第11話「告白」
「ちょ、突然なに」
有澄は手を握られたことにひどく動揺していたが雨汰はさらにぎゅっと力をいれた。
「お、俺と!け、結婚して欲しい!」
雨汰は一息に言うと、顔がみるみる赤くなった。しかし反対に、最初、有澄はとても驚いた様子だったが徐々に顔は曇っていった。
「結婚?何言ってるの、私たちはPomeなんだよ?結婚なんかできるわけ、」
「できる!俺はブリエだから、有澄と結婚するためにブリエになったから!」
「結婚するため、」
「そう!小さい時にした結婚するっていう約束を守りたかったから、」
「そんなことで、ブリエになった、の」
「そんなことって、俺は本気で有澄のこと守りたいって、」
「私が、弱いから?女だから?守るの?」
「違う!有澄だから!俺の相棒で強くてかっこよくて大好きな有澄だから隣で守りたいってそう思った」
「もうききたくない!どうして?どうして私は雨汰みたいに強くなれないの、私雨汰の隣にいたら、!」
有澄は雨汰の悲しげに微笑む顔を見て正気に戻った。雨汰はなにか言おうとしていたが被せるように、
「ごめん、でも私のことも雨汰のこともこれ以上自分のこと嫌いになりたくない」
そう言うと雨汰の握った手を振り払い走り出した。しばらく雨汰は握っていた手を眺めていた。
「立花、先輩大丈夫ですか、」
「ああー!わかってたのにな。俺知ってたのに傷つけて、泣かせた。久々に会ったら気持ち止まんなくなっちゃったわ」
雨汰はしばらく自分をあざけ笑っていたが次第にその声も消えた。
「そもそもこんなふざけた理由でブリエになったって知ったら有澄は幻滅するって、」
「ふざけてなんかないです、」
雨汰の独り言に凛は声をかけた。
「ブリエになるってとてつもないことですよ?そこまで立花先輩をつき動かした有澄先輩を好きっていう気持ちがふざけてなんかいるわけないですよ!」
凛の言葉が終わる頃雨汰の目には涙がたまっていた。
「え、あの!傷つけましたか?すいません!!」
凛は自分が雨汰を泣かせたのだと慌てふためいた。
「違う違う!認められた気がして、俺の今までの努力は無駄じゃなかったんだなってさ。俺あんまりさ、努力は必ず報われるって言葉好きじゃないんよ。だって報われないしほとんど。でもなんかなー、こんな後輩の一言で報われちゃったわ、おれの努力!」
「たしかに、俺も誰かに認められて初めて報われたって思える気がします。」
「よぉし!まだ告白2回目!まだまだこれからだよな!」
「はい!」
2人はさっきまでが嘘だったのかのように元気を取り戻し、アマネと凛と雨汰で春音の所へ向かった。
「おーいはるー!帰るよー!」
「凛!おつかれ!怪我してない?」
春音はキラキラとした目を凛に向けた。
「してない!大丈夫!あれ、雪村は?」
凛は辺りを見渡したが姿はどこにも確認できなかった。すると、春音の顔はすぐに真顔になった。
「知らない、さっきあっちに歩いて行ったところまではみた。」
「じゃあ帰ったのかな、まあいっか、」
そして、4人は家へ戻って行った。
(私は、雨汰になんてことを。雨汰は何も悪くないのに、自分の弱さを認めたくなくて、みっともないプライドが邪魔して。ほんとにバカだ私は。もう消えてしまいたい、)
「自殺でもする気ですか、目の前では困ります。」
「またあんた、ここ私のものってさっき決まんなかったっけ、」
泣いたあとの弱々しい声で精いっぱいの大きさを出した。
「はい、そうですけど。ちょっと心配になって。
」
「心配?ってあんた見てたの、」
「いや、帰る途中に見えちゃったというか、聞こえたというか、すいません。」
「別に謝らないで、かっこ悪いね私。」
有澄は体育座りで太ももに顔を埋めた。雪村はその隣に腰を下ろし、話し出した。
「かっこ悪いかどうかなんで俺には知りませんが、でも死なないでください。俺はまだあなたに勝ってないし、」
「私に勝ってなにになるのよ、」
「わかんないけど、負けてるっていう状況に納得している自分ていうのが俺は許せないんで、常に上昇思考です」
雪村は淡々と話していた。
「こんなみっともないプライドしかないけど、なれますかね、ブリエに」
雪村は優しいほほ笑みを有澄へ向けた。
「あんた、ほんとに数時間前のやつなの?敬語だし!なんか笑ってるし!変な奴。」
有澄も少し表情が柔らかくなっていた。
「たしかに、別人に見えますよね、でも雪村朱晴はこういうやつですよ」
「ふうーん。なれるんじゃない?ブリエ。でも言っておく!私が先になる」
有澄は立ち上がり雪村の前に立った。
「いや俺が先です。」
雪村も負けじと立ち上がり宣言した。
「望むところね、まあお互い頑張るしかないね、」
「雨汰にも負けない!」
(必ず強くなる。また雨汰の隣にたてるように。夢を叶えるために。)
「なんで一人で笑ってるんすか。」
「うるさい!もう帰んなきゃ。お互い解決する問題があるでしょ」
有澄は雪村とは反対方向に歩き出した。雪村は有澄が見えなくなるまでその後ろを見つめていた。




