてる。できるだけPomeってバレたくない、し」
凛がこんな弱気な声を出すところを初めて聞いた雪村は少し驚いていた。
「隠す?なんで?俺は染めねえぞめんどくせぇ」
「雪村!その頭なら僕と関わるなよ」
春音は雪村を睨みつけて言い放った。
「訳わかんねえ、たとえ黒にしてもお前とは関わんねえよ、ちっ。」
雪村は舌打ちをしてバックを取り外に出てしまった。
いつもなら仲裁に入る凛も今回は静かにただ出ていく雪村の背中を見ていた。
「はる、これでまあわかんないと思う。」
「うん、ありがとう。なんか、いける気がしたよ」
春音は震えた声で凛にお礼を伝えた。
「はる…。じゃあ行こうか俺達も」
2人はアマネに外出の旨を伝え、外に出た。Pomeエリア入口まで歩いていくとそこには車が1台止まっていた。そのドアを開けると中には雪村がいた。
「遅せぇよ、黒髪だとほんと誰だかわかんねえな」
「俺の腕すごいだろ!」
「別に褒めてねーよアホか」
雪村は凛のいつもの感じに安堵したのか先程までのピリ付きはなくなっていた。
3人が座ると車は発車し、すぐに学校と思われる建物の前に停車した。
「到着しました。学校生活をお楽しみください」
「運転ありがとうございました!はい!」
3人は車から降り、中で先生と会い、凛はA組、雪村と春音はB組となった。
「お前ら一緒か、喧嘩すんなよなー。じゃ!」
凛は違う先生の方へ行きクラスへと向かっていった。
雪村と春音は一言も口を聞かず、自己紹介の時まできてしまった。
「では、転校生が2人いるので紹介します、入ってきて、」
先生はテンプレの言葉を言うと、2人を呼んだ。
雪村はだるそうに春音は下をずっと向いたまま教室へ入り、自己紹介を促された。
「雪村朱晴、以上」
高圧的な態度あってなのかみんな拍手もせずただ黙って見ていた。雪村はこの異常さに学校が初めてだからか気づいていないようだった。
「黒水春音です」
しかし春音が言うと、後ろの席からパチパチパチとひとりの拍手の音が聞こえた。
「黒水じゃーん、何髪色変えたの?高校デビュー?いいね!人生最後の思い出だもんね」




